小説版『再婚承認を要求します』のネタバレ感想です。今回は『外伝39 栄光(4)』のストーリーを紹介します。
前回のラストでは、怒り狂ったシシの両親がモテの秘密を暴露しました。モテは最悪な形で、自分の出生の秘密を知ることになりましたが…
自分の正体を知った彼女は、これからどうするのでしょうか?管理人の感想を添えつつ、概要を簡単にまとめました。
モテ視点|自分が重罪人の娘だと知ってしまう
真実を知ったモテ
シシの父親に殴られる度、モテはふらつきます。しかし痛み以上にモテを苦しめたのは、シシの母が吐いた悪口でした。
「何してるんだ!」
するとそこにプチョン夫妻が現れてシシの両親を殴り返したため、ようやくモテは解放されて地面に座り込みます。
その後は大人たちが乱闘を繰り広げるも、モテの目には何も入らず耳鳴りがして、シシのことを考えていました。
放心状態のモテを連れ出したのは…
モテが放心状態になっていると、誰かに強い力で腕を引っ張られて立たされます。その人はしっかりしろと低い声で告げて、モテを支えます。
するとモテは涙をぽろりと一滴零し、唇を噛みめて横を見ると・・・そこにいたのは首長・ケルドリック。彼は行こうと言って、大騒ぎの中からモテを連れ出しました。
・・・
ふらふらと歩いてどれくらい経ったのか。モテはようやく意識を取り戻して、シシ…と呟きます。彼女を探しに行かなければと考えたようです。
しかしモテの考えを察したケルドリックは、そもそも居場所がわからないだろうとため息をつきます。するとモテは唇をぎゅっと噛み、力なくしゃがみ込んで言いました。
「シシが僕のせいで死んだらどうするんですか?」
「あいつは賢い。お前とは正反対だ。死に場所を探しに行く奴じゃない」
「でも、シシのおじさんが言ったじゃないですか。僕は重罪人だって。あれはどういう意味?」
その言葉にケルドリックは口をぱくぱくさせて頭をかきむしり、なぜ俺がこの説明しているのか分からないと言いだしました。今から説明すべきことが煩わしく、おまけに機嫌も悪かったので事前に癇癪を起したのです。
ケルドリックの気遣い
ケルドリックは近くの大きな木の下にモテを連れて行き、ポケットから飴を取り出してモテに渡します。そして一つため息をつくと、内心でプチョンめ…と悪口を言いながら、モテの前にしゃがんで言いました。
「モテよ、聞け。お前が重罪人の娘であることは確かだ。誰の娘なのか、正確には言わない。お前は俺の娘じゃないから、どこまで言えばいいのか分からないんだ」
そして大事なことだけ言うぞと前置きしてから、シシがついて行った貴婦人はモテの実母ではないと説明します。
「正確なことは知らないが、お前が罪人の娘だと知りながらこっそり引き取ろうとした人だろう」
その言葉にモテは目を見開き、先ほどよりも安心しますが…
同時に、自分の存在が発覚すれば危険だとも気づきます。そのためモテは再びシシを助けに行こうとしますが、ケルドリックに足をつかまれて座らされました。
なおも焦るモテに、彼は告げます。
「危ないことは大人がやるから、信じて待ってろ。俺が調べて来てやる」
シシが今どこにいて、この先どう生きるのか。全部ケルドリックが確認してくれると言うのです。
その言葉に、モテはすぐに頷きました。
東大帝国に行こう
モテは心が大分軽くなったものの、ソワソワしました。自分の実母である重罪人のことが気になったのです。
するとケルドリックは普段より穏やかな声で、東大帝国の首都に用事があるから一緒に行くか?と尋ねます。
するとモテは喜んで頷き、また彼の気遣いに感謝して無理に明るいフリをしました。
なおケルドリックが東大帝国の首都に行くのは、盗まれた宝石を回収するため。
というのも、ソビエシュがラリの誕生日プレゼントとして用意していた世界で一番高い宝石が誰かに盗まれたのです。
ナビエ視点|カイの本心と願い事
カイを心配して部屋を訪ねる
ナビエはカイの部屋を訪ねます。食事のときにラリが野望を豪語する中、無言でフォークをいじるカイの姿が気になったのです。
部屋に入ると寝室の方から音が聞こえたので覗いてみると、カイが机で紙を破っていました。
ナビエが声をかけるとカイは慌てて紙片を隠すも、量が多すぎて見えています。
紙片の内容を確認すると、そこには子供なりに熱心に研究したさまざまな案件や策が書かれていました。
「なぜ破っていたの?素敵ね」
中には理想的な事案もいくつかあり、破くような物ではありません。するとカイはためらいがちに小さな声で答えました。
僕の欲のせいで国民が苦しむのも嫌だし、ラリと仲が悪くなるのも嫌だから…と。
さらにカイは、ラリが東大帝国の皇帝になるのが正しいと言います。というのも彼は、ソビエシュたちがラリの方を好いていると気づいていたのです。
その言葉にナビエは戸惑い、何も言えず我が子を抱き締めました。ケンカを避けるのは殊勝だと褒めることもできず、かと言ってけしかけることもできず…
そして悩んだ挙句、誕生日に何がほしいか尋ねます。するとカイはじっと考えて、顔をあげて笑いました。
「お母様の時間を少し下さい。こうして2人だけで遊びに行きたいです」
『再婚承認を要求します』外伝39のネタバレ感想
感想①ケルドリックおつかれ!
今回はケルドリックの意外な一面が見れましたね。悪党のイメージしか無かったので、彼が大人として子供を慰めたことに驚きました。彼、あんなセリフ言えたんですね。びっくりですよ。
もちろん本来であれば、モテの出自については養父母であるプチョン夫妻が説明すべきであり、ケルドリックが口出しすることではありません。しかし彼は泣いているモテを放置できず、結局きちんと説明してくれました。
というか最初の段階では、常時泉の中でモテの正体を知っていたのはダルタ・プチョン夫妻・ケルドリックの4人だけだったのに、いつの間にか他の人にもバレてますね。
プチョン夫妻は徹底してモテのことを隠すべきだったのに、どこかで漏れたのでしょうか。
感想②ドルシ犯人疑惑
ケルドリックによれば、東大帝国で用意していた宝石が盗まれたとのこと。宝石泥棒と聞くと、どこぞの水龍が思い浮かびますが…
さすがに他国の宮殿に侵入してまで盗むことはないでしょう。ないはず。多分。
ただしドルシでないなら、誰が犯人なんだという話になりますね。宮廷のセキュリティを突破して宝石を盗める人物となると、かなり数が限られます。
感想③ダルタやエルギ公爵はどうなった?
これはほとんどの読者様が気になっていると思いますが、時系列が飛んでからダルタやエルギ公爵が登場していません。あの人達は今、何をしているのでしょうか。せめて安否だけでも教えて欲しいです。
とりあえずエベリー&ダルタは無事だと思いますが、姉妹の仲がどうなったのか知りたい…!
そして個人的に、一番気になるのがエルギ公爵。
こんな話をするとファンの方に怒られるかもしれませんが、エルギ公爵は幸せになれないだろうなと私は思っています。彼はあまりに業が深いですから。
エルギ公爵のせいで人生が変わった人もいますし、東大帝国であれだけの大混乱を生み出した男が幸せになれるかというと・・・正直、難しいでしょう。
あと当サイトの『エルギ公爵にまつわる考察』でも解説していますが、そもそも彼自身、罰を受け入れる気満々なんですよ。
この『再婚承認を要求します』という作品では、悪い事をした人はきっちり報いを受けています。なので尚更、エルギ公爵の現在が気になりますね。
更新ありがとうございます。
私、エルギが好きなんですがやっぱり今後制裁を受けるシーンあるんでしょうか。
基本性格の良い子だというのが端々に見受けられて、アレイシアさえこなければ。。と思ってしまいます。
きっといつか再登場しますよね。
子供が複数いたら仲の良い兄妹に。。という聖者の言葉ですが、東の後継者の話が二人で東西を治めて万事解決ということではなく、むしろ東も引き継ぐことでの混乱が聖者の予言なのかと思い始めました。
西大帝国だけの問題だったらもっと家族で話し合い、解決策を見出すということもできるのでしょうが
東側の意図が絡んでくるので余計複雑になりますよね。
元気良すぎる子と大人しい子だと、どうしても元気が良すぎる子に目が行きがちで、おとなしく寝ている子はそのままにされがちだし、ラリは雛の時からひとりで変身できたし飛べたしダンスも覚えたし資質がありそうだし、パパが娘にデレデレするするのもよくあることだし、ナビエ様でさえラリだけお散歩に連れて行ったりしてカイを泣かせてたし、そういうのが全部今回のカイの伏線になっていたんだなと感じました。
鳥一族のトップとしての資質はどうなのか?西を継ぐ者は代々魔法使いだけれど、双子の能力はどうなのか?カイは優しすぎるから、そういうのも皇帝の資質としてはどうなんだろう。
ラリはナビエの顔にハインリの性格+コシャールの性格かもと前に思いましたが
カイはハインリの顔にナビエの性格+ハインリ兄の性格なのかもなんて思いました。
ラリが野望が大きすぎるのはハインリが甘やかすからだという人もいるでしょうが、東の人たちもめんどくさいですね。
双子のうちどちらかでもいいから東の後継者にと言っておきながら、ソビエシュはじめ東の人たちがラリの方に継いでほしいと思ってるのにカイが気づいていることは悲しいです。
大嫌いなハインリに似ているカイより愛しいナビエの顔をしたラリ、爺婆にとっては娘にそっくりなラリ、国民にとって全世界の半分を支配するまでになった元皇后にそっくりのラリ。
ラリに継いでほしいならそれならそうとはっきり指名すればいいのに。
ナビエ様も、世界一高い宝石(盗まれたけど)をラリだけに送ろうとするソビエシュを諌めて、ラリが増長するからと断ればいいのに。カイにもプレゼントはあるかもしれませんが思い入れに差をつけられてそう。
ソビエシュはラリのいう事なら何でも聞くってラリに足元見られてるし、なんかまた余計なことしてんなーソビエシュ!と思ってしまいました。
でもグローリーエムが生きていることがわかったら、もうそっちにばかり気持ちが行ってラリのことなど二の次になりそうですね。
でもラスタが裁判で負けたので、ソビエシュとの婚姻は取り消されているために、たとえグローリーエムが本当にソビエシュの子供であっても皇后派生の子では無く継承者にはなりえませんから
またドロドロした流れになってしまうのかなと感じます。
>マリさんへ
コメントありがとうございます。
私もエルギが好きで、彼はアレイシアさえいなければ復讐に手を染めることなく過ごせたのかなと思っています。
根が優しい子なので、幸せになって欲しいですよね。ただ作品の流れ的に、彼だけ無傷ではいられないのかなという印象です。
>東も引き継ぐことでの混乱(略)
この展開、私もちょっと考えました。ありそうで怖いですよね。
周囲の大人たちが双子を平等に扱ってくれればいいのに、もどかしいですね。