『再婚承認を要求します』に登場する人物の中でも、とくに謎めいた行動が多いエルギ公爵。彼はラスタに味方したり逆に騙したりしていますが、一体何が目的なのでしょうか?
この記事では、本編及び外伝の情報をもとにエルギ公爵の目的と正体についてまとめました。また彼が最後にどうなるのかも考察しています。
原作で明記されていないため考察が多めになりますが、私なりに解釈しました。
目次
エルギ公爵の正体は?複雑な事情をかかえた王族
ブルーボヘアン王国の王族
エルギ公爵はブルーボヘアン王国の王族であり、クロ―ディア大公家の長男。
国王とは血縁関係にあります。
またハインリとは幼い頃からの友人で、ハインリはエルギ公爵の”内情”を知っている数少ない人物です(内情については次章参照)
エルギ公爵はとても複雑な家庭環境で育っており、この問題は幼少期からずっと解決されていません。
飄々とした外見からは想像もつかないほど、もどかしい状況に置かれています。
海賊を襲う海賊
『再婚承認を要求します』の外伝13にて、エルギ公爵が海賊船を所持していることが判明しました。ただし普通の海賊と違い、一般人は襲いません。
“海賊を追い回す海賊”であり、探している海賊がいるのだとか。
この点については謎が多いですが、多分アレイシア(3章にて解説)を拾った海賊団を探すのが目的なのかなと思います。
目的は、母親のために復讐すること
ソビエシュは復讐相手
まず前提として、エルギ公爵の目的は復讐です。
原作版『再婚承認を要求します』の本編231話では、エルギ公爵に対してシリム王弟が次のように言っていました。
こんなやり方で復讐しても誰も特をしない。兄はいつまでも目をつぶってくれないから、自分のことを考えるように。
引用元:再婚承認を要求します・小説231話より
このセリフから、エルギ公爵は何かに復讐したいと考えていることがわかりますね。
つまりソビエシュは、復讐すべき相手の1人。
だからラスタを利用して、彼を不幸のどん底に叩き落としたと思われます。
ラスタに近づいた目的
エルギ公爵が今までラスタに優しくしたのは、”復讐”という目的があったからです。
この目的がなければ、そもそも彼女に近づかなかったでしょう。第一彼は、ラスタのように他人の家庭に入り込む女性が大嫌いですから。
すべては母親のために
ではなぜ、エルギ公爵は復讐をするのか?それは母親のためです。
後述しますが、彼の母親は”アレイシア”という女性により名前を奪われました。そのため彼は絶望し、復讐を決意したようです。そしてこの事件の原因を作ったのが、幼い頃のソビエシュでした。
以下、参考までに小説版239話のエルギ公爵の独白を掲載しておきます↓
母親を思う子どもの復讐心のせいで、一人の女性が死にかけた。その女性は、他人の母親の名前を奪って相手を絶望させた。そして母親のため、青年は復讐心から一人の女性を死に至らしめた。
引用元:再婚承認を要求します・小説239話より
母親を思う子ども=ソビエシュ
死にかけた女性=アレイシア
青年=エルギ公爵
幼いソビエシュは母親のために行動しただけですが、その結果、エルギ公爵と彼の母親が不幸になったワケですね。
ではいったい、過去に何があったのでしょうか?次章では、エルギ公爵の過去について紹介します。
【外伝ネタバレ】偽親・アレイシアとの関係
エルギ公爵には2人の母親がいる
原作小説にもあるとおり、エルギ公爵には2人の母親がいます。
1人は実母であるクロ―ディア大公妃。そしてもう1人は、大公妃のフリをする偽の母親・アレイシアです。
- 実父:クロ―ディア大公
- 実母:大公妃
- 長男:エルギ公爵
- 偽母:アレイシア
アレイシアとエルギ公爵に血の繋がりはなく、そもそも側室ですらありません。
しかしとある理由から、アレイシアはずっと大公妃のフリをしながらクロ―ディア家に住み続けているのです。
アレイシアの過去
元々アレイシアは、東大帝国の皇帝の側室でした。
つまり、ソビエシュの父親の愛人ですね。皇帝が浮気三昧なので、皇后(妻)はいつも泣いていました。
幼いソビエシュは、そんな母親を見てかわいそうに思います。そこでアレイシアを宮廷から追い出すため、ある計画を実行しました。
というのも例の”中絶薬入りクッキー”を食べてしまった後、それがアレイシアから母親に送られたものだと嘘をついたのです。
そして皇帝はこの嘘を信じてしまい、アレイシアを国外に追放しました。
その後アレイシアは実家に戻りますが、両親にも捨てられます。睡眠薬を盛られて眠っている間に、夜の海に捨てられたのです。しかし漂流中に海賊に拾われて、捕虜として生き延びました。
エルギ公爵の過去
エルギ公爵の過去については『再婚承認を要求します外伝7~9』で明かされています。
この記事でネタバレを読むより、できれば外伝を読んだほうがストーリーを楽しめるでしょう。ちなみに当サイトの記事『再婚承認を要求します|ネタバレまとめ』でも、翻訳文を掲載しています。
とはいえ外伝を読むのは面倒という人もいると思うので、以下、簡単にエルギ公爵の過去についてまとめました。
- ブルーボヘアン王国では当時、社交界をリードする人がいなくて困っていました。本来なら大公妃(エルギ母)がその役割をすべきですが、彼女はとても病弱で部屋から出るのも難しい状態です。
- そんな時、クロ―ディア大公(エルギ父)は大公妃にそっくりな海賊捕虜・アレイシアを見つけます。そして彼女に、大公妃のフリをして数日間パーティーに出席するよう依頼しました。
- アレイシアは海賊捕虜ですが元貴族なので、大公妃の代役を難なくこなします。もちろん大公も大満足。
- その結果、アレイシアは欲を出しました。貴族としての生活に未練があったため、大公に「今回のように必要な時だけ、大公妃の代役をさせて頂けませんか?」と願い出ます。
- しかし、これを聞いたエルギ(当時はまだ子供)は猛反対。誰かが母親のフリをするなど、嫌で仕方がなかったのです。
- 焦ったアレイシアは保身のため、パーティーに参加したとき「大公が海賊捕虜を愛人にした」とデマを流します。
- 当然ながら大公は怒り、もう代役はいらないから荷物を持って出て行けと言います。
- するとアレイシアは、このままでは報酬を貰うどころか処分されかねないと怯えます。そして保身のために「もし私を追い出すなら、あなたが海賊捕虜を好きになって妻を追い出したとデマを流しますよ」と逆に大公を脅しました。
- さらにアレイシアは、屋敷に火をつけます。
- そして燃えさかる屋敷の中からエルギを救出することで「火事のなか息子を助けた母親」を演じます。
- 火事が原因で、アレイシアは顔半分を火傷。もはや大公妃に似ていませんが、この時点で周囲の貴族たちは、彼女のことを大公妃だと信じきっています。
- またクロ―ディア大公も、息子の命の恩人を無下にできません。
- 結果、アレイシアは現在に至るまでずっと大公妃としてクロ―ディア邸に住み続けています。
関連:『再婚承認を要求します』外伝7ネタバレ|エルギ公爵の過去
いろいろと酷いですね。
エルギ少年にとっては、さぞかし悔しかったでしょう。なにせ赤の他人が、自分の母親に成り済ましているのですから。
本編を読んだ人はご存じかと思いますが、エルギ公爵は母親のことをとても大切にしています。献身的に母親の介護をして、彼女が危険な状態だと聞けば泣くほどです。
そんな彼だからこそ、アレイシアと父親をかなり憎んでいるはずです。なにせ大人になった今も、2人に冷たい態度を取り続けていますから。彼はずっと過去に囚われています。
最後はどうなる?外伝では救済シーンが描かれる
外伝にて救済される
大変な人生を送ってきたエルギ公爵ですが、外伝で救済されます。
大公妃の体調は回復し、アレイシアの嘘は国民全員にバレました。
正確に言えば、大公妃は別荘で療養してから出番がありませんが、療養生活を送っているなら体調は回復したのでしょう。
そして次にアレイシアですが、外伝33にて嘘が全てバレます。大公妃の偽物だとバレて、最後には投獄されました。なおアレイシアの嘘を黙認していた国王は、世論で大バッシングされました。
最後にどうなったのかは不明
エルギ公爵が最後にどうなったのかは、本編でも外伝でもはっきり書かれていません。
外伝では『再婚承認を要求します』の本編から13~14年後の未来が描かれていますが、そこにエルギ公爵は登場しません。
ただし、ラリ(ナビエの娘)のセリフ内に1度だけ名前が出てきたので生存していると思われます。
本人曰く、最後は地獄に行くらしい
エルギ公爵は本編にて、何度か「自分は地獄に落ちる」というニュアンスの台詞を口にしています。
それだけ罪深いことをしたと、彼自身が一番理解しているのでしょう。
そもそも彼は自分の行動について一切言い訳しませんし、罰から逃れようともしません。ルベティがエルギ公爵をつき落とそうとした時も、彼は抵抗するどころか「復讐しなさい」と促していました。
セリフの端々から、罰を受けるのが当然だと思っていることが伝わってきます。悲しいですね。
となると彼は遅かれ早かれ、どこかで罰を受けるのかもしれません。
【再婚承認を要求します】エルギ公爵の考察まとめ
復讐を目的とし、そのために周囲を巻き込んだ人
エルギ公爵の母親になりすますアレイシア。
エルギ公爵は幼い頃からずっと、この問題に苦しめられてきました。母親が大切だからこそ、この状況に絶望したのです。
そしてこの惨状を作ったのは、エルギ公爵の父であるクロ―ディア大公。彼がアレイシアを屋敷に招いたがために、本物の母親は名前を奪われてしまったのです。
さらに元凶をさかのぼると、アレイシアが大公妃のフリをすることになったのはソビエシュの行動が原因。そもそも彼が嘘を付かなければ、アレイシアが大公妃になりすますことも無かったでしょう。
だからエルギ公爵は、ソビエシュに復讐したものと思われます。
復讐はまだ終わっていない?
ただし、エルギ公爵の行動ついては謎が残ります。
アレイシアと父親に復讐するだけならまだしも、ソビエシュまで標的にする必要があったのかな…というのが正直な感想なんですよ。逆恨みに思えます。
けれどエルギ公爵からすれば「ソビエシュが余計なことをしなければ!」という心境なのでしょうか。もしくは、母親を不幸にしたすべての要素が憎いのか。
状況的には恐らく後者でしょうね。だからこそアレイシアを拾った海賊たちも復讐の対象で、今もなお彼らを探しているのでしょう。
どちらにしろ、悲しい人だなと思います。根が優しい人なので尚更です。
エルギ公爵はソビエシュがナビエを尊重し大切にしている姿を見たら復習はしなかったかも…
ラスタに溺れナビエを侮辱するばかりの姿を見たからより復讐心が募ったのだと思います。
小説の設定とは言えソビエシュは愚かでしたから
エルギ侯爵の復讐の方向性が謎ですよね~
何もしなくても、ソビエシュはグローリーエムの為にラスタを皇后にしただろうし、
ラスタに皇后は無理だろうし、何に対する復讐なのかピンとこないわ。
そもそもエルギの不幸の根源は、父親クロ―ディア大公だと思うのだけど
息子さえ、あっさり殺そうとしたのに、病気の妻だけは助けようとしていたし?
エルギ侯爵の母親には病気以外の何か秘密があるのか?
エルギが幸せになる為には、母親が幸せになることと―
愛する人に出逢うことよね。誰がよいかな?ダルタさん――― ルベティ ん~(゜_゜>)
どちらにしても、地獄に落ちるのは可哀想よ。。。
エルギ好きなんですけどね…でも皆が何らかの制裁や、幸せの対価としての困難を受けてるから仕方がないのかな。
ナビエ様でさえやっと泥沼から脱出して夫に愛され愛する喜びや可愛い双子という家族、皇后というだけではなくナビエとしての幸せや地位と名誉を手に入れたのに、命の危機があったり、愛する夫がエンジェルに捕らえられたり、水竜のせいで遭難したり、子育てで心配事ができたりしてますね。
ハインリも愛しのナビエ様を手に入れた幸運と引き換えに、カフメンに薬で陥れられたり、ジュメンシアやリルテアンの件で対外的に名前に傷が付いたり、篭の鳥になったり、愛する妻が命の危機に瀕したり、作者から奥さんよりポンコツにされる呪いを掛けられてるし。
エルギは当初の予定より、正妻を傷つけるソビエシュ=エルギ父、ラスタ=アレイシアに重ねて復讐がより深くなったのではと私も思います。
ハインリが、エルギがソビエシュに恨みを持ってるか解らないけど嫌いなのは間違いないとナビエ様に言ってましたから、実際に会って人となりを見て最低な人間と認識して実行していると思います。
満腹な狼のようという描写が何度かあったので、もしや狼人間?と思ったこともありましたが、私の予想は外れるので違うでしょうね。
エベリーがエルギとお母様と仲良く、幸せそうだったので、エルギの事も救ってくれたら良いのにな。
無理ですかねー。
ごめんなさい、追記ですが
エルギ母も子供エルギも身体が弱いという表記がありましたね。
魔法のネックレスも持っていました。
あれが治癒魔法がかかったネックレスだとしたら、それで今は普通に生活できているけど、もしかしたら長生きできないかもという理由で刹那的になっている可能性も。
そしてソビエシュが子供の頃嘘でアレイシアを追い出したように、また嘘で固めてコシャールを追い出していましたから、そういう姿もエルギの地雷を踏んだのかも。
あとは、ソビエシュの両親は引退しただけで生きているらしいので、それも今後関わってくるかもですね。
皆様コメントありがとうございます。以下、管理人からのお返事です↓
>ヤマシタミキコさん
ソビエシュが妻の気持ちを尊重する人なら、おっしゃる通りエルギも思い留まったかもしれませんね。彼はただでさえ、良心の呵責で悩まされるシーンがありましたから。
>ふわっとさん
人って自分が不幸だと感じると、自分を直接不幸にした相手だけでなくその原因や関係者まで恨んでしまうことがあるんですよ。多分、エルギもそんな感じだったのではないかなと思います。
>マリさん
>あれが治癒魔法がかかったネックレスだとしたら~
あー!あの伏線ってそういう事ですか!ずっと気になっていたのですが、その考察なら辻褄が合いますね。これ正解な気がします。