『再婚承認を要求します』のサイドストーリー『ソビエシュの回帰』について、1話目のストーリー概要および考察をまとめました。
タイトルのとおり本作の主人公はソビエシュ。元妻・ナビエを忘れられず後悔しながら生きてきた彼に、不思議な出来事が起こる物語です。
目次
再婚承認を要求します『ソビエシュの回帰』について
作品概要
『ソビエシュの回帰』は『再婚承認を要求します』のサイドストーリーです。全12話で同作の326話~337話にあたります。NAVERにて2023年1月に掲載されました。
ストーリーを簡単に説明すると、ソビエシュが過去に戻る話です。
ただし回帰したのは離婚法廷が行われる直前。このままだと再びナビエと離婚することになるので、彼は離婚回避のために奮闘するーーーという内容です。
外伝1話(326話)の概要|ナビエの肖像画に話しかける
ソビエシュの日常
ソビエシュはいつものように誰もいない西宮を訪れると、皇后用の部屋に飾られたナビエの巨大な肖像画に話しかけます。
「来たよ、ナビエ」
そして物言わぬ絵に、その日の出来事を語って聞かせるのでした。
いまだ未練を断ち切れず
4時間ほど肖像画と過ごしていると、カルル侯爵が迎えに来たのでソビエシュは寝室に戻ります。
その際にカルル侯爵は「もう西宮には行かない方がいい」と進言しました。もう年なのだから未練を断ち切って良い事だけを考えるべきだし、1日に何時間も冷たい西宮で過ごすとなると体調面が心配だからです。
するとソビエシュは、過去に戻りたいと本音をこぼします。離婚する直前でもいいからナビエが妻だったころに戻りたいのだそう。
カルル侯爵は悲しげな瞳で話を聞きながらも「その時期に戻っても大変でしょう!」と笑って彼を元気づけようとしました。
気がつくと過去に戻っていた
ベッドで眠りについた後。
ソビエシュは気が付くと、離婚法廷の真っただ中にいました。
目の前には冷たい表情のナビエがいて、法廷の中央にある壇上には険しい顔の大神官が立っている。何百回も悪夢で見た”あの日”にいたのです。
夢にしてはやけにリアルな光景なので混乱していると、大神官が重々しい声で「ナビエ皇后は離婚に応じるのですか?」と問いかけます。
このままでは離婚が成立してしまうので、ソビエシュは慌てて「離婚しません!」と叫びます。たとえ夢の中だろうと、ナビエを手放したくなかったのです。
補足|外伝のソビエシュの年齢は?時系列について
本作の時系列について
本作におけるソビエシュの年齢ですが、恐らく”中年”と呼ばれる年齢でしょう。恐らく50歳は超えているかと。
『ソビエシュの回帰』の作中に以下の表現があったので、外伝55からかなりの時間が立っていると推測されます。
- カルル侯爵に白髭がある
- ソビエシュ自身が「年を取ると~」という台詞を言っている
時系列については明言がないものの、ナビエの娘・ラリに皇位を譲った後だと推測されます。そうでなければ1日に4時間も、しかも護衛をつけず出歩けるはずがありませんから。
ネタバレあり考察|ハッピーエンドにはならない物語
ネタバレ感想|ソビエシュの後悔について
外伝3作目はソビエシュ視点の物語。しかも回帰系です。『再婚承認を要求します』の世界観でタイムスリップものが描かれるなんて誰が予想したでしょうか。
それにしてもソビエシュ、いまだにナビエのことを”思い出”にできないのですね。毎日何時間も肖像画に話しかけるあたり、心から彼女を恋しがっていると分かります。
また本文中に『ソビエシュが暗い目をしている』という表記があったことから、ずっと後悔しながら生きてきたのでしょう。カルル侯爵との会話中も、無理に笑っている感じがヒシヒシと伝わってきました。
カルル侯爵はソビエシュを励まそうと気遣っていますが、これだけ未練が残っているなら立ち直るまでにまだ時間がかかるでしょうね。もしかしたら一生このままかもしれません。
考察|ハッピーエンドは望めない
通常タイムスリップ系の作品では、主人公が不幸な事件を未然に防いでハッピーエンドを迎えるものです。
しかし本作の場合、ソビエシュが満足するような結末にはならないでしょう。
彼の罪を考えれば、それは過ぎた望みですから。
けれど罪と向き合い娘のために尽くしたのも事実だから、小さな幸福なら得られるかもしれません。いわゆる『がんばったご褒美』として。
それがどの程度の幸福か分からないけれど、ソビエシュが誠心誠意行動してナビエへの愛情を示し続ければ、もしかしたら最後に少しだけナビエから優しい言葉をもらえるかもしれない。
その程度の幸せなら、回帰中に得られるのかな…と思います。