小説版『再婚承認を要求します』のネタバレ感想です。今回は『外伝25 姉妹(5)』の概要をまとめています。
前回のラストでは、ヴィンセルがとんでもない勘違いをしましたね。娘のダルタが狙われていると誤解し、常時泉の仲間たちに「マスタスを討とう」と提案しましたが…
その後はどうなったのでしょうか?管理人の感想を添えつつ、ストーリーを簡単に紹介します。
目次
マスタス視点|ダルタを探して北王国へ
コシャールからの手紙
身分がないと言うが、随分遠くから来たものだ…
マスタスはそんな事を考えながら、ダルタの手紙に書いてあった住所に向かいました。そして長時間にわたり馬を走らせた後、住所付近にある池で馬に水を飲ませます。
またこの時、服に入れっぱなしだったコシャールからの手紙に気付き、ためらいながらも手紙を開けますが…内容を見るなり顔を真っ赤にしました。
『一緒に馬に乗る人がいないので寂しい。風が吹いて野営用のテントがはためく度に、その向こうに君がいないか探してしまう』
常時泉の襲撃
後で少しずつ読むために、マスタスは手紙を服の中に仕舞いました。”戦力補給のために早く来い”という意味だとは思うものの、それでも彼女は浮かれたのです。
するとその時、斧が飛んできて横の木に突き刺さります。
振り向くと常時泉がこちらに向かっており、マスタスはニヤリと笑って迎撃の準備をしました。
ナビエ視点|帰らぬマスタスを心配する
ナビエの心配事
ナビエは自室にて、いまだ帰らぬマスタスを心配していました。
ダルタの手紙を持ってどこかに行ったと聞いたけど、それ以来帰らないのはなぜ?もしダルタの所に行ったとすれば、その理由は?
事情を知るクロウも今はいないので、ナビエは頭を悩ませました。
エベリー視点|馬車での移動中に事件が発生
馬と死体とカラス
どうすればダルタを驚かせずに両親の話ができるだろうか…と、馬車の中でエベリーは悩みました。
しかし移動中、御者(ぎょしゃ)が「馬と死体とカラスが現れた」と叫びます。
エベリーが慌てて馬車から降りると、前方には人間の死体らしきものを乗せた馬(頭にはカラスが1羽座っている)がトボトボとこちらに向かっています。
そこでエベリーは馬から人を降ろしてやると、その顔を見て驚きました。
相手はなんとマスタスだったのです。
マスタスを治療する
マスタスは息があったので、エベリーは全力で治療魔術を使います。
するとマスタスは目を覚まし、すぐに体を起こして周囲を警戒しながら聞きました。
「常時泉の盗賊は?」
その質問に「見ていません」とエベリーが答えると、マスタスは冷静にこれまでの経緯を説明しました。
マスタスの証言
ダルタが月大陸連合のスパイだと思っていたが、そうではなく常時泉の仲間だった。その証拠に、彼女を追ってきたら常時泉の盗賊たちが待ち伏せしていた。
話を聞いたエベリーは、血の気が引くような心地がします。
けれど誤解があるのだろうと考えて、マスタスの馬を借りてダルタの元へと向かいました。
ダルタ&エベリー視点|再会した2人の会話
ダルタの懸念
マスタスを追い詰めたが、逃げられてしまったーーー
その話を聞いた時、ダルタは驚くと同時に心配しました。マスタスと接触した以上、処分して死体を隠す必要があります。でないと西大帝国に報復されるでしょうから。
そして悩みながら部屋を歩き回っていると、家に誰かが来たことに気づきます。ドアを開ければ、そこには微妙な表情をしたエベリーが立っていました。
・・・
ダルタは喜んでエベリーを招き入れ、テーブル席に案内してお茶を淹れます。そして近況を尋ねた後で「ここに来る途中、誰か見なかった?」とエベリーに質問しました。
エベリーの確信
ダルタの質問に、エベリーの表情と心は凍りつきます。
先ほどはダルタと常時泉の関係を否定しましたが、この話を持ち出したなら彼女も関係者なのでしょう。
しかし本音とは裏腹に、エベリーは淡々とした顔で”見た”と答えます。
するとダルタが「どこで?見つけた人の調子は…どう?」と質問するので、エベリーはますます苦しみました。怪我のことまで知っているなら、確実に全て知っているのでしょう。
今までの優しく明るかったダルタは一体誰なのか。そう思いながら、エベリーは嘘をつきました。
「ここに来る途中、珍しい木の下で見かけたの。けど死体だったから、ちょっと気分が悪いんだ」
そして吐きそうだから帰るねと告げて、エベリーは家を出て行きました。
ダルタはエベリーの嘘に騙される
エベリーが完全に遠ざかると、ダルタは死体を片付けるためシャベルを持って森へと向かいます。
しかし途中で母・ヴィンセルに見つかり「お前はここにいなさい」と説得され、代わりにヴィンセルが森へと向かいました。
エベリー視点|マスタスVSヴィンセル
最後のテスト
エベリーは村を出るフリをして、マスタスが死んだフリをしている場所に向かいます。そして全体を見渡せる低い丘に登ると、木に身を隠しながら状況を見守りました。
「来ないで、お姉さん…」と願いながら。
ダルタが常時泉の仲間だという確信はあれど、それでも信じたかったのです。つまり、死体があると嘘をついたのは一種のテストでした。
しかし願いは叶わず、斧を背負った知らない女性が現れます。ここに人が来たなら、それはダルタが仲間の盗賊を呼んだということ。
そして盗賊は血まみれのマスタスに近づきますが、周囲には罠が仕掛けられていたため、盗賊は罠にかかって足を引っかけます。
その瞬間、マスタスは隠し持っていた短刀で盗賊の心臓を一気に刺しました。
決別
エベリーが声を抑えて泣いていると「お母さん!」と叫ぶ声が聞こえます。
後を追ってきたダルタが、木に逆さまでぶら下がる盗賊の前で泣いていました。
一方でマスタスは、へたり込むダルタには危害を加えず帰ってしまいます。この時エベリーは助けるべきか一瞬迷いますが、常時泉のしたことは許せないので結局は背を向けました。
そしてダルタの悲鳴から逃げるように近所の村に行くと、迷いながらも「生みの親はイスクア子爵夫妻」と短い手紙を書き、傭兵に「木の下にいる人(=ダルタ)に手紙を渡してほしい」と頼んでその場を離れました。
二度と顔を合わせることはないだろう…と思いながら。
・・・
”東大帝国の港に陣取った多国籍騎士団を、武力を用いてでも排除すべき”
父親に手紙を書く途中、窓ガラスを叩く音がします。驚いて振り向くと、窓の外でクロウ(ダルタの監視役)が鳥の姿のまま焦っていました。
『再婚承認を要求します』外伝25のネタバレ感想
『再婚承認を要求します』外伝25のあらすじ
スパイ疑惑が晴れたと思ったら、またもや誤解されてしまいました。
ダルタのあずかり知らぬ所でマスタスの襲撃が行われ、しかもダルタがそれに関係していると勘違いされてしまったのです。
しかもこの事がバレれば、西大帝国に復讐されるでしょう。そのため彼女は、死体を隠そうと考えますが…
この時、タイミング悪くエベリーが家を訪ねてきたため彼女にまで誤解されます。
その結果、ダルタは一度にたくさんの物を失いました。母・ヴィンセルは死亡してエベリーにも愛想をつかされます。マスタスの情けにより命は無事でしたが、とんでもなく悲惨な状況になりましたね。
予想はしていましたが、地獄みたいな結末です。
今後のストーリー予想
次回あたりで、ダルタがマスタスに復讐しそうな気がします。多分、このまま引き下がりはしないでしょう。
しかもこの状況下で、ダルタは手紙(エベリーが傭兵に託したもの)を受け取るワケですよ。相当辛いでしょうね。育ての親が亡くなった後で、生みの親が罪人だと知らされるワケですから。正直、可哀想な子です。
個人的には、なぜダルタがここまで悲惨な目に合わなきゃならないのか…という印象です。ラスタのように自業自得で身を滅ぼすならともかく、ダルタはそこまで悪い事をしていないと思うんですよ。
ダルタがメインの話は次回で終わるようなので、どう決着がつくのか気になります。
もしナビエに報告していたら
もしもの話になりますが、マスタスが予めナビエに報告していれば結果は違ったのかなと思います。
そもそもマスタスの推理には穴が多く、客観的に物事を見ていれば”ダルタが常時泉の仲間でありながらナビエに味方していた可能性”に気付けたんですよ。
それこそ頭のいいナビエなら、真実を見抜けたでしょう。なにせ本編中でも、ナビエは名探偵並みの推理力を発揮していますから。
後の祭りですが、どうしても「あの時マスタスが相談していれば…」と考えてしまいます。いや彼女の気持ちもわかるんですけどね。ナビエが好きだから、身内にスパイがいるなんて話は聞かせたくなかったのでしょう。
けれど結果的に、優しさのせいで事態が悪化しました。皮肉な話です。