小説版『再婚承認を要求します』のネタバレ感想です。今回は『外伝51 野望(5)』の概要をまとめました。
前回の最後、ついにソビエシュとモテが対面しました。以前とは違い、今回は互いに父娘であると知った状況での再会です。
この先どうなるのでしょうか?ストーリーを簡単に紹介します。
目次
ソビエシュ&モテ視点|狩猟場にて2人は再会する
ソビエシュ視点
ソビエシュの唇は数回開いたり閉じたりを繰り返し、瞳は速く揺れました。
「グローリエム」と呼びたかったけれど、理性が必死に声帯を抑えます。あの子は真実を知りながら去ったと、ケルドリックが言っていましたから。
そして結局、口から出たのは”モテ”という娘の別の名前。けれどその名さえ悲しくなり、彼は何度もモテの名前を呟きます。
するとモテが遠ざかろうとしたので、ソビエシュは慌てて別のことを言い出しました。
「君が宝石を探してくれたという話を聞いた。それがとても有難くて…」
ありがとうと伝えたかった。そう告げる声は震えていて、目の縁にも水が溜まっています。ソビエシュはそれを堪えようとするも、罠がさらに足に食い込んだため冷や汗を流しました。
モテ視点
その反応を見たモテは、ソビエシュが娘であると知ったうえで知らないフリをしていることに気づきます。
しかしながらモテもまた知らないフリができず、無理やり笑顔を作るも涙が一滴落ちました。それを見たソビエシュは唇を噛みます。
「なぜ泣くんだ。お前は泣かないでくれ」
ソビエシュを助けるか迷った結果
モテはソビエシュを助けるべきか迷いますが、そのとき陛下!と彼を探す人々の声が聞こえたので、走って逃げました。
そしてモテが馬に乗って遠くに行ってしまった後。ソビエシュはようやく「グローリエム」と呼べなかった名前を口にしました。
・・・
騎士たちに救助されると、ソビエシュは騎士の1人にモテを追跡するよう命令します。
モテがどこに住んでいて、どう過ごしているのか。それらを徹底的に調べて報告し、かつ秘密裏に任務を遂行するよう念を押しました。
モテの迷い
モテは狩猟場から離れる間、ソビエシュが無事に救出されたのかずっと気にしていました。
別のことを考えてみても、結局のところ罠にかかったまま自分を切実に眺めるあの目が浮かんできて、モテは涙をのみました。
ラリ視点|ソビエシュの不在を知らされる
皇帝の不在
その頃。
ラリは西大帝国に戻るためソビエシュに挨拶をしに行くと、近衛騎士から皇帝は不在だと聞かされました。おまけに行先を訪ねても教えてもらえないので、ラリは眉をひそめます。
彼は大抵のことでは自分とカイがいる間に席を外しません。
そのためラリは何か理由があるのだろうと察しますが、今日帰らないと西大帝国で行われる誕生日当日のパーティーに間に合いません。
そのためラリはカイに事情を話し、祖父母にだけ挨拶をして帰ることにしました。
リルテアン大公視点|銀髪の女の子についての報告を聞く
部下からの報告
リルテアン大公は顔を真っ赤にして怒っていました。というのも、ラリとカイが東大帝国を去る際に挨拶をしに来なかったからです。
そのため大公妃は腕組みをして、息子をあのような皇女と結婚させるのは問題でしょうと言います。しかし他に適当な結婚相手がいないので、夫婦は口げんかをしました。
するとその時。
部下から「皇帝が密かに銀髪の女の子と会っている」との報告が入ります。また部下によれば、ヴェルディ子爵夫人が珍しくパーティーに参加していたそう。
銀髪・女の子・密会・ヴェルディ子爵夫人…これらの単語からある一人を思い浮かべ、大公は目を見開いて叫びました。
「もしかして!廃位された姫を見つけたのか?」
”悲運の王女”を利用できないか?
大公は1人で家の中をうろつきながら考えます。
もし“廃位された王女“が見つかったなら、これは大公にとって良いニュースです。なにせ彼と親しかったラスタの娘ですから。
そのうえ10年経った今、ラスタを同情する世論が少しずつ出ています。
ラスタが様々な事故を起こしたのは事実ですが、彼女の出身を考えれば、そもそも皇室でしっかり管理すべきだったという批判でした。
また“悲運の王女”については、同情世論のほうがはるかに多いのです。
とくに親子検査を務めた神官が自殺した後。これをきっかけに、神官が脅迫を受けて検査結果を操作したが罪悪感のために自殺したのではないか…という話も出るようになりました。
もう親子検査ができないので王女を復位させることはできませんが、世論は悪くない状態。
そこでリルテアン大公は、“悲運の王女”を利用できないかと考えました。
シシ視点|ソビエシュと会った後、真実に気づく
シシは真実に気づく
ソビエシュに会ってから数時間後。
シシは賢い子だったので、すぐに状況を理解しました。皇帝の娘は、自分ではなくモテだったのだと。
また同時に、モテは男装した女の子であり養父母に嘘の年齢を教えられたのだろうと気づきます。
悩んだ結果
シシは何日も考え込みますが、最終的にはっきり結論を出しました。
「私は誰かの代わりになりたくない」と。
もはや屋敷に残る理由もないと考えて、ヴェルディ子爵夫人が席を外したすきにシシは一人で家を出ます。そして力なく街を歩きながら悩んだ結果、モテに会いに行くことにしました。モテにも真実を伝えなければと考えたのです。
しかし心を決めた瞬間。
大きな何かが目の前にすばやく滑り込んできます。シシは目を閉じて悲鳴を上げるも、逃げる暇すらありませんでした。
『再婚承認を要求します』外伝51のネタバレ感想
感想①シシの受難
現状、シシがかわいそうですね。
常時泉にいたとき、シシは弟の代わりでした。それが嫌で本当の親を探したのに、その親も自分の親ではなかったのですから。
けれど結果的に、シシは自力で破滅フラグを回避したのかなと思います。
『再婚承認を要求します』という作品の性質上、このまま他人に成り済ましていたら恐らくアレイシアの二の舞になったはずですから。
そう考えれば、シシにとって良い方向に転がったとも言えますが…
でもラストで、シシは何者かに襲われていました(※)
恐らくリルテアン大公の手下がシシを誘拐したのかなと思いますが、踏んだり蹴ったりですね。シシがいったい何をしたと言うのか。
そして大公のえげつなさを考えると、シシが無事に解放されるのか非常に心配。
シシを襲ったのは人ではありませんでした。すみません。本文に「大きな何かが目の前にすばやく滑り込んできた」と書かれているのに見落としました。
感想②ストーリー全体を読んで思うこと
他人の家庭に入りこんで家族のフリをする人がいる一方で、本当の家族なのに他人のフリをしなければならない人達がいるのは本当に皮肉ですね。
前者の筆頭はアレイシアとラスタ。そして後者はソビエシュとモテとイスクア子爵夫妻。
この作品を読んでいると、世の中ままならないものだなと痛感します。