小説版『再婚承認を要求します』のネタバレ感想です。今回は『外伝36 栄光(1)』のストーリーを紹介します。
前回のラストでは、久しぶりにヴェルディ子爵夫人が登場しましたね。そして彼女は、グローリエム(モテ)が生きている可能性に気付きます。
モテは結局、誰に引き取られるのでしょうか?管理人の感想を添えつつ、概要を簡単にまとめました。
ケルドリック視点|常時泉が西大帝国に招かれた後
常時泉の現在
高さのある丸型の金色の天井の下にあるのは、果てしなく広い室内演舞場。そこを埋め尽くす兵士と騎士たちは熱気にあふれ、それぞれ違う3種類の制服を着ています。
赤いマントは近衛騎士団。青いマントはハインリの個人騎士団である水龍騎士団。
そして金色のマントは、ナビエの個人騎士団である常時泉。
この常時泉騎士団は構成がユニークであり、昔、実際に盗賊だった”常時泉”と東大帝国の貴族であるアルティナ卿を両軸に、貴族と平民の騎士が入り混じっています。
しかし騎士になっても、常時泉出身の騎士からは時々、昔の姿が垣間見えます。今も品のない話し方をするので、壇上で見守っていたケルドリックが部下に注意したところです。
圧倒的な強さをほこる少年
すると、そこにコシャールが現れます。ケルドリックは相変わらず彼が苦手なので、部下を盾にしてコシャールとの間に置きます。
その様子を見たコシャールはぷっと笑って演舞場に背を向けるも、その時、彼は1ヶ所を指差しながら「あれは誰だ?」と質問しました。
指差した先にいるのは黒髪の少年で、圧倒的なほど相手をすばやく倒しています。また少年はヒョウの仮面で顔半分を隠しているけれど、とても美しいとわかります。
しかしケルドリックは、少年の正体について何も答えません。面倒くさそうな表情で「新入りだよ。俺が教えたんだ」と言いますが、その声は誇らしげです。
そのためコシャールは、彼が本当に面倒くさがっているのではなく、あの少年に気付かれるのが嫌でわざとこう答えたのだと気づきますが…
「お前が教えたなら後継者になるし、すぐナビエに挨拶に来るだろうな」
彼はわざと話題を掘り下げます。
するとケルドリックは心中で悪口を言いながらも、わざと真顔でキッパリと言いました。
「あの子は絶対に後継者になれないし、騎士団にも入隊しない 」
実力があるのに騎士にならないのか?とコシャールが執拗に聞きますが、ケルドリックは本人に関心がないんだよ!と答えるだけでした。
少年の正体は?
実はケルドリックの言葉は、半分が嘘でした。
少年は騎士になりたいと思っていましたし、コシャールが自分を指さしていたことに気づくと「僕のことを何て言ってたの?」と情熱的な声でケルドリックに質問しました。
しかしケルドリックは、あまり目立つなと注意するだけ。もう演舞場の見物は終わりだと言って、少年を帰らせました。
・・・
宮殿の外に出ると、少年は仮面を脱いで思いっきり騒ぎます。
「ずるい、ずるい。これもできない、あれもできない。だからモテなんて名前をつけたの?」
カイ視点|危険な事ばかりする妹
カイとラリの会話
「外には誰もいないよ」
カイがドアを閉めると、天井付近にある大きな天使像の後ろからラリの小さな頭が飛び出しました。するとカイは驚いて飛び跳ね、何でそんな所にいるんだと注意します。
しかし不安そうに周囲を見回す兄とは反対に、ラリは鼻で笑って「あなたさえ黙っていればお母様にはバレないよ」と言うものだから、カイはふくれっ面で妹を見ました。
するとラリは、常時泉騎士団にすごい実力が入ってきたらしいと話題を変えます。カイもその話をローラから聞いており、すごく美少年らしいよと言いますが…
ラリは「ヨンヨン以外の男には興味がない」と言います。
ヨンヨンとは、叔父のマッケナと水龍の間に生まれた子供。ラリは彼と結婚したいと思っているのです(ただしマッケナは駄目だと言っていますが)
カイはそんな妹にため息をつき、服を着てバレないように出ておいでと忠告して部屋の外に出ますが…その時、目の前に大きな影が現れたので驚きました。
「私に、何がバレてはいけないの?」
影の正体は、母親であるナビエでした。
モテ視点|実力はあるが歯がゆい境遇で過ごす
秘密だらけの両親
「僕が見つかると大変なことになるの?」
夕食中にモテが質問するので、向かい側に座っていたケルドリックとプチョン夫妻は咳をして大騒ぎしました。
そして食後、彼らはモテについて相談します。モテは養母が実の両親ではないと知っていますが、お前は重罪人の娘だなんて言えるはずありません。そのためプチョンはため息をつきます。
モテは優しくて大人しく、訓練させるたびに吸収する賢い子。しかし同年代の友達がみんな見習い騎士になったり宮殿に招待されたりする中、モテだけは騎士になれず、任務中もいつも顔を隠さなければなりません。
誰が見てももどかしい状況で、モテの気持ちも理解できますが…
その時、部下の1人から「また例の女性がやって来ました。どうしましょう?」と連絡が入りました。
モテの悩み
もう16歳になったのに、父も母もいつも秘密だらけだよ。
モテはベッドでうつ伏せになってうなだれます。男装して過ごすのも髪を染めるのも我慢できるけれど、ナビエが常時泉の子供を集めて演劇を見せたり小さな舞踏会を開くとき、1人参加できないのは寂しかったのです。
それに半年後には新たな見習い騎士が選ばれるので、その機会を逃して人より遅れを取るのが嫌でした。
モテは自分の力で皇帝に認められ、いつかは騎士団長になりたかったのです。
そこでモテは立ち上がり、両親に事実を聞こうと決意します。しかし外に出て両親の小屋まで駆け付けると、いざこざを目撃しました。
気の毒になるほど顔色のよくない貴族の女性が、入口の兵士たちに泣いて縋っていたのです。
「一度だけ見させてください! うちの娘がここにいるかもしれません!」
話を立ち聞きしたところ、女性は何年も前からここに来ているそう。またこの時、女性は「私の娘は銀髪です!」と叫んだので、モテは一瞬自分のことかと思いますが…
娘は14歳です!と女性が続けて叫んだので、年が違うから別人だろうと考えました。
『再婚承認を要求します』外伝36のネタバレ感想
感想①サブタイトルが秀逸
という訳で今回からは、モテの話がスタートしました。時系列は恐らく、前回から13~14年後くらいでしょう。
そして今回のサブタイトルは『栄光』で全5話。
最初にサブタイトルだけ見た時は「誰かが栄光を手にするのかな」と思っていましたが、これはモテのことを指していたんですね。
モテの本名である”グローリエム”は栄光を意味する言葉なので、このサブタイトルは彼女を指しているのでしょう(ただし裏の意味があるかもしれませんが…)
感想②外伝36の挿絵について
ご本家様の小説には毎回挿絵があるのですが、今回はラリの絵が描かれていました。
ちょうど天使像の後ろから顔を出しているシーンなのですが、ラリがものすごい美少女です。天使像よりも天使に見えるくらいに美人。
下に御本家様のリンクを貼っておくので、良かったら見てください↓
感想③モテの内面は誰に似た?
モテは外見こそラスタに似たけれど、中身はソビエシュに似たのかなと思います。
彼は旦那としては問題がありますが皇帝としては有能ですし、ナビエ曰く、元々は“優しい方”なんですよ(ただし残酷な部分もありますが)
なので、モテの賢く腕っぷしがいいところも、両親に「優しく大人しい」と称される性格も、父親に似たように思えます。
とはいえ、この状況って皮肉ですよね。
外見がラスタに似なければ隠れて生活せずに済んだのでしょうけれど、もし外見がソビエシュに似て中身がラスタに似てしまった場合、成長してとんでもない悪女になっていた可能性がありますから。
世の中うまくいきませんね。
いつも興味深く読ませていただいています。
ありがとうございます。
今回はびっくり…!
突然14年後の世界になったのですね…
いえ、子どもたちの成長した姿は見たかったのですが、、
あの後、エベリーとダルタはどうなったの、
エルギ侯爵はどうなったの、、
それも今後明らかになっていくと思うので楽しみです。
アンもどこ行ったのかなー。
マッケナはついにドルシに捕まったのですね(笑)
グローリーエムとカイが仲良くなって…
みたいな展開になったらちょっと複雑です^^;
それでも新たな展開、ますます楽しみにしてます。
>まどりーぬさんへ
お気持ちよくわかります!14年も一気に時間が飛んで、私もびっくりしました。
ダルタとかエルギ公爵とか、どうなったのか気になりますよね。
ゴリ子様、前回自分の予想をコメント欄に載せて頂いたのですが、お恥ずかしいことに大外れでした。
まさか14年も飛ぶなんて思っても見ませんでした。
私もまどりーぬさんと同じく、もしカイがグローリーエム(モテ)と結ばれて国を統治みたいな展開になったらなんかちょっと嫌というか、複雑ですね。再婚承認らしくないというか。
ソビエシュの事をナビエがおやさしい方ですからと言ってたのって、確か1~3話ぐらいのごくごく初期のことだし、本当におやさしい方ならあんな事してないですし、ラスタはラスタで顔以外はちょっと。。。ですし。
グローリーエム(モテ)には罪は無いので、幸せになる権利はあると思うのですが、最終的に4人の血が混じりあうのはあんまり・・・。ラスタそっくりの子とハインリそっくりのカイですしね。
ソビエシュとエベリーが結ばれていたりしたらまあいいかなというぐらいの思いはあります。
エベリーはなんとなくエルギと結ばれてお母様と三人で幸せに暮らしていて欲しいとも思いますが。
マッケナとドルジの子は鳥じゃなくて龍なのかな?その子とラリが結ばれるのは大歓迎です。
マッケナはローラあたりと結ばれるのかと思ってましたが、ドルジとのなれそめも描かれるのでしょうか。
でもこんな予想もまた斜め上の展開で裏切られそうですね。
気になったのはラリとカイの会話で、ラリがお父様が慎重になったせいで自国にできなかった国があるからそれをひとつひとつ自分が征服してやるみたいな会話をしてるように読み取れるのですが、あの野心家ハインリも子を持って慎重派の皇帝に成長したということでしょうか。
前回、脱走ラリを探していて、いずらっこで脱走ばかりしていた過去の自分に父がかけた言葉を思い出しながら、ラリの為に皇権を強くしておくねって語っていたのは、次世代の為に積極的な国土征服策を取るのではなく、慎重に安定した国力をつけておく皇帝になったのかなと思いました。
ラリは口もとと性格はハインリ似(コシャール含む?)ですが、全体はナビエに似てますね。
ナビエの性格でハインリの顔を持つカイと、三十台になった2人の挿絵が早く見たいですね。
そういえば、コシャールとマスタースの恋の行方も謎ですね。
>マリさんへ
コメントありがとうございます。
あくまで考察なので、外してもお気になさらないで下さいね。考察系のコメントは私が読んでいて楽しいので、大歓迎です。
そしてモテは、結局どうなるのでしょうね。さすがにラスタの血筋が皇室に混ざることは無いだろうと思うのですが・・・
予想の斜め上を行くのが『再婚承認を要求します』という作品なので、若干不安になりますね。