ピッコマで連載中の漫画『外科医エリーゼ』のネタバレ感想です。137話・138話について紹介しています。
アムセル侯爵の手術は成功したものの、寿命が一時伸びただけ。それを知った公爵は、どこかに出かけますが…彼はこれから、何をするのでしょうか?感想を交えつつ、ストーリーをまとめました。
137話の概要|アムセル侯爵は自らの罪を認める
アムセル侯爵は、百願の宮へと向かう
アムセル侯爵は、馬車で「百願の宮」へと向かいます。
「百願の宮」とは、リンデンの母・レベッカと姉・イブリンが幽閉された忌まわしい塔。その内部を、案内役と共に見て回りました。
塔の室内にあるのは必要最小限の家具のみ。窓にも鉄格子が付いています。アムセル侯爵はその窓を見ながら、今は亡きレベッカ皇后へと思いを馳せました。
ここに閉じ込められた6か月間。彼女はあの窓を見て希望を抱いたのだろうか…と。
さらにアムセル侯爵は、1人で塔の頂上へと向かいます。体調が悪いのに、ゼエゼエと息を切らしながら階段を上りました。
アムセル侯爵は、塔の頂上で自問自答する
アムセル侯爵が塔を登りきると、頂上には青空が広がっていました。そこで彼は、エリーゼの言葉を思い出します。
アムセル侯爵にとって、大事なものは家族。家族のために人生を捧げてきました。
だから自分が間違っていると思いませんし、過去に戻っても同じ選択をするでしょう。
けれど同時に、彼は考えます。本当に自分は悪くないのか。残された時間をどう使うべきか…と。
塔でリンデンと鉢合わせる
その時、背後から「なぜ貴様がここにいる?」と声がしました。
振り向くと、そこにいたのは険しい表情のリンデン。母と姉を侮辱しにきたのかと憤り、ここから出ていけと吐き捨てます。
しかし一方で、アムセル侯爵はいたって冷静。そして彼は静かな声で「本当に申し訳ありませんでした」と謝罪をしました。
謝罪するアムセル侯爵に、リンデンは…
頭を下げて謝罪をするアムセル侯爵。その姿を見たリンデンは、ついに激怒しました。彼に銃を向けて罵倒しますが…
アムセル侯爵は臆することなく、謝罪をしたのは本心からだと伝えます。そして同時に、どうすれば償えるかと尋ねました。
するとリンデンは唇を噛みしめながら、誠意があるなら対価を払えと答えます。そして苛立った表情のまま、その場を去りました。
ーーー
階段を降りながら、リンデンは考えます。どうせ先ほどの言葉は、私の心を揺さぶるための作戦だろう…と疑っていたのです。
そして彼が塔を去ろうとした時。近くで大きな音が響きました。
138話の概要|争いを終わらせるため侯爵が取った行動
アムセル侯爵の決断
音がした場所に向かうリンデン。
するとそこには、血まみれのアムセル侯爵が倒れていました。
彼はレベッカと同じように、塔から飛び降りたのです。その命で”対価”を支払い、争いを終わらせるために。そして息絶えた彼の顔は、この上なく平穏でした。
リンデンは粛清を決行
アムセル侯爵の死を目の当たりにし、リンデンは絶句します。宮廷に戻った後も、1人で頭を抱えますが…
秘書のクリスが入室すると、虚ろな目で「今すぐ貴族派全員を捕らえる」と宣言しました。
ただならぬ様子にクリスは慌てて止めますが、リンデンは理性を失っており全く話を聞きません。鬼気迫った表情で剣をとり、マリエンの元へと向かいました。
まず最初に、諸悪の根源であるマリエンを葬ろうと考えたのです。
マリエンを葬るため、離宮に向かう
マリエンのいる離宮に、ズカズカと侵入するリンデン。母と妹をあれほど追い詰めた貴族派を、許せるはず無かったのです。
が、しかし。その時リンデンの脳裏に、亡き母・レベッカとの思い出が過ります。
まだ幼い頃、一緒に花畑に行ったとき。レベッカに将来の夢を尋ねられ、リンデンは「音楽家になりたい」と答えたのです。皇帝にはなるのは嫌だと、バツが悪そうにしますが…
彼女は微笑み、彼の頭を撫でながら言いました。どんな仕事をしようと関係ない。ただ、あなたが幸せなら良い…と。
また同時に、エリーゼに懇願されたこと(134話参照)も思い出します。彼女は必死に頭を下げ、貴族派への温情を願っていました。
けれどリンデンは、その思いを打ち消すように怒鳴ります。そんなこと出来るはず無い!と、剣をぎゅっと握り直しました。
リンデンが見たのは、変わり果てたマリエンの姿
マリエンの部屋に到着するも、いざ彼女を見るとリンデンは躊躇します。
なぜなら彼女の体は、自傷癖によりどこも傷だらけ。しかも部屋の隅に1人でうずくまり、すすり泣いていました。
長年恨み続けたマリエンは、予想だにしないほど哀れな姿になっていたのです。
それでもリンデンは歯を食いしばり、彼女に剣を振り下ろしますがーーーその時、殿下!と叫ぶ声がしました。エリーゼが止めに来たのです。
リンデンは結局、マリエンを処罰できなかった
リンデンはどうしても、マリエンを葬ることが出来ません。彼は剣を落とし、立ったまま涙を流しました。
「私はどうすればいい。貴族派を許さなければならないのか?」
そう尋ねる彼を、エリーゼは後ろから抱きしめる事しかできませんでした。
外科医エリーゼ今回の感想(ネタバレあり)
137話の感想
リンデンは本編にて「謝罪するなら対価を払え」的なセリフを言っていましたね。
彼はアムセル侯爵を信じていないので、どうせ対価なんて払えないだろうと高を括ったワケですが…
でも、アムセル侯爵は本心から謝罪をしているんですよ。どんな理由があろうと、リンデンを苦しめたのは事実ですから。
なのでアムセル侯爵は、リンデンの要求どおり対価を支払うでしょう。
しかも彼は、長く生きられない体です。となると、対価として支払うのは…
はい。嫌な予感しかしませんね。『外科医エリーゼ』が始まって以来の、鬱展開になりそうです。
138話の感想
うん。わかってた。鬱展開になるのは知ってた。
リンデンに対価を払うには、アムセルが自分の命を差し出すしかありません。
多分ほとんどの読者は、この展開を予想していたでしょう。
けれどリンデンは、彼の行動を予想できませんでした。アムセルがどれだけ覚悟でこの塔に来たのか。彼がどれだけ家族を大事にしていたのか。気づけなかったのです。復讐心で目が曇っていたのでしょうか。
さらに138話で、リンデンは”チャイルド家の闇”を見てしまいます。彼らもまた、あの事件で苦しんだのです。
結局リンデンは、あれほど憎んだマリエンを目の前にしても、処罰できずに立ち竦みました。
アムセル侯爵の人柄について考察
137話にて、”百願の宮”を訪れたアムセル侯爵。エリーゼの言葉に感化されて、自分の罪を見つめ直します。
彼の立場を考えれば、少なからずレベッカへの恨みもありそうですが…アムセル侯爵は塔の中を見回しながら、レベッカがどんな気持ちだったのか考えました。
この描写を見るに、彼は”できた人間”なのかなと思います。貴族派の重鎮なので、もちろん際どいことも行っている様ですが…
アムセル侯爵の本質は、家族思いで責任感の強い男性なのでしょう。
だからこそ、妹を蔑ろにした皇帝を許せなかったワケですね。
レベッカの心情
”百願の宮”の内部について描写がありました。
レベッカが軟禁された部屋って、窓以外ほぼ何もありませんね。あの部屋に娘と2人でずっと閉じ込められたワケですから、相当辛かったでしょう。しかも冤罪ですから、尚のこと苦しかったはず。
恐らく最初は「皇帝が助けに来てくれる」と信じていたのかもしれませんが…
けれど彼女に救いはなく、軟禁生活にも耐えられず。そして結局、身を投げてしまいます。
アムセル侯爵の言葉を借りるなら、あの小さな窓から見える”青空”に希望を抱いたのでしょう。
切ないですね。
ここまで一気読みと言うお正月から何とも贅沢な事をさせて頂きました。
翻訳しながらずっとお書きくださるのは大変な作業だと、本当に有難く、そしてドキドキワクワクしながら読ませてました。
いよいよ大詰めなのですね!
これからもどうぞよろしくお願いします。
更新して下さるのを楽しみに待っております♡♡
コメントありがとうございます。少しでも喜んでもらえたなら嬉しいです!
【マリエンを葬るため、離宮に向かう】の内容、亡き母マリエンじゃなくてレベッカではないでしょうか?