小説版『再婚承認を要求します』のネタバレ感想です。今回は『外伝41 龍はなぜ鳥を愛するのか(1)』の概要をまとめました。
前回はマッケナとドルシの馴れ初めが語られましたね。そして今回は、競売場に来たラリの話がメインで描かれます。競売場にいる”派手なマントの人”とは、いったい誰なのでしょうか?
管理人の感想を添えつつ、ストーリーを簡単に紹介します。
モテ視点|競売場で”派手なマントの人”を見かける
競売スタート
赤い派手なマントを着たその人は、競売がはじまると次々と商品を落札しました。
少しでも良い品が出るたびに最高額を提示するものだから、みんな驚いてその人を見ます。堂々と見物する人まで出てくるほどです。
するとその時、司会が叫びました。
「さあ、この品物を見たら誰もが目を止めるでしょう!歴史上最も強い剣士が使ったという剣”イメラルド”です!」
イメラルド。剣の先をそっと引くだけで、何でも切れる伝説の剣。
それはモテが最初に伝説を聞いたときから、ずっと欲しがっていた剣でした。そのためモテは遠めに見ようと客席から身を乗り出すと、客たちは素早く金額を提示し始めます。
3万クラン!10万クラン!
とてつもない金額に、モテは我を忘れて客を交互に見上げるばかり。
するとその時。
派手なマントの人が手を上げたので、人々は示し合わせたかのように一瞬で静かになりました。
「百万クラン」
その言葉に、完全に静寂に包まれた競売場。司会者は魂が抜けています。
「住む世界が違うね。 一体どんな人なんだろう」
モテは座席に座ったまま、華麗なマントの人を我を忘れて見つめました。
路地裏で、誰かが脅されている
ケルドレックは競売場で待てと言われたけれど、競売が終わるとモテは警備員に追い出されてしまいます。そこで仕方がなく競売場から離れるとーー
路地の奥から、凄まじい声がしました。 誰かが誰かを脅しているようです。
「やることもないし助けてあげようか」
モテは被害者を助けるため路地裏に入ると、そこには競売場で見た“華麗なマント”が見えました。そしてマントを取り囲んでいるのは、明らかに強盗のような輩。
「買ったもんさえ出せば、命は助けてやるよ」
どうやら強盗たちは、マントの人から競売場で落札したものを奪うために追いかけて来たようです。
モテは舌打ちしながら、静かに剣を取り出します。幸いにも気配を抑えていたので、今なら奇襲できるでしょう。
するとその時、華麗なマントを着ていた人の顔があらわになります。帽子が脱げると濃い金髪が絹のように流れ落ちて、幼い顔が現れました。
「わぁ、僕より年下みたいだね?」
現れた顔が思ったより幼かったので、モテは驚いて剣を振り回します。そして暴れる強盗たちを、すばやく制圧しました。
”マントの人”の正体は、幼い少女だった
強盗たちを倒し終わると、モテは剣を鞘に仕舞いながら「大丈夫?」と女の子に聞きます。
しかし女の子は舌打ちをして、モテの顔の横に素早くこぶしを伸ばしました。モテは殴られると思い、びっくりして後ろに下がりますが…
背後を振り向くと、モテの背中をナイフで刺そうとした強盗が、襲い掛かってきたポーズのまま黒い粉に変わっていました。
あっという間に強盗は粉に変わって消え、地面に武器1つだけが落ちます。
女の子の正体は魔法使い
モテが驚いていると、女の子は言いました。
「あなたは愚かね。とても弱い。敵が後ろにいるのに武器をしまうなんて」
彼女とても美人だけど辛辣なので、モテは慌てて口を開けます。
さらに彼女は、モテにお金が入った袋を投げつけました。お礼らしいので、モテは素直に受け取りますが…
女の子は次に、壁に足を伸ばしてモテが通れないようにして「いくら?」と聞きました。
つまり彼女は、モテを買いたいと言っているのです。
その言葉にモテは当然ながら怒るも、彼女によればモテの着ている服(ケルドリックが調達してきた)は、奴隷の着ている服と同じものだそう。そのため間違えたようです。
しかし誤解が解けた後も、女の子は相変わらず「あなたの雇用にはいくらかかるの?」と同じような質問をつづけます。
そして女の子は自分のイヤリングの片方を外すと、前金だと言ってモテの耳に付けました。
「それを持って来て。食べたちゃダメよ。消化不良になるから」
そして彼女は初めてにっこり笑うと、すぐに立ち去ろうとします。
モテが慌てて名前を訪ねると、彼女は「ラリ」と短く答えてどこかへ行ってしまいました。
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ケルドリックと合流
訪ねて来いと言いながら、どこに住んでいるのかすら教えてくれない妙な女の子。
いったい何者だろう…とモテが考えていると、ケルドリックが口笛を吹きながら歩いてくるのが見えました。
・・・
ケルドリックと合流すると、その耳飾りはどうしたのかと聞かれます。そこでモテは先ほどの出来事を話すと、彼はそんなもん売っちまえと言いますが…
モテは首を振ります。
「さっきは戸惑ったけど、あれだけ散財して強い魔法を簡単に使えるなら普通の子じゃないはずだよ」
きっと騎士を雇える身分の人だ。そんな人が主君ならどうだろう…と考えて、モテはまだ熱気の残る耳たぶに手を当てて笑います。
「僕は騎士になったら、そんな主君に仕えたい。僕が走って追いかけても、目の前にいる主君。一緒に馬に乗って、荒野を駆けるんだ」
その言葉に、童話の読みすぎだと呆れるケルドリック。しかしモテは再び笑いながら恥ずかしそうに、もう一度会いたい…と呟きました。
ラリ視点|落札した宝石を持ってドルシの元へ
宮殿に戻った後
ラリは宮廷に戻ると、侍女に命じて12個の宝石をラッピングさせます。そして剣だけ寝室に保管すると、包装された宝石を持ってドルシの元へと向かいました。
水龍さんこんにちは!
何の用事で来たんだ?と尋ねるドルシに、ラリはまず宝石を渡します。すると水龍は満足そうに笑いながら、ラリの本音を見抜きました。
「私の青い鳥が、どうやってこの身と結婚したのか聞きに来たんだな」
そして水龍はラリの前に座って、空中を指で弾きます。すると一枚の薄いノートが宙に浮かびますが…
そのノートは、以前マッケナが失くした日記帳でした。
『再婚承認を要求します』外伝41のネタバレ感想
感想①ラリの魔法が超凶悪な件
今回、ラリの魔法能力が明らかになりましたね。
ラリの魔法はどうやら、一瞬にして相手を黒い粉に変えてしまう能力のようです。
遠距離攻撃可能で、発動時間も短いという優れもの。ものすごく強いけど凶悪。ほぼ即死攻撃。
両親が魔法使いで、しかも父親が優秀な魔法使いとなると、子供もこのような強い魔法使いになるのでしょうか。
これは俄然、カイの魔法能力が気になりますね。
感想②全く容赦のないラリ
ラリは今回、強盗とはいえ人をコロコロしています。
大事に育てられた13歳の少女が、正当防衛とはいえ人を殺めたなら精神的なダメージが大きいように思えますが…
本文を見たところ、ラリはまったく堪えていません。宮殿に戻るなり宝石を持ってドルシのもとに向かうあたり、気にしてすらいないように見えます。
彼女のこういった容赦ない性格を見ると、ハインリの血をがっつり受け継いでいる気がしますね。
ラリはハインリに似てるというよりだんだん少年漫画の覇王的な感じに見えてきました。
鳥一族史上最強の復興の祖というか、最強の鷲というか。
ハインリは敵には容赦ないけど、容赦しなかったのはほぼナビエ様に危害を加えた敵ですし、むやみに熱の魔法は使わないですしね。
使ってたら、自分の敵のジュメンシア一族もソビエシュも速攻で丸焼きだったでしょう。
原作ではハインリの性格は理性的と書かれていますし。
ナビエ様は奇跡的な皇后だけど、トロビー家の血が蓄積されつつ戦争に勝って東大帝国をなしてるので、そっちの血も相当かと。
時代背景がまだ世界にどんな大陸があるかも解らない時代…大航海時代前という感じなら、ラリのような豪快な女帝が憲政を奮って新世界を圧巻していく歴史も有りかな。
それには時には忠告し、影で支える堅実な人材が必要なので、カイがサブに付くとかやっぱりヨンヨンとか。
ハインリの熱の魔法に対してナビエ様が氷の魔法で対になってるので、ラリの魔法に対になるようなひとやマッケナのような秘書が欲しいですね。
カイは意外と鷲より人の血の方が濃そうな予感です。
外伝も中盤を過ぎてそろそろラスタ救済企画な感じも匂ってきたので、ラリがモテに比べて傲慢お嬢様に書かれるのも致し方ないのですが、個人的にはカイとモテが結婚して東大帝国を治めるという流れは断固反対だったので、モテが会ったのがラリで良かったです。
ラスタ妊娠パーティをナビエ様が無理やり企画させられた時に、遊んで暮らせ(エルギ公爵はむだ飯食いと表現してましたが)というほんの少しのイヤミを込めて装飾品の剣を贈った時に、ラスタが赤ちゃんに剣を習わせたいと思ってたみたいなので、アルティナ卿のようにラリの警護担当として生きるならラスタの夢も叶うのでは?
死んだラスタは少し可哀相かもしれませんが、本編を読み直すと本当にラスタとソビエシュが許せないので、お手軽にカイとはくっついて欲しくはないのです。
>マリさんへ
コメントありがとうございます!
>少年漫画の覇王的な感じに見えてきました。
わかります。ラリは覇王のオーラを出してますよね。
あとラリは、からまれた時点では魔法を使っていないんですよ。モテを助ける時になってようやく、あのチート魔法を使ったようです。
この辺を見ていると、ただのワガママお嬢様ではないのかなと思うのですがどうでしょうか。