『結婚商売』の原作小説を読み終えたので、ジャコブ第二王子にまつわる考察をまとめました。
彼は悲惨な最後を迎えますが、ただの悪役と言い切るには同情する点が多い人物です。そこで本記事では、彼に対する管理人の思いの丈をぶつけました。
言わずもがな原作のネタバレが満載なので、未読の方はご注意ください。
目次
ジャコブ第二王子の結末|悪役らしい最後を迎える
ジャコブの人生|ビアンカとの出会い~結末まで
ジャコブの考察を語る前に、まずは彼の人生について復習しておきましょう。以下、彼の初登場~退場時までの過程をザっとまとめました。
なお結論から言うと、ジャコブは数々の罪を犯したため処刑されます。悲惨な末路ですね。
- ジャコブはビアンカに一目惚れして事あるごとに口説く。しかし全く相手にされず、好かれるどころか毛嫌いされる
- 自分が国王になるため第一王子のゴティエを事故に見せかけて処分する
- さらにアラゴン王国と内通して戦争を引き起こす
- しかしビアンカが”聖人”だと判明したため、信心深いアラゴンの兵士たちは戦争をやめてしまう
- そこでジャコブは「ビアンカを妻にして自分の子供を産ませよう」と目論む。そうすればアラゴン側を説得できると考えたからである
- そして自ら軍を率いて、ザカリーの留守中にアルノー城(ビアンカの居住)を襲撃する
- しかしビアンカは降伏せず徹底的に反抗する。なお脅しも嘘も通用しない。
- そうして戦闘が長引いた結果、ザカリー率いるアルノー軍が駆け付けてジャコブは敗北する
- さらに今まで犯した罪がバレて王族の地位を剥奪される
- 王族でなくなったジャコブは、アルノー城にて処刑される
最後までビアンカに執着していた
ジャコブは王族としての地位を剥奪され、最終的にはアルノー城にて処刑されます。
なおこの時、斬首刑の宣告を下したのは他でもないビアンカでした(ちなみに刑を行使したのはガスパル)
愛した女性に死の宣告をされる……何ともエグイ罰ですね。
このシーンでジャコブは「君を愛しているんだ」と何度もビアンカに訴えますが、彼女には「あなたの愛は自分のためだけのものでしょう」と冷たくあしらわれます。
結局のところ、ジャコブの自分本位な愛情はビアンカに届かなかったのです。
それでも彼は最後にビアンカの姿を目に焼き付けようとします。そして刑が執行される瞬間に何かを呟きますが、その言葉は歓声にかき消されて誰にも聞こえませんでした。
ジャコブの最後の台詞について
ジャコブは処刑される直前、何かを呟いています。この台詞は誰にも聞こえず、結局のところ何を言ったのか不明でした。
しかしビアンカの反応や彼の言動から考えるに、このシーンの台詞は「愛してる」だった可能性が高いでしょう。
「すまない」など謝罪の可能性も考えましたが、これまで一切反省しなかった男が急に謝罪するのは……どうもしっくりきません。
なにせこの男、捕らえられた時も「なんでビアンカはこんなに冷たいんだ?」「世の中は不公平だ!神様はひどい!」と不満だらけでしたから。
改心する兆しが全くありません。さすがジャコブ。
また原作小説には『ジャコブは死ぬ直前に、自分で思う以上にビアンカを愛していたことに気付いた』という旨の描写があります。
彼の心を最後に占めていたのは、反省でも後悔でもなく愛しい人への愛情だったのです。そう考えると、最後の言葉はやはり「愛してる」だったのかなと思います。
関連:結婚商売・考察|ゴティエ王子とセブラン国王の末路について
ただし漫画では退場シーンが変更に
ここまで書いてきたのは小説版の話であり、漫画版だとストーリーがかなり違います。そもそもジャコブの処刑シーンすらありません。
ストーリーの違いについては別記事『結婚商売・原作とマンガ版の違い』にまとめたので、良かったら読んでみて下さいね。
唯一の救いは、ヴィクトル二世が葬式をあげてくれたこと
ジャコブはちゃんと親の愛情を得ていた
ジャコブは自業自得とはいえ悲惨な最後を迎えています。
そもそも彼の一生は、幸せとは言い難いものでした。幼くして母を亡くし家族とも疎遠で、愛した女性には見向きもされず若くして命を落としーーー
何というか寂しい人生ですね。
しかしジャコブにも救いはありました。それは彼の死後、父親であるヴィクトル二世が葬式をあげてくれたことです。
葬式はシンプルなものでしたが、それでもジャコブが犯した罪を考えれば十分すぎるものだったと思います。
なにせヴィクトル二世視点だと、ジャコブのせいで大事な長男を失ったワケですから。いくら自分の息子とはいえ普通は見捨てるでしょう。
それでもヴィクトル二世はジャコブの葬式をあげました。ちゃんと愛情があったのだと思います。
今ごろは地獄にいるであろうジャコブが、もしこの事実を知ったらどんな顔をするのか……個人的にそれが気になりました。
性格について|歪んでいるのではなく欠落している
大事なものが欠落したキャラ
管理人は最初のころ、ジャコブのことを性格が歪んだ人だと思っていました。
なにせこの男、初登場時から人妻に手をだすわビアンカの肖像画を盗むわでヤバイことばかりしていましたから。
けれどマンガ版54話を読んだとき、その印象はガラッと変わりました。
ジャコブは歪んでいるのではなく、恐らく欠落しているのです。
だからこそ彼は54話でビアンカが襲われた時、フェルナンの首を刎ねて無邪気に笑っていました。
恐らく彼は「良い事をした」と思ったのでしょう。しかもこの後、普通にビアンカを口説きはじめましたから。どう考えてもまともな神経ではありません。
さらに彼は処刑される直前ですら、なぜビアンカが冷たい態度を取るのか本気で理解していませんでした。
このシーンで彼は「信じてくれ。愛しているんだ」とビアンカに縋っていましたが、これは場違いなセリフですよね。愛しているとかいないとか、そういう問題じゃないんだよジャコブ……
彼のこのような言動を見ると、人間として大事な部分が欠落しているような気がします。
最後まで愛し方が分からなかった
特に『愛』という感情については全く分からないらしく、ジャコブは心から相手を思いやることができません。愛する人の幸せを願えないのです。
それでも最後の最後に少しだけ彼は愛を知り、自分で思うよりもビアンカを愛していたことに気付きますがーーー
ビアンカが指摘したとおり、彼の愛情はとても自分本位です。だから本当の意味では愛を理解できていないのでしょう。
愛されずに育ったから、愛し方が分からないのだと思われます。
関連:【結婚商売・考察】ジャコブはなぜビアンカに執着したのか?
結婚商売の考察まとめ|愛を知らずに育った不運なキャラ
この記事のおさらい
ジャコブは初登場時からビアンカに執着していましたが、結局のところ彼女からは愛情のヒトカケラすら貰えませんでした。
彼は本当にビアンカを愛していたけれど、あまりに自分本位なので好かれるどころか憎まれてしまったのです。気の毒ですね。
そして謀反を起すも失敗し、最後には王族ですら無くなり処刑されるーーーという悲惨な結末を迎えました。
ちなみにジャコブは、最後まで改心せずに逝去したと思われます。彼の性格から考えて、そもそも罪悪感とか反省という感情があるのかさえ怪しい。
考察|ジャコブという男について
これは管理人の考察ですが、ジャコブは何度人生をやり直しても同じ過ちを繰り返すイメージです。どれだけビアンカを好いたところで結ばれないでしょう。
なぜなら彼は、相手を大事にする方法が分からないから。
相手を思いやるという人間に不可欠な感情が欠けているので、そこを直さない限りビアンカは一生振り向かないでしょう。
ただし彼が性格的に欠落したまま育ったのは、本人だけの責任ではないと思っています。この点については幼少期に注がれるはずの愛情を得られなかったことが原因でしょうから。
3割くらいは環境のせいかな…と個人的には思っています。
管理人はジャコブが好きなので擁護する形になってしまいましたが、これにて考察を締めくくりたいと思います。ここまで読んでくださってありがとうございました。