『悪女は砂時計をひっくり返す』の94話のネタバレと感想です。
前回はサラの結婚式でしたが、パーティー中にミエールの正体がバレてしまいます。その結果、ミエールは1人寂しく馬車の中で過ごしました。しかもその恨みは、あろうことかアニーに向かいます。
この先どうなるのでしょうか?続きをまとめたのでご覧ください。
サラの結婚式が終わった後、カリンはある提案をする
結婚式が終わり屋敷に帰還する
サラの結婚式が終わると、アリアたちは屋敷に戻ります。
ただしミエールは長時間の空腹により馬車に酔ってしまい、屋敷に戻るなりすぐジェシーに介抱されました。
ジェシーに支えられながら、休憩するためアリアの自室に向かうミエール。アリアもその後を付いて行こうとしますがーー
するとその時、母・カリンに呼び止められました。
というのもカリンは、アリアと実父の関係について思う所があったのです。
カリンの懸念
アリアは実父のことを『クロイ様』と余所余所しく呼んでいます。またアリアが成人してアースと結婚すれば、忙しくなり父方の親族に会う時間はなくなるでしょう。
だから成人式の前に1度、クロア王国に行っておくべきだとカリンは提案します。
しかしアリアはその提案に難色を示します。
「家族だからといって、今さら挨拶に行く必要があるのでしょうか…」
お金や権力が必要なわけでもないのに、わざわざ父方の親族に会いに行くメリットはない。アリアはそう考えたのです。
しかしカリンの考えは違うらしく、彼女はアリアの手にそっと触れながら真っすぐな瞳で言いました。
「アリアは一人で立派に育ってくれた自慢の娘だけど、それだけでは足りないわ。あなたは皇太子妃になる人だもの。私の血を受け継いだせいで軽視する人も多いはずよ。それでも半分は侯爵家の血を引いているから、そっち側の人たちと親しくなれば父方の親族があなたの力になってくれるはずだわ」
カリンは母親として、アリアを心配しているのです。確かにカリンの言う通り、世の中にはまだ能力よりも身分を重視する人が多いのは事実ですがーー
アリアははっきりと言いました。
「それでもお母様、これだけは伝えておきます。私は侯爵家の娘である前にお母様の娘であり、恥じる必要などないと思っております」
それに正直なところ、アリアには身分より大切なものがあります。
金です。
今は財産も十分あるので、実のところ身分なんてどうでもいいのです。それを指摘すると、カリンはいつもの調子に戻り快活に笑いながら言いました。
「でも皇太子妃になるんだし、家族でも何でもあなたの役立つものは利用しなきゃ!だから行きましょう!」
するとアリアは微笑みながら頷き、近いうちに母親とクロア王国を訪問することを約束しました。
アリアの独白
カリンと別れた後、アリアは思います。もし初めから侯爵家で育ったとしたら、こんな復讐をすることもなかったのかしら…と。
しかし全ては過ぎた事。今さら考えたところで何の役にも立ちません。
『だから私は、私の復讐を続けなければならない』
アリアはそう考えるのでした。
ミエールは部屋に行かず、2人の会話を盗み聞きしていた
ミエールは盗み聞きをする
一方その頃。
ジェシーに介抱されていたミエールは、階段でうずくまりながら深刻な表情をしていました。
というのもアリアとカリンの会話が聞こえたため、動けないフリをして盗み聞きしていたのです。
(どういう事?お姉様がクロア侯爵家の娘ということ?)
アリアの内情を知らないミエールは、ひたすら混乱しました。
アニーを解雇にして!
アリアは自室に戻ると、ソファでミエールを休ませてから質問しました。
「なぜ結婚式で体調を崩したの?」
すると今まで大人しかったミエールは、会場での出来事を思い出して叫びます。
「全部アニーのせいです!わざとに違いありません!人の多い所で、私が注目されるよう仕組んだのです!」
ミエールは険しい形相をして叫ぶので、アリアとジェシーは心配そうな顔をしますがーーー
もちろんアリアは心配するフリをしているだけ。今日のパーティー中も、アニーに対して「保護者だからといって、あまりミエールに気を使わなくていい」とまで言っています。
しかしアリアはそんな事情をおくびにも出さず、優しい姉のフリをしながら言いました。
「そうだったのね…ならお互いに話し合う時間を作れば、摩擦が減るかも」
アニーと話し合うよう提案するも、ミエールはそれを拒否します。彼女はとにかくアニーを解雇したくて仕方がないのです。
するとアリアは優しい笑みを浮かべ、ミエールの頬をなでました。
「ミエール、アニーの雇い主は私だから大丈夫よ。ミエールがいじめられるのを、私が黙って見ているはずないでしょう。二人で話し合う時は、私も同席するから心配しないで」
内心では『いじめるのは私の役目だし…』と思っていますが、もちろんそれは口に出しません。
そしてアリアは妹を宥めると、ジェシーにお茶とお菓子を持ってくるよう頼みました。
お姉様は侯爵家の令嬢?
ジェシーが席を外した後。少し不満そうな顔をしたミエールは、ぽつりと質問しました。
「お、お姉様がクロア侯爵家の令嬢だって本当ですか?」
なぜ知っているの?とアリアが聞き返すと、ミエールは使用人たちが噂をしていたのだと誤魔化します。
身分にこだわるミエールは、アリアの出自が気になって仕方がない様子。一方でアリアは、内心「身分なんて何になるのよ…」と思いながらも、真実を伝えました。
「そうよミエール。私はクロアの侯爵家の血筋で、祖母は皇家の一員なの。でも出来るだけ内緒にしてね。後で少しずつ皆に説明するから」
その言葉を聞いた途端、ミエールは顔を輝かせます。
というのもアリアの出自を知ったことで、自分より優れていても仕方がないと納得したのです。
(お姉様が貴族の血筋だなんて…なら仕方がないわね!ただの平民じゃないし、出身からして元々勝つのが難しい相手だったんだわ!)
あくまでも血筋にこだわるミエール。そんな妹の隣で、アリアは顔に笑顔を貼りつけながら言いました。
「とにかくミエール。アニーとうまく話せるように私も協力してあげる。そう、ちょうど…あなたにピッタリのお茶があるの」
『悪女は砂時計をひっくり返す』94話のネタバレと感想
94話ラストの補足
アリアは最後のシーンで「ミエールにピッタリのお茶がある」と言っていましたね。なおこの時、アリアは前世で母・カリンが毒殺されたときの光景を思い出していました。
カリンのお茶に、ミエールの侍女が毒を盛ったときの悲惨な光景を思い出していたのです。
つまりアリアは、毒入り茶を使ってミエールに報復する気なのでしょう。
この辺の行動に、アリアのこだわりを感じますね。相手がしたのと同じ事をそのままやり返してやろうという、強い執着心を感じます。
今のアリアはこんなに幸せなのに、それでも復讐心が風化することはありません。それだけ恨みが深いのだとわかりますね。
94話ネタバレ感想|母親・カリンの優しさ
カリンは明るく振る舞っていますが、自分の出身を気にしているようです。まともな母親なので、娘の足を引っ張るのが嫌なのでしょう。
だからこそカリンは、父方の親族と仲良くするようアリアに提案しました。本当にいい母親ですね。
そしてアリアは賢い子なので、母親の気持ちを理解しています。だから身分なんてどうでもいいと言いつつ、クロア王国に行くことを承諾したのでしょう。
この母娘は、会話の1つ1つに相手への思いやりが感じられます。