漫画『今世は当主になります』の58話のネタバレと感想です。
フィレンティアによる『既製服の高級化戦略』は見事に成功し、貴族たちに上手くアピールすることができました。
そして前回のラストでは、ようやくペレスと2人きりに。久しぶりに再会した2人は、どんな会話をするのでしょうか?
フィレンティアとペレスは3年ぶりに会話をする
3年経っても変わらない2人
3年ぶりに再会したフィレンティアとペレスは、他愛ない話をします。
「手紙ではここまで背が高かったなんて言わなかったのに」
「俺…大きくなりすぎた?ちょっと減らそうか?」
「すでに高くなった身長をどうやって減らすのよ」
会話をしながらふとペレスを見ると、3年前と比べて肌がツヤツヤしていて健康的です。また彼はフィレンティアに言われたとおり、よく食べてよく学び、特に剣術の練習を頑張っていると言います。
それを聞いたフィレンティアは「えらいね!」と言って、昔のようにペレスの頭をなでようとしますが――
ペレスは背が高くなったので、フィレンティアの手はわずかに届きません。
するとペレスは頭を下げたので、フィレンティアは『王族がこんなに簡単に頭を下げていいのかな…』と思いながらも、彼の頭をよしよしとなでました。
「頑張ったねペレス。本当に頑張ったよ」
柔らかく微笑みながら、ひたすら褒めるフィレンティア。一方でペレスは、頬を染めながら黙って彼女の手を受け入れるのでした。
ペレスからの贈り物
またこの時、ペレスはフィレンティアに赤い宝石をプレゼントします。
しかもその宝石はバラの形にカットされていて、明らかに高価なものだとわかります。
「まさかこれ、ルビー?」
「うん。君にあげようと思って」
驚くフィレンティアに対し、ペレスは何でもない事のように頷きます。しかもこの宝石は、ペレスが直接彫刻したのだとか。
しかしフィレンティアは、急にルビー(しかも高価)を渡されたので困り果てます。そのせいで声は震えて顔色も青くなりますがーー
この時、彼女はふと思いました。
(いや待てよ。私が遠慮する必要ある?ペレスがここまで成長したのは、3年前に私が死ぬほど苦労したおかげだし。後でペレスが皇太子になったら、このルビーの価値はうなぎ登りよ。皇帝陛下が自ら彫刻した宝石の花…!)
最初は慌てていたフィレンティアですが、ルビーの真の価値に気付き、結局は素直に受け取ることにしました。
あなたともっと会いたい
フィレンティアがルビーを受け取ると、ペレスはチェーンを取り出してルビーをネックレスに加工してくれます。
そのネックレスを身に着け、微笑むフィレンティア。するとペレスは彼女を見つめながら、ぽつりと『お願い事』を話しました。
「…あの、時々会う方法はないかな?もうすぐ君の誕生日だから。これからは君と…こうして直接会って話がしたいんだ」
フィレンティアにもっと会いたいと望むペレス。
しかし彼女は、その好意にあふれた言葉を『手紙は誰かに読まれる可能性があるから重要な話を書きたくないのだろう』と間違って解釈します。そしてコロコロと笑いながら告げました。
「心配しないで、ペレス。ケイトリンはむやみにあなたの手紙を読む人じゃないよ」
フィレンティアは全くペレスの気持ちを理解していません。
しかし彼はそれ以上言及することなく、ただ薄く微笑んで「そうだね、君がそう言うなら」と大人しく引き下がりました。
会場に戻った後、ドレスを宣伝するため次の作戦を実行する
フーズ家の少女と出会う
その後、フィレンティアはペレスと会っていたことがバレないように1人でこっそりと会場に戻ります。するとその時、少女2人に声を掛けられました。
「こんにちはフィレンティア様。私はガーズ家のパトリシア。この子は妹のヘイリーです」
格上であるロンバルディの娘に対し、畏まりながら挨拶をする2人の少女。
しかしフィレンティアは威張ることなく親しげに話かけるので、ガーズ家の少女2人は少し照れながらも嬉しそうに質問しました。
「そのドレス、とても綺麗ですね。失礼でなければ、どなたの作品かお聞きしてもいいですか?」
周囲の令嬢たちも同じことを思っていたようで、皆フィレンティアたちの会話に耳をそばだてます。そしてこの状況に、フィレンティアはにやりと笑いました。
というのも今日のフィレンティアの目的は『モデル』になる事なのです。
まず最初にギャラハンとの提携を望んでいる投資家に情報を流し、その後で『消費者』の興味をひく。
つまり今の状況は、フィレンティアが待ち望んでいた状況です。
そのため彼女は、周囲に聞こえるようハッキリと告げました。
「このドレスは、ギャラハン衣服店で準備中の新しいドレスです」
これほど美しいドレスが既製品だと聞き、周囲の令嬢たちは驚きます。そして令嬢たちはフィレンティアの傍に寄って来て、興味深そうにドレスを観察しますがーー
その時、遠くない位置から凛とした声が聞こえます。
「お待ちください。そのドレスは、ロンバルディのお嬢様が直接飾られたのですか?」
声の主は、赤い瞳とブロンドの髪を持った令嬢でした。
『今世は当主になります』58話のネタバレと感想
58話のネタバレ感想|鈍いフィレンティアと忠犬ペレス
フィレンティア、それは酷いよ。
ペレスはこの3年間フィレンティアに会いたくて会いたくて仕方がなくて、今日のために高価なルビーまで準備していました。
にも関わらず、フィレンティアはその気持ちに全く気付きません。今までどおり文通すればいいじゃない!という返事をしました。
これ、ペレス視点だとかなり残酷な話ですよ。自分はどうしようもなく会いたかったのに、相手は違うのですから。
気持ちの大きさ的には、ペレス>>超えられない壁>>フィレンティアくらいの差があるのかなと思います。
ペレスが可哀想。
でも彼はフィレンティアに文句を言うことも無く「君がそう言うなら」とあっさり従いました。相変わらずの忠犬っぷりです。
彼女が望むなら、ワガママも言わないし頭も下げるし高価なルビーもあげる。58話のペレスは、とにかく健気な恋する男の子…という印象でした。
というかフィレンティア、普段は頭がいいのに恋愛ごとになるとポンコツになるんですね。早くペレスの気持ちに気付いてあげて…!