小説『再婚承認を要求します』の外伝56『もしラスタがナビエに送られたら(1)』のネタバレと感想です。今回のお話はタイトルの通り、ラスタにまつわる”IF”の物語。全8話で構成されています。
もしナビエがラスタの面倒を見ていたら、どうなっていたのか。ストーリーの概要をまとめたので、ぜひお読みください。
目次
ロテシュ子爵の屋敷にいた頃、ラスタには憧れの人がいた
ラスタの憧れの人
階段3つと踊り場2つ、長い廊下、5つ目の扉。
あの方はいつもそこにいた。
「わあ…ステキ」
ラスタは洗濯物を持ちながら、ドアの前に立ち尽くして部屋の中を眺めます。部屋の中には“ある人物”の肖像画がたくさん飾られていて、ラスタは新しく入ってきたという肖像画を眺めました。
濃い金髪を一つに編み、緑色の瞳でどこかを凝視する姿。身にまとった白いドレスのせいか、今回の絵は他の絵よりも非現実的でした。
するとそこにルベティが現れ、なぜ私の部屋に立っているの?と問い詰めます。そのためラスタは、ただ絵を見ていただけだと弁解します。
「ラスタもあの方が好きなので、ただ見ていただけです。 部屋の中には入りませんでした」
しかしルベティは神経質な顔で、私の絵を勝手に見るなと警告しました。
階段3つと踊り場2つ、長い廊下、5つ目の扉。
その部屋の中にはラスタが最も憧れる人がいたけれど、いつもその人を見れるわけでは無かったのです。
ラスタにとってのナビエ像
皮の剥けた手の平を見下ろして、ラスタはため息をつきます。するとそこに軟膏の箱を持ったアレンが現れました。
また叱られたんだって?と言いながら、ラスタに軟膏を渡すアレン。彼は普段から、なぜかラスタを気遣ってくれるのです。
「ルベティは皇后様に夢中だ。 皇后様に関することなら、完全に目が回る。知ってるじゃないか」
そう言われても、ラスタはお姫様…もとい皇后様に会いたいのです。
ラスタにとって皇后様は、童話の主人公。心が広くて、苦しんでいる人を放っておけない人。
そのうえ皆、彼女は世界で一番ご立派な方だと称賛するのです。だからラスタは、ナビエ皇后が自分を見たら憐れんで手を差し伸べてくれると思っていました。
(会わなくても分かる。そんな人をどうして好きにならずにいられるだろうか)
伯爵夫婦の噂
ラスタが調理室に洗濯物を取りに行くと、使用人たちが料理をしながらおしゃべりをしていました。
どうやら隣の領地の伯爵夫婦の話題らしく、伯爵には愛人が9人もいて夫人も愛人数人を家に連れ込んでいるのだとか。さらに配偶者と愛人たちは仲が良く、互いを兄弟姉妹と呼ぶそうです。
「おかしくなりそう。理解できない」と言いながら、使用人たちは噂話をし続けました。
ラスタは誕生日に、予想外のプレゼントをもらう
アレンからの誕生日プレゼント
その日はラスタの誕生日でしたが、彼女はプレゼントもお祝いも期待せずに部屋の外に出ます。
きっといつもどおり仕事だろう。そう思っていると、アレンがこっそり彼女を呼んで小さな額を差し出しました。
「誕生日プレゼント。毎日ルベティの絵を盗み見て、怒られないように」
アレンがくれたのは、ナビエ皇后の肖像画。ラスタは目を輝かせて喜び、絵を抱き締めました。
・・・
ラスタは肖像画を自分のベッドに置き、仕事中も絵を見るため度々部屋に駆け付けます。そして日々、絵に話しかけました。
しかしある日。
ラスタが部屋に戻ってくると、ベッドの上に置かれていた肖像画が消えていました。
同僚から話を聞くと、なぜかルベティのメイドが絵を持って行ったそう。ラスタは唇をかみしめて躊躇ってから、本館に向かいます。そしてルベティの部屋に到着すると、泣きながら抗議しました。
「お嬢様、ラスタの絵を返してください!」
しかしルベティは、家のお金で買ったものだからラスタの物ではないと反論します。さらにナビエの絵を臭い部屋におくのは侮辱だと言って、ドアを閉めようとしますが…
ラスタはドア枠の隙間に手を差し込んで、ドアが閉まるのを防ぎます。そのためルベティは悲鳴を上げ、さらに騒ぎを聞きつけたのかロテシュ子爵もやって来ます。
その結果。ラスタはロテシュ子爵に頭を殴られ、さらに食事抜きの罰を与えられました。
肖像画を奪われ、ラスタは意気消沈する
翌日。ラスタは泣きすぎたせいか目の前がかすみます。そして座ったまま、数千回・数万回と見た皇后の肖像画を土のうえに力なく描きました。
しかし、下手に真似をするのも束の間。
包帯を持ったルベティがやって来て、豪華な靴でその絵を消してしまいます。彼女はラスタの怪我を心配して来たのですが、平気だとわかって気分が悪くなった様です。
ラスタは口をぽかんと開けて、ルベティの背を見ながらまた涙を流します。
さらにその直後、意地悪な召使がやって来てラスタに洗濯物を押し付けたので、ラスタはひざを抱えて唇を噛みしめました。
屋敷を逃亡し、狩り場でソビエシュに拾われる
ソビエシュに拾われた後
ラスタは医者が自分の足首を見ている間、硬直していました。
(逃げる途中で罠に足がかかって泣きながら助けを求めたけれど、まさか皇帝が助けてくれるなんて…)
しかもその皇帝は想像したこともないほどハンサムで、現実感に欠けていました。
また医者によると、骨は無事ですがしばらくは車いす生活になるそう。それを聞いた皇帝は、ラスタの足に巻かれた包帯を見ながら考え込みます。
そして皇帝はイライザ伯爵夫人を呼び出すと、硬い声で命令しました。
「私のせいで狩り場で怪我をした人がいる。けれど私が連れて行くと余計な噂が立つかもしれない。 だから皇后に彼女の面倒を見てほしいと伝えろ」
ラスタは”皇后”と対面する
ラスタは“皇后”という言葉を耳にしながらも、状況を理解できずにいました。
そして車椅子に乗ってどこかへ連れて行かれた後、お姫様に会ってからようやく“皇后”が誰なのかを悟ります。
「あの人だ」
冷たい表情、きれいに結い上げた髪。あの天使のような男が、自分を童話の中に連れてきてくれたのです。
ラスタがぼうっと立っていると、皇后の額に少ししわが寄ります。隣にいた女性に「皇后陛下に挨拶なさい!」と言われ、ラスタは慌てて口を開きました。
「ラ、ラスタです」
会いたいけれど絶対に会えないと思った人が目の前にいて、ラスタは泣きそうになります。けれど 泣いたら彼女が嫌がるだろうから、ラスタはにっこり笑いました。
『再婚承認を要求します』外伝56のネタバレと感想
感想①お待ちかねのIFストーリー!
外伝56からは『もしラスタがナビエに送られたら』というIFストーリーが開始されます。
”IF”なので、本編とは違う世界線の物語ですね。もしソビエシュがラスタを傍に置かず、ナビエのもとに送っていたら…という設定のお話です。
実は管理人、この話がものすごく読みたくてずっとワクワクしながら待っていました。というのもこのシリーズを読めば、ラスタの本質がわかると思ったのです。
彼女はもともと邪悪だったのか、それとも純粋で染まりやすいがゆえに悪行に及んだのか。これは本編を読んでも結論が出なかった部分なので、作品のファンとしてはやはり知っておきたいです。
感想②ラスタがガチ勢だった件
ラスタが想像以上にナビエのガチ勢でした。ナビエが大好きで仕方がない様です。
ラスタにとって、ナビエは童話のお姫様。
お姫様であるナビエに悩みや心配事はなく、心が広くて、困った人を見ると放っておけなくて、さらにラスタのことも心配してくれてetc…
ラスタにとて、ナビエはそういった人物でした。ものすごく補正がかかっていますね。
ナビエは確かに優しいし、人に寄り添える性格です。なにせ完璧な皇后ですから。けれどナビエにだって悩みはあるし、あくまで人間なんですよ。
でもラスタは、そういったことを理解できていない様です。
感想③やらかしの原因が判明
外伝56を呼んで、少しですがラスタの思考回路が分かった気がします。
ラスタは本編の序盤でナビエを”お姉様”と呼んでしまい不興を買いましたが、これは恐らく伯爵夫婦の噂を立ち聞きしたせいでしょう。
「妻は夫の愛人を『姉・妹』と呼ぶ」という奇天烈な噂を聞いてしまい、ラスタはそれが一般的だと思い込んだのかもしれません。
まるで幼い子供のようですね。
やっぱりif話でしたね
漫画だけお読みの方は違和感は無いかもしれないけれど
頑張って原作小説を1話から自力でも訳して読んでいた身としては
ちょっとびっくりです
あの最初の頃にラスタを拾って可愛いラスタに溺れて
いちゃいちゃするのが好きだった描写のあるソビエシュが別人です
最初にナビエにラスタを託すってことはラスタに骨抜きになってないソビエシュ
それが大前提なんだよなあ~ってことですね
ラスタに溺れたけどあの時間違っていたソビエシュではなく別人
エンジェルはどうなったのかなあ?エルギ公爵は?コシャールとマスタース結局どうなった?
そんな様々なことはわからずじまいで終わるのか~とちょっとがっかりです
>ななしさんへ
私も丸っきり同じ感想です。ソビエシュ、本編とは別人に見えますよね笑
ラスタ沼にはまらなければ、彼はこのまま分別のある皇帝でいられたのかもしれません。
いつもありがとうございます
本編では悲しい結末をむかえたラスタ
もしも…の世界で、今まで見えなかった彼女の心の中をみせてくれるのですね…
ラスタの最期はかなりショックでしたが――
知ってしまったら、トラウマレベルに悲しくなりそうな予感がします
―いわゆる 「推し」を愛でる一般女子目線で見たら、自分の事のように思えそうで怖いな~
>ふわっとさんへ
コメントありがとうございます。
今までラスタに関しては「自業自得」という印象でしたが、今後の展開によっては印象が変わりそうですよね。
ラスタは結局ラスタでした…というBADENDで終わるのか。それともナビエの影響でいい方向に変わって幸せになれるのか。
今後がものすごく楽しみです。
いつもありがとうございます。
これ題名が「もしソビエシュがラスタに心を惹かれなかったら」の方がしっくり来ないですか?
確かにナビエ様はラスタの憧れの人でナビエ様の元で導かれたら運命が変わるだろうけど、もうちょっとソビエシュが寄り添ってくれてたら死ぬことは無かったと思うので、ラスタの魂を救済するのならその役目は本当はナビエ様じゃなくてソビエシュだろうにという気持ちが消えません。
私、ラスタは嫌いではないんですよ。。特に子供を産んだ後が哀れで。。
陛下が思っているよりラスタは陛下の事を愛していると泣きながら言っていたラスタの気持ち、ソビエシュもその後冷めるにしてもラスタに惹かれた事は事実なのにその気持ちまで消してしまったように見えるifは何を意味するのか。
ラスタに愛情が無いけどナビエ様に焼きもち焼かせたいソビエシュバージョン?
それともあまりにも綺麗事過ぎて、もしやこれは誰かの夢?妄想?ラスタが毒薬を飲む前の儚い夢想?ソビエシュがそこから全く無かったことにしたい願望?なんて考えてしまいました。
ハインリがこれで登場するとしたら、武力で東を制圧して国を手に入れたけどナビエ様に愛してもらえずに泣くという姿が浮かんできて私が泣きそうです。
>マリさんへ
いつもコメントありがとうございます。
個人的に、タイトルは現状のままでいいのかなと思います。読者にいろいろな可能性を想像させるという点では、このタイトルはとても秀逸なんですよ。
そもそも1話目の時点では、まだ最後がどうなるのかわかりませんから。極端な話をすれば、ソビエシュがラスタに心惹かれる可能性もゼロではないので。