『再婚承認を要求します』原作小説171~172話のネタバレと感想です。
前回アレンが西宮に来たせいで、ラスタの第一子・アンの存在が人々にバレてしまいました。そして一方、西大帝国でもエベリーが消息不明という事件が起こります。
慌ただしい状況が続きますが、この後どうなるのでしょうか?
171話|行方不明だったエベリーが森で発見される
エベリーが保護される
エベリーが姿を見せないので、心配したナビエは捜索隊を向かわせます。すると後日、保護されたエベリーが西大帝国に到着しました。
エベリーは事件に巻き込まれた?
憔悴(しょうすい)したエベリーを休ませた後、ナビエは捜索隊に話を聞きます。その結果、以下の情報がわかりました。
- 隊長のランドレ子爵によると、エベリーと使節たちは道中、馬車が壊れて森で迷っていた
- 馬車の片側が完全に壊れていた
- しかし奇妙なことに、負傷者はゼロ
話を聞いたナビエは「馬車を壊した犯人がいるかもしれない」と考えて、騎士たちに調査を命じました。
ラスタ視点|アンの存在がバレる
鳥に襲われたせいで、アンの顔が多くの人々に見られてしまいます。その結果、宮殿では「あの子はきっとラスタ皇后の子供だ。彼女は皇帝を騙して結婚したのだ」という噂が広がりました。
さらにパルアン侯爵は、この機に乗じて裏で情報操作をします。
その結果ウワサに尾びれがついて『ラスタの第一子とグローリーエムの父親は同じである』という説が主流になります。
ラスタが否定しても大した効果はなく噂は広まる一方。そのため彼女は自室で泣きながら悩むのでした。
172話|アンの存在が人々にバレて、東大帝国は大騒ぎ
ソビエシュ視点|親子検査の口実ができる
アンの存在が露見したのは、ソビエシュにとって好都合でした。
今までは体面的にグローリーエムの親子検査をしにくい状況でしたが、現状なら『皇后と皇女のために仕方がなく親子検査をする』と言い訳ができるのです。
しかしソビエシュは、最後にもう一度だけラスタを信じることにします。今のラスタではなく、彼が守ってあげたいと思った昔のラスタを信じたかったのです。
ナビエ視点|重すぎるプレゼント
エベリーは回復した後、ナビエの私室を訪ねて、ソビエシュから預かった”個人的なプレゼント”を渡します。ナビエが箱を開けると、そこには『妖精の涙』という宝石が入っていました。
ナビエは以前、ソビエシュにこの宝石がほしいと要求したことがありました。そのとき彼は「自分たちに子供ができたら宝石を贈る」と言っていたので、その約束を覚えていたのでしょう。
とはいえ今さら、幸せだった時期を思い出させる品物を(しかも個人的に)を贈られても困ります。周囲の誤解を招くかもしれませんから。そう思ったナビエは宝石の受け取りを拒否しますがーーー
エベリーが困った顔をするので、仕方がなく後でこっそり返すことにしました。
ラスタ視点①噂のせいで不安な日々を過ごす
追い詰められたラスタは、酷く不安でイライラしていました。
グローリーエムの出自を怪しむ人が増えてきたので親子検査をしたいけれど、そうなるとイスクア子爵夫妻とラスタの親子検査もすることになるでしょう(※)
- 親子検査をすれば、グローリーエムが不義の子だという疑惑は払拭できる。現状、検査を受けるのが最善手
- しかしパルアン侯爵が「ついでにラスタとイスクア子爵夫妻の親子検査もした方がいい」と言い出した。そんな事をすれば偽親だとバレてしまう。
- そのためラスタは身動きが取れない。結果、余計に疑われる。
助けを求めようにもロテシュ子爵は最近姿を見せず、エルギ公爵に頼ればさらに悪い噂が広まるでしょう。
考えた結果、ラスタは親子検査を受けることにします。また自分が平民だとバレないよう、実父とイスクア子爵夫妻には去ってもらおうと考えました。
ラスタ視点②なぜ私は不幸なの?
不安な気持ちで過ごしていたある日、ラスタのもとに実父からの手紙が送られてきます。内容はいつもどおり金の無心で、気遣いの言葉など1つも書かれていませんでした。
手紙を読んだラスタは涙を流しました。
なぜ自分はゴミのような環境で生まれ、物心ついた時から奴隷なのか。ナビエは優しい両親のもとで育って今も幸せなのに、なぜ自分はずっと不幸なままなのか。身の程を知って、奴隷のままでいれば良かったのか?
ラスタはわんわんと泣きながら、カーペットを殴りつけるのでした。
再婚承認を要求します・今回のネタバレと感想
171話の感想|重すぎるプレゼント
ナビエの妊娠祝いに何をあげようか、ソビエシュはとても悩んでいました。きっと長いこと考えたのでしょうね。
そうして送ってきたのが超貴重な宝石。しかも『伴侶を失った妖精』にまつわる逸話のある品物です。
重い。重いよソビエシュ。こんなん元夫から貰っても困るって。受け取りにくい。
172話の感想|ラスタは初めから詰んでいた
172話には、管理人がラスタを憎めない理由がこれでもかというほど詰まっていました。
生まれながらに不幸で、環境も劣悪で、何もせずにいたら不幸になる一方で。だから自分から動いてみたのに、そうしたら余計に不幸になって。
「側室のまま身をわきまえていれば良かった」という意見もあると思いますが、側室という立場は不安定で、ずっと寵愛を受け続けるのは難しいものです。
つまりラスタ視点だと、いつ王宮から追い出されるか分からない。そうなったら、また昔の生活に逆戻り。
だから彼女は不安で、ソビエシュの心を自分のもとに留めておかなければと必死になります。その結果、ナビエと彼の夫婦仲を邪魔したり、側室が出席してはいけないパーティーに出たいと駄々をこねました。
ラスタのしたことは悪いことですが、彼女の立場を考えると一概に責めることも出来ないのです。ラスタを諫めてくれる人がいれば良かったけれど、エルギ公爵がいる限りそれも難しかったでしょうし。
彼女は一体、どうすれば良かったのでしょうね。
こんばんは、コメント返信ありがとうございました。
再婚承認の世界に神がいるとするなら、意地悪だなと思います。
ラスタがいっそ不器量な容姿に生まれれば、奴隷になりはしても奴隷の部を弁えた生活で夢見ることもなく、同じ奴隷からやっかまれたり襲われそうになることもなく、それこそ盗賊たちのように日陰で生きるだけの人でいられたはずです。
しかしラスタは美しく異性から下心ありきで優しくされたり手を出されたり、美貌やモテることを妬む同性から嫌われ続けました。
美貌を武器にして自分を守るしかない狡い生き方を見出すしかなく、ラスタに物の道理や常識を教えてくれるような親も友人もおらず、ただ愛嬌と媚びを振りまく悪女の生き方しかできなかった結果が今だと思うと、管理人様の仰る通り憎み切れないと思います。
(ナビエが離婚されるまでのラスタは同情の余地もなく、好きにもなれませんが…)
王妃のナビエより先に妊娠したラスタはこれ以上ないほど順調なはずでしたよね。
ただソビエシュがラスタを王妃にしたのはラスタを愛しているからではなく(愛していたってやってはいけないことですが)、生まれてくる子を王子や王女にしたかったから。
ソビエシュに子が出来なかった場合、悪辣な大公に王位継承権がいってしまうから。
期限付きの王妃になったラスタが「王子を産めなかった」「ソビエシュがナビエを愛していてまた再婚しようとしている」と精神的に追い詰められ、ラスタが奴隷で子供がいると知っているロテシュ子爵一家や奴隷だった実の父親が脅迫に来て誰も守ってくれなければ、あそこまで見当違いな暴走を続けたのもラスタ一人の責任というにはきつい気がします。
エルギ公爵もラスタを利用するばかりで初期のように優しくしてくれないし、ラスタってソビエシュと偽親のイクシア夫妻以外に依存対象がいないんですよね。
ナビエの酷い離婚裁判で東大帝国王室の威信は地に落ちたのだし、ソビエシュの側近も放置するばかりでなく、事情を知った上でナビエの専属侍女のように姉妹のような親身に接してくれる侍女を雇い入れ、ナビエに勝てないなりに王妃教育をするべきだったのに…と。
ラスタの王妃教育、ソビエシュが貴族年鑑の本をラスタに短時間で暗記させて「ナビエは出来たんだからこれくらい出来ないと困る」ってラスタのやる気を奪うような酷い言葉で強要しているシーンくらいしか無かったような?
ナビエの真似をして所作や言葉遣いで付け焼刃のマナーを身に着けていたような気もしますが、男性の貴族だけ招待するパーティー開いたり変なドレス着たり周りが誰も止めずにラスタが恥をかくシーンばかりだった気がします。
スヌさん、客観的なコメントありがとうございます!
172話の感想を書くとき「ラスタを擁護するとアンチに叩かれそうだな…」と心配していたのですが、スヌさんのご意見を読んで安心しました。
本当に、神様がいるとしたら意地悪ですよね。
初めてのコメント失礼します。
いつも感想や考察を楽しませて頂いております。
仰る通り、ラスタの悪行は許されるものではありませんが、全てが彼女だけが悪いのかと言われると違うと私も思います。
勿論、ラスタのせいで何人もの罪の無い人達が傷付き、人生を狂わされました。
皇后になってからは権力に狂ったのか、残虐性が増していて人を手に掛ける事にも躊躇がなくなっていて同情の余地が無いほどにあまりにも多くの罪を重ね過ぎました。
でも、ラスタがここまで酷くなったのは最初のうちに正しい教育を施さず、甘やかすだけだったソビエシュの責任が大きいと思います。
エルギ公爵の介入も大きな原因ですが、無知で利用される可能性が高いラスタを常に見張り、正しく導かねばならなかったのはソビエシュであり、彼にしか出来ない事だったのですからソビエシュの監督不足は否めないと思います。
最初にソビエシュがラスタを庇ってローラを理不尽に閉じ込めた時に味を占めたのではないでしょうか?
そこからもラスタの分不相応で側室として本来は弁えなければならないところでも我儘を通してしまったソビエシュ
一般常識すら知らないラスタからすれば、最高権力者であるソビエシュが肯定すればそれは悪い事では無いのだと思い込むのも無理はないでしょう。
よってラスタは際限なく増長し、側室としての立場を弁える事も、皇后としての義務も何一つ理解出来ないまま、権力に溺れて皇后なら何をしても良いと勘違いしてしまった。
本当にラスタの為を思うなら可哀想だからと何でも叶えてしまうのでは無く…いえ、それ以前に側室にすべきでは無かったのだと思います。
保護した後、然るべき教育を施して常識と教養を身に付けさせてから侍女にするなり、金銭を充分に与えて就職先を紹介して自立出来る生活基盤を築けるまで面倒を見るまでに留めるとか、他にいくらでもやりようはあった筈です。
甘やかすだけ甘やかして、飽きたら遠ざけ、いつしか子供(グローリエム)の事にしか関心が無くなり、離婚前とは打って変わって妻となった自分を差し置いて前妻のナビエ様に執着する始末…。
ラスタの視点からすれば、あんなに自分を愛してナビエ様より優先してくれていたのに、何故今更?となるのは無理もないでしょう。
個人的にはラスタの悪事とはまた別にソビエシュの身勝手さ、無責任さには嫌悪感を覚えます。
ラスタの最大の失敗は満たされるという事を知らず、何もかも手に入れようと欲張り過ぎた事。
そして最大の不幸は正しく導いてくれる人がいなかった事だと思います。
匿名さん、コメントありがとうございます!
>ラスタの最大の不幸は正しく導いてくれる人がいなかった事
私もそう思います。むしろこの一言に尽きると思います。
ソビエシュは彼女を”表面的に”救って守りはしたけれど、本当の意味では守れていないし、正しく導くこともできなかった。これが致命傷ですよね。