小説版『再婚承認を要求します』のネタバレ感想です。今回は『外伝50 野望(4)』の概要をまとめました。
前回ソビエシュは、モテの正体が娘のグローリエムだと勘付きました。しかしモテは、性別や年齢をごまかしています。果たして彼は真相にたどり着けるのでしょうか?
管理人の感想を添えつつ、ストーリーを簡単に紹介します。
ソビエシュ視点|モテ=グローリエムだと勘付く
モテの正体をさぐる
ソビエシュの表情が露骨に変わったので、傍にいた近衛騎士団長は心配して彼を支えようとします。
しかしソビエシュは大丈夫だと言って、助けを拒みました。意地を張っているのではなく、いつにも増して頭がはっきりしていたのです。
そして彼は真相を確かめるべく、ヴェルディ子爵夫人に命じてシシを宮殿に連れて来させました。
シシの証言
シシはわけもわからず、急いで宮殿にやって来ます。
そして小さな庭にひとり佇むソビエシュを見つけると、彼の表情を見てびくっとしました。なぜなら彼は、絶壁の先に突き落とされたように切羽詰った表情だったのです。
ソビエシュはシシを見るなり、慌てて「君の友達は、男で合っているか?」と質問しました。シシはその通りですと答えますが、彼は質問をやめません。本当に男なのか?その目で直接確かめたのか?と繰り返します。
しかしシシの呆れた様子を見て、ようやく自分が無茶苦茶な質問をしていることに気付きました。
「あの、お父様。もしかしてモテに何か問題でもあるんですか?」
“モテ”
その名前を聞いたソビエシュは、宝石を探してくれた子が同じ名前だったことを思い出します。そして近衛騎士団長に命じて、今度はケルドリックを連れて来させました。
ケルドリックの証言
「モテという子。女の子だったのか」
ケルドリックを呼び出すと、ソビエシュは彼に考える時間すら与えずいきなり本題に入ります。
ケルドリックは動揺しながらもごまかそうとしますが、皇帝が泣いているので困り果てました。
もともとプチョン夫妻がモテの正体を秘密にしてきたのは、ソビエシュがモテを幽閉したり処刑したりするんじゃないかと考えたからです。けれど彼は、モテを懐かしんでいるように見えます。
そのためケルドリックは揺らぎますが、結局はモテの意思を尊重して「モテは男の子です」と嘘をつきました。
しかし皇帝から返ってきたのは、冷たい微笑でした。
「すでにシシからその子が女の子だと聞いたが、とても自然に嘘をつくんだな」
この言葉はもちろん嘘で、探りを入れただけ。しかしケルドリックには効果てきめんで、彼の顔からは血の気が引きます。
その反応を見たソビエシュは確信します。モテは男装した女の子で、自分の娘であると。
するとその時、恐ろしさで縮こまっていたケルドリックは勇気を出して切り出します。
「陛下、どうかご息女を捕まえないでください」
ソビエシュが威圧的に見下ろしてきますが、彼は言葉を続けます。モテが真実を知りながらも、黙って去って行ったことを打ち明けたのです。
ソビエシュの結論
話を聞き終えると、ソビエシュは罰を与えることなくケルドリックを帰らせます(ただし監視は付けましたが)
そして部屋に戻ると、潜伏するための服に着替えました。
ちゃんと顔を一度だけ、笑顔を一度だけ見たい。たとえ傍にいられなくても、遠くから娘が豊かに暮らせるように助けたい。
ソビエシュはそう考えて、すぐにモテに会いに行きました。以前会った時、念のため人を付けておいたので居場所を探すのは難しくないでしょう。
モテ視点|首都を出た後、リムウェル領地に立ち寄る
兄・アンを訪ねる
その頃モテは、いろいろな感情を抱えていました。そしてふと、ラリを思い浮かべて苦しくなります。自分の正体を知ったら、ラリに嫌われるかもしれないと思ったのです。
そうして心配しながら馬で進んでいくうちに、分かれ道で“リムウェル領地”の名前を見つけます。
昔、そこに”悲運の王女”の兄が住んでいると聞いた記憶が蘇り、モテは兄に会いたくなってそちらに向かいました。
・・・
リムウェル領地にある食堂に立ち寄ると、モテは店員にさりげなく質問します。
あのお城に住んでいる人の中に、アンという人はいますか?
すると店員は、あなたも見物しに来たのですか…と言い出しました。どうやら誤解されたようで、人間は見世物ではないのだから帰りなさいと注意されたのです。
狩り場での出会い
(店員が味方してくれるのを見ると、嫌われていないようだし、それでいい)
モテは食事を終えてから1泊して、翌日に宿を出ます。そして隣の領地に行くため、近道である“狩り場”を通ることにしました。
ところが狩り場を進んでいく最中、後ろから話し声が聞こえてきます。さらにその声は近づいてくるので、モテはわけもなく馬のスピードを上げると…
その瞬間に「モテ!」と四方八方に大声がひびき、森がかすかに揺れます。
モテはそれが皇帝の声だと気づいて慌てますが、振り返らずに進みました。
しかしその直後、後ろから悲鳴が上がります。
モテはぞっとして心配になり、悩んだ末に馬から降りて皇帝のほうに向かいます。するとやはり、馬が罠を踏んだのか倒れていました。そして…
ソビエシュもまた、他の罠にかかって地面に倒れていました。
彼は何とか上半身を起こして罠から足を抜こうとするも、上手くいかないのか苦痛に満ちたうめき声を吐いています。
(皇帝が一人で来てはいないだろう。誰かいるはずだから帰らないと)
モテは自分の足を無理やり後ろに引っ込めるも、そのせいで木の葉を踏んでしまい音が鳴ります。それを聞いたソビエシュが、罠を開けるのを止めて振り向くとーー
二人の視線が虚空でぴたりと交わりました。
『再婚承認を要求します』外伝50のネタバレ感想
感想①最後のシーンについて
というワケで、外伝50話はソビエシュとモテが再会したところで終了しましたね。2人の視線が交わるシーンは、何とも印象的です。
昔、ソビエシュは狩りに出かけた時、罠にかかったラスタを助けました。そして時を経て、今度は罠にかかったソビエシュをラスタの娘であるモテが助けに来ます(正確にはまだ助けていませんが、多分次回で助けるのでしょう)
このシーンは過去と現在がうまいこと繋がっていますよね。管理人は『再婚承認を要求します』の運命的な描写が大好きなので、とても印象深かったです。
感想②ソビエシュの病気が治るかも?
外伝50話の原文には、ところどころ
「頭がハッキリしている」
「今回は幻想も幻聴もなかった」
など、ソビエシュの病状が回復しているような表現が記載されていました。これはソビエシュの病気が治る伏線なのでしょうか。
娘が生きていると知ったことで心が救われて、病状が回復する…みたいなハッピーエンド展開だと嬉しいですね。
けれどモテの反応次第では、ソビエシュがより絶望して不幸のどん底に落ちそうな気もします。病気が回復すると見せかけて逆に悪化するような鬱展開もあり得るので。
この状況、次回が怖いです。