漫画『余命わずかの脇役令嬢』の15話~16話のネタバレと感想です。
少しずつ、周囲の人たちがカリナのために動き始めていますね。白髪の医師はカリナのために北部へと向かい、ノクターンも彼女が芸術病であると気づき始めました。
しかし肝心のレオポルド家は全くカリナの本心に気付きません。この先どうなるのでしょうか?
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15話|ミリアンに芸術病であることがバレた結果
ミリアンへの想い
自室のベッドで目を覚ましたカリナは、布団を抱きかかえて顔をうずめます。
「はぁ…ここに来たのは間違いだった。芸術病のことを気づかれたかしら?」
・・・
余命宣告を受けた日、カリナは家族に真実を打ち明けようか悩みました。
余命が少ないと明かせば、あれほど望んだ『愛情のこもった関心』がもらえるかもしれない…と思ったのです。
(でも…今まで望んでいたものが死を目前にしてやっと手に入るものだと認めたくなかったし、命と引き換えに関心を引こうとする自分が惨めだった)
そう考えた結果、カリナは北部に逃げたのです。北部なら家族の手が届きませんし、ミリアンには嫌われている様子でしたから。
だから一人でひっそり余生を過ごす予定だったのですがーー
(どうして、こんなにも優しく接してくれるの…)
ミリアンのことを考えて、カリナはぽろぽろと涙をこぼしました。
(私は命を落とすのだから、同情であれ心配であれミリアンに何の感情も与えてはいけないのに。もし彼が、私の死に対して罪悪感を持ってしまったら…)
そう考えるとカリナは不安になり、今からでもここを去るべきか悩みます。
そうしてカリナが困り果てていると、そう遠くない位置から「どの種類だ?」と声が聞こえます。いつからいたのか、壁際にミリアンが立っていたのです。
カリナの懺悔
ミリアンはズカズカとカリナの方に歩いて来ると、イスに腰を下ろしてまっぐな瞳で質問しました。
「芸術病を患っているようだが…マリアが言うには、芸術病にはいくつか種類があるそうだな。その中でどの部類に属するのかを聞いているんだ」
しかしカリナは質問に答えず、ごめんなさい…と謝罪を繰り返します。
さらに彼女は、俯きながら言います。
「あの、閣下…今からでも私を別宅に移動させて、閣下が気にならないようにしてもらえますか?絶対にあなたを煩わせません。それでも気になるようなら、ここを去ります」
カリナはそう告げますが、ミリアンは彼女からの謝罪など求めていませんし、ましてや別邸に追いやろうなど考えてもいません。そして彼は困った顔で、カリナに再び病気の種類を聞きますがーー
カリナはやはり何も言いません。
そこでミリアンは、これ以上悪化しないように芸術を手放すよう言います。
するとカリナは、悲しげに微笑んで言いました。
「絵を手放したら、私の人生には何も残りません。一生を共にした友達ですもの」
16話|カリナは今までの出来事を打ち明ける
ジェンタール領に来た理由
カリナは自分の命が尽きようと、芸術を手放すつもりはありません。
それを悟ったミリアンは、せめてジェンタール領に来た理由を話すようカリナに迫ります。
するとカリナは長い話になりますが…と躊躇いながらも、これまでの経緯を説明しました。
カリナはぽつりぽつりと、今までの出来事を話します。
ジェンタ―ル領に来る一週間ほど前に、芸術病だと診断されたこと。静かな場所で考えを整理したいという思ったこと。そして家族と一緒にいるのが悔しかったことなど
するとミリアンに家族のことを聞かれたので、カリナはそのことも打ち明けました。
「私の誕生日パーティーが兄の卒業式と重なって、一人で誕生日を過ごしたり。母に誕生日プレゼントとして貰った大切な財布を、我慢して妹に貸したり。少し頑張っただけで褒められる妹と違って、私は一生懸命やってもそっぽを向かれたり。そんな過去を繰り返すのが嫌で、家から逃げたいと思いました」
一通り話し終えるとカリナは、幼稚ですよね…とミリアンの顔色を伺いますがーー予想に反して彼は、カリナは幼稚ではないと断言しました。
「幼稚というのは、誤って父の書類に水をこぼしてしまったのが怖くて1週間家出するようなことを言うんだよ。ましてやお前は、兄妹に全部譲ってきたじゃないか」
ミリアンの言葉に、カリナの瞳から涙がこぼれます。
すると彼は困ったような顔をし、カリナの隣に座ると彼女の頭を抱き寄せました。
「我慢しないでいっそ泣け。泣けば少しはマシになるだろう」
ミリアンは女性の慰め方がわからないので、不器用ながらもカリナに寄り添います。
するとカリナは彼に抱き着いて泣き出したので、ミリアンは頬を赤くしながらも彼女を抱き返しました。
『ありがとう』という言葉
夕方になりようやく泣き止んだカリナは、服を濡らしてごめんなさい…とミリアンに謝ります。
すると彼は「こういう時はありがとうと言うんだ」とカリナに教えます。
彼によれば、ごめんという言葉や大丈夫だという言葉は簡単に言うものではないそう。なぜなら自分を低める言葉は、言い続けると相手も自分も慣れてしまうから。
「でも”ありがとう”という言葉は、いつ聞いてもお互い気分がいいんだ」
ミリアンがそう告げると、カリナは微笑んで『ありがとう』とお礼を言います。
そしてこの日以降、2人は互いに名前で呼び合うようになりました。
『余命わずかの脇役令嬢』のネタバレと感想
15~16話のネタバレ感想
というワケで15話~16話の感想ですがーー
ミリアンは本当にいい男ですね!
この一言に尽きます。大事な事なのでわざわざ太字で書きました。ミリアンは本当にかっこいい。
けれど不思議なことに、ミリアンは外見も中身もイケメンという優良物件なのになぜか女慣れしていません。
確かに彼は強面なので少し怖いイメージはありますが、普通だったら女性がバンバン寄って来るはずですよ。何なら複数の女性に言い寄られていたとしても不思議ではない。
でもミリアンは、不器用だし女性の扱いも下手…もとい慣れていないのです。
個人的に、本作最大の謎だと思いました。