『再婚承認を要求します』原作小説186話~187話のネタバレと感想です。
前回、ロテシュ子爵は家族を守るためにけじめを付けました。彼はラスタを道連れにして地獄に落ちる覚悟のようです。
さらに今回、イスクア子爵夫妻も逮捕されます。逮捕ラッシュが続く東大帝国ですが、この先どうなるのでしょうか?
186話の概要|ナビエは東大帝国の醜聞を知って困惑する
西大帝国にもスキャンダルが伝わる
ナビエが寝室のイスで眠りかけていると、そこに侍女たち全員(みんな微妙な顔をしている)が入ってきます。さらにジュベール伯爵夫人から新聞を渡されたので、ナビエが目を通すとーーー
そこには東大帝国の醜聞がありありと書かれていました。
- グローリエムは皇女ではない
- ラスタは妻子持ちで、再婚であることを皇帝に隠していた
- グローリエムの実父は、第一子の父親と同じである
- ゆえにグローリエムは廃位にされた
新聞を読んだナビエは困惑します。ソビエシュの結婚式のときに『どうか幸せにならないで』と願ったものの、まさかこれほど悲惨な状況になるとは思わなかったのです。
東大帝国で逮捕ラッシュが起きる
エベリーに危害を加えた罪により、東大帝国ではイスクア子爵夫妻も逮捕されました。
この状況に国民たちは困惑します。行方不明だったイスクア子爵夫妻が現れたと思ったら、急に逮捕されたのですから。
さらに国民はエベリーが皇帝の側室(実際は誤解だが)であることを思い出し、事件の裏にラスタがいるのではと噂します。
さらに同時期、エルギ公爵が借用書と港のことをマスコミに暴露します。その結果ラスタへの世論はさらに悪化し、また彼女を抑えられなかったソビエシュもバッシングされました。
187話の概要|イスクア夫妻はラスタを庇い続ける
イスクア子爵夫妻の裁判
世論が悪くなったので、ソビエシュはイスクア子爵夫妻を裁判にかけます。どうせ彼らは偽親なので、事件の裏にラスタがいることを証言すると思ったのです。
しかし彼の予想は外れました。
イスクア子爵夫妻は処罰を避けられない状況なのに、ラスタは無関係だと証言したのです。
元々苛立っていたソビエシュは、そのせいで余計に怒りが大きくなります。なぜ偽親がラスタを庇うのか理解できなかったのです。
この状況では皇帝と言えどラスタを処罰できません。下手をすれば冤罪だと言う人が出てくるでしょう。
夫妻は真実を知ってしまう
しかし事態は、思わぬ方向に転がります。
ロテシュ子爵が監禁中のイスクア子爵夫妻に会いに行き「エベリーはあなたたちの娘だ」と暴露したのです。
- イスクア子爵夫妻が探していた娘の1人はエベリーである
- またラスタがその事実を知りながら隠していたことも暴露する
真実を知ったイスクア子爵夫妻は、なぜもっと早くに教えなかったのかと怒鳴ります。また同時に、彼が今さらこんな話をするのは意図が(もちろん悪い意味で)あると推測しました。
”最後の仕事”を終えたロテシュ
その後ロテシュ子爵は、首都の邸宅――使用人は解雇したため誰もいない――に戻ります。そして唯一残っていた古参の執事にありったけの現金を渡すと、この金を妻と執事自身のために使うよう頼みます。
そして執事を領地に送り出すと、子爵は1人ですすり泣くのでした。
再婚承認を要求します|ネタバレ感想とストーリー補足
ネタバレ感想①親の愛情ってすごいね
『再婚承認を要求します』の186話~187話を読んで、親の愛情ってすごいなと改めて思いました。ロテシュ子爵にしろイスクア子爵夫妻にしろ、自分が死ぬかもしれない状況で娘を守ろうと思えるのですから。
とくに夫妻の方は、処罰されるのを覚悟で血のつながりがないラスタを守ろうとしています。この人たちは人間性に問題があるけれど、それでも“優しい親”なのでしょうね。
ネタバレ感想②本当に娘だと思っていた?
夫妻は登場したばかりの頃「娘がもう1人増えたようで嬉しい」と言い、ラスタの手を優しく包んでいました。
今考えれば、この時のセリフは偽りのない本心だったのでしょうね。ラスタのことを本当に”3人目の娘”として可愛がっていたのかも。当時はこのシーンを読み流していましたが、今更になって響いてきました。
ストーリー補足|愛情に気付かない男
186話あたりでグローリエムは病気になっています。この報告を聞いたときソビエシュは無視しますが、結局は部下に命じて子供の病気について調査させました。
なおソビエシュは同シーンで「憎たらしいアレンの子供に振り回されるなんて!」と自分自身に腹を立てています。しかし彼のこの気持ちも、きっと一種の愛情なのでしょう。
彼はイスクア夫妻がラスタを庇ったとき「理解できない」と言っていましたが、このシーンで彼もまた”理解できない行動”をしています。そのことに彼自身が気付かないのが、何とも寂しく感じます。
更新ありがとうございます。
ナビエの侍女たちは分別と優しさのある素敵な女性たちですね。
攻撃されるナビエを庇ってラスタの悪口を言っていた彼女たちですが、さすがに笑い飛ばすには悲惨すぎるラスタと東大帝国の状況に、東大帝国出身者として慎みを持っているというか。
西大帝国皇室にいる以上、大っぴらに悪口を言ってはゴシップになってしまうと口を噤むことができるのはさすが皇后の侍女ですね。
ソビエシュは偽親が庇うのが理解できないと激怒していますが、それはソビエシュ自身に跳ね返ってきますよね。
ラスタのお腹にいたグローリーエムを愛するあまり、皇帝になれない我が子を憐れんで愛するナビエを廃位にしました。
この時点でラスタは自分を愛してナビエを廃位にしたと誤解していましたが、ソビエシュはあくまでグローリーエムを皇帝にしたかったから母親のラスタを皇后にしただけ。
グローリーエム自身がソビエシュを騙した訳ではないのに、ソビエシュの怒りの矛先が既に溺愛していたグローリーエムに向かっているのは道化のように滑稽ですね。
あれだけ溺愛していたのに似ていないと疑惑を抱いて愛情が薄れ、グローリーエムがラスタに手荒く扱われたと激怒してラスタと引き離したほど庇護していたのに、病気になって医師に診察する必要があるのに無視。
どちらかというとこのシーンは「実子じゃないと分かった途端、あれだけ可愛がっていたグローリーエムを医師にも診せない冷たい皇帝」と想われたくない世間体もあったのではと思います。
ソビエシュへ激しいバッシングが行われている以上、少しでも世間を味方につけないとまずいですからね。
ラスタを廃位にしてもナビエが西大帝国皇帝の子を妊娠している以上、ソビエシュは新たな皇后を探さないといけませんから。
イスクア夫妻がラスタに(ロテシュ子爵に?)なんで早く教えてくれなかったと怒っていましたが、これはラスタのことを責めるのは酷かなと。
ラスタ的には見つからない程度に探せと思っていたらロテシュ子爵が本当に見つけてしまった。
そうしたらイスクア夫妻は偽親をさっさと辞めて実子のエベリーを迎えてしまいますよね。
ラスタが一応イスクア夫妻の見つかっていないもう一人の娘というポジションに収まれば偽親は継続できたかもしれませんが、一人見つかったならもう一人もいずれ見つかるかもしれない。
あれだけ優しくしてくれたイスクア夫妻の愛情が実子に奪われるので、ナビエのようにエベリーを排除して自分の安定したポジションを確保しようとした。
ロテシュ子爵はその件でラスタを永遠に強請って金を引き出せるし、ソビエシュも偽親を続けて欲しいから実子を探すつもりはなかったでしょう。
此処に関してはロテシュ子爵の調査力が凄すぎたのだと思います。
コメントありがとうございます!
なるほど、確かに世間体のためにグローリエムを医者に診せざるを得なかった…というのもありますね。
なんと言いますか、人間の複雑な部分が凝縮されたような切なさを感じる回でした…。
ロテシュ子爵もイスクア子爵夫妻も全体的に見てお世辞にも善人とは呼べませんが、それだけでは語れないところがありますよね…。
もちろん自業自得だし犯した罪は消えませんが、金に目が眩まなければ、権力に酔いしれなければ、ラスタ達に関わらなければ本来であれば犯罪を犯すほどの悪人では無かった筈なのに、加害者であると同時に運命に翻弄されてしまった被害者でもあるのだと思います。
ロテシュ子爵の身内に対しては愛情深く、それ以外の人間はどうなろうと構わないというのは、ある意味人間らしいとも言えますね。
実の祖父に金を引き出す道具扱いされた挙句どうでもいいと切り捨てられるアンが不憫でなりませんが…。
執事の反応を見るに、当主としても別に横柄に振舞っていたとかは無く、領主としてちゃんとしていたから執事も悲しんでいたのでしょうし。
ラスタを脅迫して金品をせびっていた事は悪だと思うし、擁護は出来ませんが、最後は悪足掻きせず覚悟を決めて遺していってしまう家族の為に出来る限りの事をした事は立派だと思いました。
お金に目が眩みさえしなければ、至って普通の田舎の貴族の領主として幸せに生きられたでしょうに、お金や権力というのは本当に人を狂わせてしまいますね…。
イスクア子爵夫妻は血の繋がりがなくてもラスタを実の娘のように思っていたのですね…。
そこまで思われていたのに、その思いを裏切ったのはラスタ自身
けれど親子の愛に触れた事など無いラスタにとっては本当の娘が現れたら自分は捨てられるかもと思ってしまうのも無理はないでしょう。
実の父親が自分を簡単に見捨てたのに、義理の父母が自分を絶対に見捨てないなんて信じられないでしょうし。
だからといって夫妻を利用してエベリーに危害を加えてしまったのが失敗でしたね。
一番やってはいけない形でイスクア子爵夫妻の情を裏切ってしまった。
今後の展開は承知していますが、ロテシュ子爵もイスクア子爵夫妻も、そしてラスタも人間性に問題はあれど、本来であれば歴史に名を残すような大罪人になるような悪人では無かった筈なのに、些細なきっかけでここまで道を踏み外してしまう。
しかも原因になったのが、そのどれもが人間なら誰しもが持っているであろう欲望や負の感情…。
現実でも些細の事がきっかけで犯罪に手を染めてしまって抜け出せなくなってしまう人間の話は決して珍しくありませんし、作者様は遠回しに誰もが彼らのようになってしまう可能性を持っているのだという事を作品を通して暗示しているのかもしれないと思いました。
>人間の複雑な部分が凝縮されたような切なさを感じる回でした…。
わかります。私も同じことを感じました。再婚承認を要求しますという作品は、本当にいろいろ考えさせられます。