漫画『余命わずかの脇役令嬢』の30話~31話のネタバレと感想です。
前回はフェリオールにより『創造の奇跡』にまつわる詳細が明らかになりました。この能力を持った人は、みんな例外なく芸術病にかかったそう。カリナと同じですね。
カリナは今後どうなるのでしょうか?以下にストーリーの続きをまとめました。
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30話|フェリオールはカリナにお願い事をする
フェリオールのお願いとは?
フェリオールは『創造の奇跡』を見せてほしいとカリナにお願いします。
カリナはちょうど実家に手紙を置いてくる予定だったので「それでは伯爵家につながる扉を描いてみましょうか?」と提案し、大きなキャンバスの前に立つと下書きもなしに絵の具で絵を描き始めました。
スラスラと絵を描いていくカリナ。それを見たフェリオールは、口をぽかんと開けて見惚れます。
(なんてことだ、これは目が離せないな!私が今までに見てきた誰よりも力強く繊細な腕前だ…!)
カリナの才能は本当に美しく、彼はこみ上げる感情をどう表現すればいいのか迷うほどでした。
癒しの旋律
一方でカリナは、絵を描きながら冷や汗をたらします。体調が優れず、腕がうまく動かないのです。
するとその時、フルートの音が聞こえてきます。
フェリオールが演奏するその音色を聞いていると、なぜかカリナの体調が回復しました。
(さっきより呼吸が楽になった。なんだか体も軽くなったし、不思議ね。これがカルロス家の持つ癒しの力なのかしら?それにしても、本当に美しい音色だわ)
フルートの音色を聞きながら、カリナは扉の絵を完成させます。いつもどおり彼女の絵は美しく、まるで実物のような出来栄えです。
するとその時、フェリオールは瞳を輝かせながら言いました。
「…カリナ。私は今、あなたに恋に落ちたようです」
「…はい?」
突拍子もない言葉に、怪訝な顔をするカリナ。しかし彼は気にする様子もなく、嬉しそうに語り出しました。
「私の音色はどうでしたか?カリナが絵を描く姿に合わせて即興で演奏してみました。私はいつもフルートを持ち歩いてるので」
彼によれば、カリナの絵を見た瞬間にあまりの美しさに自然と音色が浮かんだそう。
カリナはあの素晴らしい曲が即興だという事実に驚きながらも、絵を褒めてくれた彼にお礼を言うのでした。
いざレオポルド邸へ
カリナが絵を具現化させて扉を開いたので、フェリオールもその後に続きます。
すると扉の先にあったのは質素な部屋。そのため彼は、レオポルド伯爵邸にある空き部屋だと勘違いしますがーーー
実はここはカリナの私室。彼女はそこに足を踏み入れると、寂しげに語りました。
「アベリアの部屋はレースや人形がたくさんあるんです。他の令嬢の部屋も似たような雰囲気なのでしょう?妹や弟の世話があるから、友達と付き合えなくて遊びに行ったことはありませんが…」
一人くらいは友達が欲しかった…と語るカリナ。するとフェリオールは自信満々な態度で言いました。
「残念そうな顔をしないでください。私がいるでしょう!こうして一緒に外出したのだから私達はもう友達ですよ!」
カリナは友達がどんなものなのかすら分かりません。しかしそれでも、彼は友達だと言いながら笑顔で手を差し出します。
カリナはその言葉が嬉しくて、にこりと笑って握手を交わしました。
カリナの置手紙
カリナは置手紙をしようと思っていましたが、ここで困った事態になります。
というのも自室に手紙を置いて行けば、いつ発見されるか分かりません。かといって他の部屋に行こうとすれば使用人に見つかるでしょう。
それをフェリオールに相談すると、彼はいい方法があると言ってフルートを取り出します。そしてカリナに、窓を開けてしばらく耳を塞いでいるよう言いました。
31話|カリナは父親の部屋に行き、置き手紙を残す
レオポルド家の現状
「ねえ、最近屋敷の雰囲気が重くない?」
庭を掃除しながら、メイドたちはぼやきます。
というのもカリナがいなくなってから、レオポルド家の面々はずっと気落ちしているのです。
食事中、レオポルド夫妻はろくに会話をせず、インフリックは家に帰らず、アベリアは意気消沈して食事をせず、フェルダンは周囲の顔色ばかり伺っているのです。
そのためメイドたちは、早くカリナに帰って来て欲しいと話しますがーーーその時、音楽が聞こえてきて急激な眠気に襲われました。
フェリオールの能力
屋敷を歩きながら、カリナは周囲を見回して驚きます。
というのもフェリオールの能力により、屋敷にいる全員がその場で眠ってしまったのです。
今ならどれだけ屋敷内を歩き回ろうと、誰にも見つかりません。そのためフェリオールは会いたい人がいるなら見てきてもいいと言いますがーーーカリナは俯いて、そんな人はいないと答えます。
そしてこれから届けに行く手紙も、家族に別れを告げる手紙だと言いました。
「きっと伯爵は、私の亡骸を見るまで芸術病のことを信じません。冷たくなった私を見て少しだけ後悔して、その後すぐに怒るでしょう。不満があるなら早く話せばよかったのにと…」
死に物狂いで『私を見て』と言っても目もくれなかったくせに。悲しげに笑いながらカリナは語ります。
しかしその時、倒れているアベリアを発見したためカリナは心配して駆け寄ります。
そしてフェリオールに頼んで、アベリアを部屋まで運んでもらいました。
アベリアをベッドに横たえると、カリナは心配そうに妹を見つめます。そして彼女の耳元で何かを呟くと、その場を後にしました。
カリナの新たな望み
「あの、カリナは家族と仲が悪かったのですよね?」
フェリオールの質問に対し、カリナは「それほど険悪ではありませんよ」と否定します。
きっと他人から見れば、穏やかで幸せな家庭に見えたはず。その幸せが誰かの犠牲の上に成り立っていると知らないから。
そしてカリナは、フェリオールに自身の望みを語りました。
「私の作品を世に残したいです。アベリアの姉でもレオポルド家の長女でもなく『画家・カリナ』として」
そのためには『ここ』にまつわる全てを忘れるのが優先だと、彼女は言いました。
カーシス視点
出先から帰ってきた父・カーシスは、使用人から奇妙な話を聞きます。というのも先ほど、屋敷内にいる全ての人間が一定時間眠りについたそうなのです。
その話を聞いたカーシスは眉をひそめながら自室に入るとーーー
机の上には1通の手紙が置かれていました。しかも封筒には何も書かれていません。
「この手紙を置いて行くために、誰かが何かをしたのか?」
そして手紙を開封すると、そこには次のように書かれていました。
最初にこう書けば、きっとあなたは私が誰なのか先に悩むでしょう。言いたいことは多くありますが、もう全て意味がありません。私は病気にかかりました。だからもう屋敷に帰ることはないでしょう』
見慣れた字体に、カーシスをよく知るかのような文章。その文面から、彼はひとりの人物を思い浮かべました。
「まさか…カリナ?」
『余命わずかの脇役令嬢』のネタバレと感想
ネタバレ感想|フェリオールの優しさ
フェリオールは優しい子ですね。
カリナに恋をしたと言いながら、彼女が友達を求めていると知るや否や「私が友達ですよ!」と断言してくれました。カリナが迷わないように、それはもう自信満々に友達発言をしたのです。
カリナはそれが嬉しかったようで、その後ニコニコ笑っていました。彼女の理解者がまた一人増えましたね。良い事です。