【考察】再婚承認を要求します外伝・ソビエシュの回帰のラストシーンについて

考察と書籍

この記事では『再婚承認を要求します外伝・ソビエシュの回帰』について管理人の考察を紹介しています。

とくに最終回については、ソビエシュは現実世界に戻ったのか。なぜ懐中時計が途中で止まったのか。いろいろと疑問が残るストーリーでした。

本記事ではこれらの疑問について管理人なりの答えを出したので、暇つぶしがてら読んでもらえれば嬉しいです。

本記事は『ソビエシュの回帰』を読まないと理解できない内容です。未読の方は、こちらの1話目リンクからお読みください。

はじめに|外伝のストーリーは全て繋がっている

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『ソビエシュの回帰』について考察する前に、まず本作の『前提』についてお話しておきます。この前提を無視するとストーリーを読み解けないと思うので、少しお付き合いください。

前提①外伝は全て繋がっている

これは読者全員が感じたと思いますが、『ソビエシュの回帰』は単体だとストーリーを読み解くのが難しい作品です。

恐らく本作で生じた謎は、次回以降の外伝で明かされるのかなと思います。

前回の『もしラスタがナビエに送られたら』で生じた謎(つまりラスタが見ていた夢は何だったのか)について、パラレルワールドだとわかったのが本作。となると本作の疑問については次回の外伝で明らかになるのでしょう。

つまり外伝のストーリーは繋がっていて、全て読まないと話の全貌が分からない。そういうタイプの作品なのだと思います。

ひよこ
外伝『もしラスタがナビエに送られたら』を未読の人は、こちらの1話目リンクから読んでね。

なのでこの先紹介する内容は、あくまで管理人なりの解釈。情報不足の中、頭をこねくりまわして考えた1つの可能性。その点を踏まえたうえでお読みいただければ幸いです。

前提②この世界の仕組み

次にソビエシュが回帰した理由と、彼がパラレルワールドに残るための条件について復習しておきましょう。本記事では以下の5点を前提としたうえで、ラストシーンにまつわる謎を1つずつ考察していきます。

本作における前提
  • この世界はパラレルワールドである
  • ソビエシュを回帰させたのは例の懐中時計
  • 過去に留まり続けるには、自身の願いを叶える必要がある
  • それができなければ現実世界に戻るしかない
  • 彼の願いとは、ナビエの許しと愛情を得ること

長くなりましたが、ここまでが前提です。以下、管理人なりの考察をまとめました。

ソビエシュの回帰・考察|最終回にまつわる4つの謎

考察①なぜ懐中時計が動き出した?

12話でラスタのお見舞いに行った後。ソビエシュはナビエに拒絶され、そのとき止まっていた懐中時計が動き出しました。

急に時計が動きだしたのは、ソビエシュの願いが叶わないと確定したからでしょう。

言い換えれば、ナビエの愛情を得られる可能性が完全に消えた。もう運命が確定して修正できなくなった。

もっと簡単に言うなら、ナビエに拒絶されたとき現実世界に戻る条件が整ってしまったのでしょう。

学園長も『ソビエシュの願いが叶わなければ現実に戻るしかない』と言っていましたから。懐中時計が動き出したということは、そういう事だと思います。

考察②なぜナビエに触れた瞬間、秒針が止まったのか

現実世界に戻される前に、ソビエシュはナビエに会うためトロビー公爵家に向かいました。最初は居留守を使われましたが、最終的にナビエは姿を現して彼の手を取ってくれます。

そして不思議なことに、彼女に触れたとき秒針の音が止まります。タイムリミットまで1分を切っていたのに、急に音が消えたのです。

このシーンは不思議でしたよね。

もしかすると懐中時計が最後にボーナスタイムを与えてくれた……と解釈することもできますが、『再婚承認を要求します』という作品の傾向を考えるならそんなご都合展開は起きないでしょう。

となれば秒針が止まったことには、何か理由があるはずです。

じゃあその理由とは何なのか?

これは色々考えたのですが、ソビエシュの願いが『半分』叶ったから一瞬だけ時計の針が止まったのかな?と思いました。

つまりこういう事↓かと。

時計の針が止まった理由
  • 12話冒頭で『ナビエの愛情を得る』という願いは破綻した
  • だから懐中時計が動き出した
  • けれどもう1つの願いである『ナビエの許しを得る』はまだ破綻していない
  • 最後にナビエが庭に現れてソビエシュの手に触れたとき、ナビエは彼を許していた。
  • つまり願いが半分だけ叶った状態。だから時計が一瞬止まった。

考えて考えて、たどり着いたのがこの結論です。

きっと全ての出来事には理由があって、それらは全て繋がっている。そう考えたうえでこの解釈になりました。

考察③結局のところ現実世界に戻ったのか

とはいえナビエの愛情は得られなかったので、最終的にソビエシュは現実世界に戻ったはずです。

そうじゃないと学園長の話(つまり1章の前提)と矛盾しますから。逆に帰還してないとおかしい。

ただソビエシュが過去で行った努力すべてが無駄になったかと聞かれれば、そうじゃないと思います。

なぜなら最後のシーンで、ナビエは彼の手を握っていましたから。

補足に書きましたが、ストーリー全体を見ると『手を握る』という行動には重要な意味が込められている気がします(※)

それにナビエの態度を見るに、仕方がなく握ったとはいえ恨みや嫌悪を抱いているようには思えません。もしかすると現実のナビエはすでにソビエシュを許しているのかもしれませんね。

つまり『ナビエに許してほしい』という願いは、最初から半分叶っていた。それが本作のオチなのかなと。

外伝の中で、ソビエシュは何度もナビエに手を伸ばしていました。背を向けて離れていく彼女に手を伸ばしたり、最終話でも屋敷の中にいるナビエに対し、届くはずない距離なのに手を伸ばしたりしていました。
その度に彼は触れる事すらできずに手を降ろしてきましたが、最後にその手を取ってもらえた。この行動には深い意味がある気がするのです。

考察④ナビエのセリフについて

12話の最後で、ソビエシュとナビエの会話シーンがありましたよね。

この時ナビエは「あなたは10年前から私の手を掴もうとするけど~」と言っていたので、彼は随分と長い間眠っていたのかもしれません。

それこそパラレルワールドで過ごしたのは数日間だけだけど、現実世界では10年の時が経っていた。そんな浦島太郎のような状態に陥っていた可能性もあります。

その場合、ナビエの年齢は50代(または60代?)くらいでしょうか。年を取ったナビエもきっと素敵でしょうね。

まとめ|回帰によりソビエシュは少しだけ救われた

ラストシーンの解釈

ナビエの愛情が欲しい。ソビエシュのその切実な願いは叶いませんでしたが、もう一つの『ナビエに許されたい』という願いは叶ったように見えます。

だから現実世界に戻る直前、少しだけ秒針の音が止まって彼女と言葉を交わす時間が得られたのでしょう。管理人はそのように解釈しました。

情報が少ないので正しく読み解けているか自信がありませんが、こういう展開であればいいな……と思っています。

この物語はバッドエンドではない

その上で『ソビエシュの回帰』を1つの物語として評価するなら、ハッピーエンドではないけれどバッドエンドでもないという印象です。

回帰したことで、ソビエシュの気持ちは多少救われたのではないでしょうか。もちろん後悔は残っているけれど、無慈悲な結末ではないはず。

それこそ1話目感想で書いたとおり、少しだけ癒しを得たのかな…という印象です。

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6件のコメント

こんにちは。
前回のコメントでも返信して下さりありがとうございます!
考察を聞いて下さるという嬉しいお返事も下さり、喜びと感謝でいっぱいです!

ゴリ子様や他のサイト様の素晴らしい考察も参考にさせて頂いた上で私なりの解釈を語らせて頂こうと思います。
なお、大変な長文になってしまいますが、お付き合い頂けると幸いです(汗

まず、結論から申し上げますと謎は多く残されていますが私もソビエシュは最終的に現実に戻ったと思っております。
貴女様の仰る通り、この作品の世界観を考えても、そんな都合の良い結末にはならないでしょうし、彼の犯した罪を考えれば全てを叶えるにはあまりにも過ぎた望みですし。

非常に長い前置きになってしまいますが、私なりに分析した「ソビエシュ」という人間を語ります。

まず一貫して思うのは彼は他者の気持ちや立場になって考える能力が欠落しています。
それはもう壊滅的なほどに。

この時点でまず彼は伴侶には不向きな性格です。

その身分故か、全てを自分を基準にして考え、全てを自分の思い通りにしようとする傲慢で非常にプライドが高い性格
また思い込みが激しく、感情に流されやすい性格で公私を区別しなければならない立場であるにも関わらず、政治の場にも自分の感情を持ち込む場面が多々見られる。

一方で恵まれた環境故か、自分が傷付く事には弱く、痛い所を突かれればはぐらかし、自分に不利な事は隠して物事を有利に進めようとする心の弱い小心者

女性やか弱い動物には優しい…というか、それもあるのでしょうけど私なりの解釈としましては、そういった対象を慈しみ与える事で自意識を満たし、「善人」として振舞う自分に酔っている印象を受けます。
出会ったばかりの哀れで可憐な容姿のラスタは完璧で自立したナビエ様と違って庇護欲を刺激し、自分がいなければ何も出来ず、男としての優越感をさぞ満たしてくれる存在だったのでしょう。

父親の浮気癖に苦しめられた母親を見て育っておきながら同じ過ちを犯す…しかも自分を棚に上げてナビエ様が愛人を作る事はおろか、仕事だろうと二人きりになるのは駄目…あまりにも身勝手ですし矛盾していますよね。

もしかするとソビエシュには浮気ではなく、何も持たない可哀想なラスタに施しを与えているだけであって浮気ではない!ってつもりだったのでしょうか?

そしてラスタには「気に入らないものは小さな動物であっても躊躇いなく傷つける者に子供は任せられない」と言っていましたが、ソビエシュだって嫉妬心から自分が気に入らないという理由でナビエ様の部屋に近づく鳥(=マッケナ)を打ち落としましたよね。

妊娠が判明する前からラスタに夢中になるあまり、ナビエ様に酷い仕打ちをしていたのに、娘が生まれた時「この子を守るために最愛の女性と別れた」と都合の良い美談にすり替える始末

一見まともな事を言っているように見えて、どこまでも自分の事は棚に上げる性格…
最終的にはラスタに全てを擦り付けて自分の立場は守ろうとしたり、全ての事柄に対して被害者のように振舞う性格は「自分は悪者になりたくない」という本能の表れだと思っております。

そして異常なまでに執着しているナビエ様に対しても、ナビエ様の気持ちを無視してどこまでも自分の都合と気持ちばかり押し付ける姿勢も

こうして並べてみるとハインリとは本当に正反対の性格をしています。ナビエ様とも。

幼い頃からナビエ様と共に英才教育を受けてきたにも関わらず、自分の感情を押し殺してでも皇室の為、国の為に尽くすナビエ様と違い、ソビエシュは自分の衝動を抑えられない性格。
ソビエシュの感情に左右されてしまいやすい性格は生来のものだと見て間違いないと思います。
もうこの時点で夫婦としての相性が悪いし、ナビエ様に掛かる負担が大きくてバランスが取れていないでしょう。

更に致命的な事に、ナビエ様を愛していながらナビエ様の気持ちや痛みに鈍感ですよね。

公の場でラスタを優先してナビエ様に恥をかかせ、ナビエ様にとって大切な兄のコシャールを一方的に追放し、一年後には再婚するつもりだからと離婚を言い渡し側室に負けて捨てられた皇后という歴史的にも汚名を着せられる仕打ちをしている事にも全く考えが及ばず…

ラスタが不正使用した手形や、結婚式でのパレードの国民のナビエ様に対する辛い反応にだってソビエシュは何も感じる事はありませんでした。
真実を知ったベア会長はナビエ様とそれほど交流があったわけでもないのに彼女の気持ちを想像するだけで涙せずにはいられなかった程なのに…。
誰より長く近くでナビエ様の努力と国への思いを知っている筈のソビエシュが本来は一番心を痛めるべきなのに…。
せめてラスタを叱ってナビエ様に謝罪と弁償をすれば誠意が伝わったかもしれないのに、彼がしていたのは手紙で言い訳したりラスタとの結婚式の真っ最中に花嫁を差し置いて復縁を迫るという薄っぺらで非常識なものばかり。違う、そうじゃない感がすごいです。

数え上げれば上げる程にソビエシュは夫には不向きですよね。
ナビエ様に対する行動と誠意がハインリと全てが正反対です。
むしろ皇帝としてもどうかと…

人の気持ちを考えられない時点で彼はナビエ様を幸せにする事も、愛される事も不可能だったのだと思います。
そもそも愛人を作って妊娠させた挙句、その子を後継者にする為に離婚→側室を皇后に→一年後に再婚なんて身勝手な計画、人には感情があるという当たり前の前提を理解出来ていれば思いつきもしませんよ。

ナビエ様の皇后という分厚い仮面の向こうに隠された誰よりも優しい心と一人の女性としての可愛らしい素顔に気付き、ナビエ様を心ごと全てから守ろうというハインリ

対して長い間一緒にいたのに人を上辺だけでしか見れず、皇后の仮面に隠された素顔は昔と何一つ変わらず優しく暖かいままだと…むしろその仮面こそが誰よりも強い責任感と優しさの証だという事にも気付かず、表面だけを見てナビエ様を冷たい人間だと罵ったソビエシュ

どちらが愛されるかなんて比べるまでもありません。

すみません、あまりの長文故か送信してもコメントが表示されなかったので、分けて送らせて頂きます…!(土下座

続きです。

最後は後悔したり娘を守る為にプライドを捨てたりと成長はありましたが、やはり根っこの本質は変わらないのだなというのが外伝を見て思った事です。

過去に戻りたい
ナビエが妻だった頃に戻りたい
許されたい
愛されたい
ずっと過去に留まりたい

ずーっと自分自分自分…自分の思いを遂げようとするばかりで、そこにナビエ様の感情を介在していませんでした。
173話の感想で述べた通りの行動に付け加え、ナビエ様の気持ちが落ち着くまで何もしないで暫くそっとしておこう。とかの配慮すらありませんでした。
ソビエシュからすれば会いたくて仕方なかったナビエ様が目の前にいて、だけどいつ現実に戻ってしまうか分からない焦りと恐怖からそこまで考える余裕が無かったのでしょうが、結局は現実と同じで回帰しても自分の気持ちを押し付けるだけの独り善がりな愛でした。

愛というより、むしろ執着と依存じゃないか?と思う事があります。

ソビエシュの周囲からも同情を買ってしまう程の哀れな姿で縋りつく姿は、されている側からすれば情に訴えかけて脅迫されているようなものだと思います。
まるで許せない自分が酷い人間なのかと錯覚してしまう程、良心が痛むんですよ。こういう事されると。
私も似たような事を肉親にされた経験あるから分かるんです。

ラスタやお腹の子、エルギ公爵、コシャールお兄様や他にもやるべき根本的な問題が山積みなのに、ソビエシュがやっている事はナビエ様の「表面的な」ご機嫌取りばかりなんです。
それもナビエ様の優しさに付け込み、寄りかかり、依存しているだけの他力本願なものです。

私からすれば、彼のしている事は例えとして挙げるなら辛辣ですが「欲しいものを買ってくれるまでここから動かないと座り込んで駄々をこねる聞き分けの無い子供」のようだと思いました。

しかもクッキーの件や本当の未来の事も最後まで黙ったまま。
果たしてこのような「根本的な」誠意ある行動がないのに、愛されるという願望は叶うのか?
愛する人の幸せを奪って自分の元に縛り付けて自分の幸せばかり優先するような男が愛されるのか?
答えは否でしょう。

そもそも加害者が被害者に対してあれこれ求める資格なんて無いんです。
本当に償いたいなら被害者の意向を全て呑み、自分からは関わらないのが真の誠意であり、償いであり、愛情なのだと思います。

それにソビエシュは現実でナビエ様が妊娠した事を知っていますから、必然的にグローリエムを女帝にする事に固執する必要は無くなるのでナビエ様の方が優先度が増して当たり前なのです。
仮に子供が出来なくても、ナビエ様を手放す事は自信の不幸と破滅を意味するのですから。

ソビエシュが何故これほどまでにナビエ様に執着するのか何度も考えました。

そして私なりに考えたのが、ソビエシュにとってナビエ様は単なる友人と愛する人ではなく、
「幸福と栄光の象徴」だからではないのか、と。

ナビエ様を伴侶とし、愛され、夫として父親として皇帝として誰よりも幸福と栄光を極めたハインリを見て、本来であればそこは自分の居場所だったのに。という考えがあったのではないでしょうか?
反対にナビエ様を手放したソビエシュは後悔と孤独と贖罪の侘しい人生を送る事となった。

ナビエ様を得るか失うかで人生の明暗が分かれてしまう。
だから愛されたいと執着する。幸せになりたいから。

だって何度も言ってしまいますが、ソビエシュは自分の願望ばかりでハインリと違ってナビエ様の気持ちに寄り添ったり、幸せにしようという気概が見受けられないんですもの…ナビエ様に「幸せにして貰う」事ばかり考えてますよね。

悪人とまではいかなくとも、人の気持ちを考える能力が致命的に欠如しているから、全てを自分の物差しで考え、結果的に愛情ですら押し付けるだけの独り善がりで自分本位なものになってしまう。
そしてハインリのように嫌われてしまうかもという恐怖に駆られても、真実を打ち明ける勇気も誠実さも持てない。
ハインリがナビエ様から信頼と愛情を得る事が出来たのは、ソビエシュがして来なかった努力をしたからこそなのです。
でも彼には「それ」が出来ない。

それが「ソビエシュ」という人間の本質なのだと思います。

だから時を巻き戻して分岐点に立っても、少し未来を変える事が出来ても、結局ソビエシュは「ソビエシュ」でしかないから。
ソビエシュが「ソビエシュ」という人間である限り、どうしたってナビエ様とは親友にはなれてもハインリのような愛し合う関係には至れない。ナビエ様に愛され、幸せに出来るような”器”では無いという事実と運命に変わりはないのだと思います。

IFルートのラスタでもゴリ子様は仰っていましたよね。
「小さな運命は変えられるけど、大きな運命は変えられない」私もその通りだと思います。
IF世界でも結局ソビエシュは別の人と浮気してナビエ様を傷付けて失う事に変わりはないのですから。

個人的には歴史に”もしも”は存在しないというのが私の見解です。
一つ一つは小さく些細な事で、一見すれば偶然に見える事でも、紐解いていけばそこには一人一人の人間が積み重ねてきた経験や生まれ持った人格から形成されていった価値観が織りなす「必然の行動」があり、それら一つ一つが交差し絡み合って事象が生まれる。
だからこの世の全ては「必然」で出来ているのかもしれません。

「もしも」や「あの時こうしていたら」はその必然が起きて結果が出た時でなければ生まれません。

ナビエ様への愛も未練も後悔も、自分が犯した全ての罪に対する反省と贖罪も、失わなければ顧みる事すらなかったでしょう。
だからソビエシュが回帰後にした行動は結局はズルい後出しじゃんけんに過ぎないのです。

そもそも、回帰して離婚を避けられたとしても、そうなると西と東の戦争が起きてしまうのではないか?という疑問が残ります。
ナビエ様がハインリと結婚したからこそ戦争が起きずに済んだのですから。

そして現実に戻った後、回帰したパラレルワールドはどうなったのか?
個人的な願望が混ざりますが、歴史を歪めるイレギュラー…悪い言い方をすれば居る筈の無い異物がいなくなった事で魔法の時計は分岐前に巻き戻って本来の正しい歴史を刻んでいて欲しいなと思います。

長々とすみません(汗

次で最後ですm(_ _)m

ここに至るまでの前置きが非常に長くなってしまいました。

ラストシーンの目覚めたソビエシュがナビエ様に手を取って貰って終わりでしたが、同時にこれがソビエシュの人生に幕が下りた瞬間だと思います。
回帰編のソビエシュはずっと体調が悪そうでした、仰る通り強大な魔法による代償か、あるいは元々死期が近づいていたのか。

他のサイト様や貴女様の考察も交えさせて頂きます。

別のサイト様はこう仰っていました。
ソビエシュの最大の失敗は子供とナビエ様の両方を手に入れようとした事だと。
それが間違いだと気付き、子供を諦めて自分の失敗をやり直したから最後に幸せな気持ちで永遠の眠りにつけたのではないかと。

確かにあのまま回帰せず亡くなっていれば、成仏出来ずに魂は現世を彷徨う事になったと思います。
ラスタの時は大神官が彼女の祈祷を行っていましたが、年齢的に考えればもう既に大神官も亡くなっているでしょう。
となるとソビエシュの死後、彼の魂を鎮める人がいないんです。
そうなると強すぎる未練を残したままのソビエシュが死後、亡霊となって周囲に悪い影響を及ぼすかもしれない。

そうなる事無く成仏出来るように魔法の時計は、神は罪を償う人生を送ったソビエシュにささやかなご褒美を与えたのではないでしょうか?

私からすれば、ソビエシュは生きながら死んでいるも同然だったのだと思います。

深い後悔とどうしても断ち切れないナビエ様への未練…そして自業自得とはいえカルル侯爵しか傍に誰もいないという孤独が、より一層ナビエ様がいた頃の過去を美しく幸せなものとして輝かせ、執着を強めるものになってしまった。
皇帝としての役目を終えた後、孤独を背負いながら後悔だけで生きるソビエシュはまさしくナビエ様との過去に生きるだけ、幸せだった頃の日々に追い縋るだけの”亡霊”のように生きてきたのでしょう。

結果、過去に戻りたい。愛されたいと自分の思いを遂げる事でしか救われる事が出来ない「未練と後悔の亡霊」と化してしまった。

でも全てを叶えるには彼の犯した罪は重すぎるから。
そして「大きな運命」は変えられないから。だから

ラスタとの離婚裁判後、一晩中立ち尽くしても会って貰えなかったあの日の夜と違って会って貰えた事が

後ろ姿での別れではなく正面からの別れが

離婚後の現実でどれだけ伸ばしても一度も取って貰えなかった手を最後に取って貰えた事が

独りではなく求め続けたナビエ様に看取られながら逝けた事が

ソビエシュに対して向けられる最大限の救いだったのではないかと個人的には思います。

他のサイト様が仰っていた事ですが、彼の後悔を誰より近くで見てきたカルル侯爵がナビエ様に懇願してソビエシュの見舞いに来て貰っていたのかもしれません。

夢の中での10日間を現実では10年間…

現実のナビエ様もハインリと子供達との幸せな日々が、ソビエシュの過去の仕打ちを許すことが出来た…どうでもよくなった、とも言えるのかもしれませんが。
ゴリ子様の仰るように愛される願いは結局叶う事は無かったけれど、許される事は叶ったのだと思います。
それと間違いを受け入れ、子供を諦めてひたすらナビエ様だけを求める事を選んだから、本来現実で選ぶべきだった正しい選択を最後の最後に出来た事で最後の一瞬だけ時計が止まったのではないかなと思います。

詳しい全容は分かりませんので、続きの外伝で明かされたら良いなと思っております。

まとめると言いつつ、やはり長々と支離滅裂になってしまいお目汚し失礼致しました。

ソビエシュに対して大分厳しい意見が入ってしまいましたが、ご不快になられてしまっていたら大変申し訳ございません…!

ここまで目を通して頂き誠にありがとうございました!

匿名さん、コメントありがとうございます!
大変興味深い考察で、なるほどなと思いながら読ませていただきました。匿名さんが本作を深く読み込んでいるのがヒシヒシと伝わってきます。

原作を知らず、解説のみを拝読させていただいた感想です。

人物的にハインリッヒの方が性格が良く、ソビエシュは身勝手と思えてハインリッヒの方が好きです。原作者はJ・k・ローロングのハリー・ポッターの魔法界の過去を変えられる時計を念頭に書いたのではないかと思い、大神官は意識だけが飛んでいる状況と解釈していましたが、彼は実際に使用したことがないのでそれが事実かどうか不明です。よって、ハリポタのように魔法の時計を使用した効果で過去が変わり、現実が1つに統合され、ラストはナビエとソビエシュが夫婦のまま更に10年経過したのではないかと思います。

最後にナビエが手を差し伸べたことは、ナビエが意識しなくても、それも1つの愛の形と思うので、過去を変える条件は満たされたと感じます。

ヨーロッパの王族の夫婦の婚姻関係が日本より奔放なのは歴史的事実ですが、帝政は王政と違ってより重いと思うので、ハインリッヒは初恋の女性ではなく別の同国人を妃に迎えて西大帝国として発展し、ソビエシュとナビエは夫婦のまま東大帝国として発展し、互いに自主独立を保つ方が祖国愛にかない、その国の皇族としての責任感を感じ、好感が持てます。自主独立を脅かしたいという野心をかかえた国が戦争を起こしたら、防衛のために戦うのみです。

実際に、ペルシア帝国の皇子が帝位について、「望んでも得られぬ者がおり、望まずとも得ねばならぬ者がいることを知るべきだ」と言いましたが、愛情のみを追求したらこの言葉は実現しません。帝国の伝統を重んじるなら、愛は育むものであるということも、皇族にはあると思います。

続きで恐縮ですが、日韓併合時代、李王に日本人妃が嫁ぎ、朝鮮人の貴族たちと朝鮮で優雅に暮らしていましたが、日韓併合がなくなった途端、朝鮮人の貴族たちは迫害されて3冊もある親日辞典に名を載せられて弾圧され、一部の人々は今になっても墓を暴かて遺体に危害を加えられたし、当時、李王は嫌われて韓国から追い出されて日本で暮した事実があります。

韓国人の作者もこの事実を知っているでしょうが、他国に嫁いでも権力を持つ同国人が、祖国で歓迎されるのは、なかなか実際には難しいので、あくまで小説やマンガの中のファンタジーとして、解釈が色々あってよいと思います。

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