『再婚承認を要求します』原作小説200話のネタバレと感想です。今回はラスタ視点のストーリーが描かれ、また本編におけるラスタの最後の登場シーンとなります。
裁判にて幽閉刑となったラスタは、これから一生外に出られず暗い塔の中に閉じ込められますが、彼女は何を想っているのでしょうか?
ソビエシュ視点|ナビエへの懺悔と後悔が押し寄せる
ナビエを恋しがり酒に溺れる
ソビエシュは西宮を訪れると、空っぽになった皇后の部屋を眺めます。この部屋は歴代の皇后が使っていた部屋であり、もちろんナビエも以前ここで生活していました。
そこで彼は、今までのことを思い出します。
なぜナビエを冷たい人だなどと思ったのか。こんな事態になるなら、愚かだろうとシャルル(リルテアン大公の息子)を後継者にすればよかった。
そう考えているうちに、ソビエシュは恋しくなってナビエの名前を呼びつづけます。もう一度だけ、自分のことを見て欲しい。そしてがんばれと言ってほしかったのです。
また彼はナビエを迫害してしまったことを深く後悔し、その後は耐えきれなくなって泣きながら酒を飲むのでした。
ラスタ視点|幽閉されて精神が壊れる
塔に幽閉される
裁判後、ラスタは塔に幽閉されました。
塔に幽閉された人は誰とも喋れず、自ら命を絶つこともできません。また塔の中にはロウソクが無いので常に暗く、唯一の光は小さな窓から入ってくる日光だけ。
そんな場所に監禁されたものだからラスタは恐怖を感じ、何度も「扉を開けて!」と叫んだり扉を叩いたりしますが、外からの返事は一切ありませんでした。
悪夢と幻覚に悩まされる
そうして過ごしているうちに、ラスタは今まで傷つけてきた人々ーーデリスや青い鳥などーーの幻覚や悪夢を見るようになります。
そういった状況が続いたため耐えられなくなり、ラスタはある日、誰かが小窓から入れてくれた毒薬を飲んで自害をします。
彼女の遺体が発見されたのは、それから1週間後のことでした。
関連:ラスタの犯した罪まとめ
補足|最後に幸せな夢を見る
ラスタは死に際に「ソビエシュのことを本当に愛していた」と呟いています。
また薄れゆく意識の中で、幸せな幻覚を見ました。ソビエシュに許され、成長したアンとグローリエムが一緒に遊んでいる。そしてナビエが微笑み抱き締めてくれる。それはとても幸せな幻覚でした。
再婚承認を要求します・200話のネタバレあり感想
ネタバレ感想|ラスタがナビエを憎んだ理由
ラスタは子供の頃からナビエに憧れていました。
誰もがナビエのことを素晴らしい人だと称賛していたので、そんな人なら奴隷の自分にも優しく接してくれるはずだと期待していました。
憧れと言うより、ナビエを”絵本のなかのお姫様”と認識していたようです。それこそ奴隷時代は、暇さえあればルベティの部屋(ナビエの肖像画がたくさん飾られている)を覗きに行っていました。
また外伝を見るとわかりますが、ラスタは「ナビエが好きで好きで堪らない!」という気持ちを隠していません。あれは好意というよりも崇拝に近い気がします。
恐らくラスタにとって、ナビエは絶対的な人だったのでしょう。
けれど初めて会ったときナビエは冷たくて、ラスタの期待は打ち砕かれます。こういう経緯があったから、ラスタは異常なほどナビエを敵視するようになったのかもしれませんね。可愛さ余って憎さ百倍というか。
ラスタがかわいそうだと思った人へ
【再婚承認を要求します】の外伝では、ラスタのIFストーリーが描かれています。内容的には、ラスタがナビエの侍女になったパターンの物語です。
IFではラスタが救済されるので、興味がある人は読んでみて下さい。なおIFのネタバレはこちらから読めます。
更新ありがとうございます。
ラスタの死という物語の大きな節目を迎えましたね。
どんなに不遇な生い立ちがあるといっても、それだけでは擁護出来ない程に重すぎる罪を犯しましたし、本来の人格にも問題はあったのかもしれません。
でも、そういう危うい部分を悪い方向に助長させたのは間違いなく甘やかしたソビエシュですし、一時の恋という熱に浮かれて弄ぶように、一人の女性の人生を気まぐれに上げて落とすような事をした彼はこの物語で一番罪が大きいと思います。
我が子を皇帝にする為に国民を欺き、今度は自分の不始末を隠すために全ての罪をラスタ達に擦り付けて再び民を欺き…ハッキリ言って彼は皇帝の器では無いと思います。
ラスタの死とソビエシュの絶望には賛否両論があると思います。
哀れみを感じる人もいれば後悔が足りない。もっと長く苦しむべき。
結局二人とも最後まで自分の事しか考えてないと感じる人もいるでしょう。
個人的に私が一番許せないのは以前にも申し上げた通りソビエシュです。
逆にソビエシュには同情出来るけどラスタは無理って人もいますが、私としては善悪すら知らず、正しく導いてくれる人に恵まれなかったラスタよりも生まれた時から全てに恵まれてしっかり教育を受けてきた筈のソビエシュの方が悪質に感じます。
原作の200話を読んでみて思ったのは、ソビエシュはようやく自分が間違っていたことを認めて後悔したけど、後悔のピントがズレているような違和感を感じました。
ローラを閉じ込めた事や、ナビエ様の名前でプレゼントをした事等々…それらをしてはいけなかった。
確かにそうだけど、これらはあくまで表面的な問題に過ぎず、根本的な原因はもっと他にあります。
もっと突き詰めるとその後悔は「ナビエ様を傷付けた事」そのものではなく、「ナビエ様が離れていって自分が全てを失った事」ですよね。
だって、彼が述べる後悔には「自分のせいでナビエがどれほど傷付いたか」が無いんです。
ナビエ様だけではなく、ソビエシュの欲望の為に傷付き犠牲になった人達が沢山いるのに、その人たちには何の懺悔も出てこない。
離婚さえしなければこれらの過ちを挽回出来たとありますが、離婚だけ避けられてもナビエ様の傷付いた心が癒えるわけじゃない。
浮気して他の女と子作りした事実も、酷い言動の数々も無くなるわけじゃないのに。
彼は根本的な事を理解出来ていない。
再構築はサレ側の方が心身にかかる負担が大きいのに、ソビエシュは自分のエゴに付き合わされるナビエ様の負担を全く考慮していません。
そんなんだからラスタと離婚した後、ナビエ様の立場や体調も考えずにのこのこと助けを求めて尋ねに来ることが出来るんでしょう。全て自分が選んだ道なのに。
結局はソビエシュが絶望しているのは自分が不幸になった事。
後悔の根元にあるのは、あれをしなければ「ナビエを傷付けずに済んだ」ではなく、「ナビエを失わず自分は幸せでいられた」なのだと思います。
だって犠牲になった人達を思いやる言葉が全く出てきませんでしたから。
傷付けた人達の為ではなく自分の現状だけを嘆き、あんな事をしなければというのは全て自分の幸せだけを追い求めて出てくる後悔…
全ての過ちの原因は「彼のそういうところ」なんだと個人的には思います。
どれだけ「もしも」を並べても、根本的なところで自分自分なソビエシュはラスタと出会わなくても何らかの形でナビエ様との関係をダメにしてしまっていたでしょう。
相変わらずソビエシュに対して辛辣な感想を述べてしまいました。
ラスタは決して許されない事を沢山したけれど、なんだか遣る瀬無いような、考えさせられる結末だったと感じてしまいました。