『再婚承認を要求します』の外伝54『子供たちの決断(2)』のネタバレ感想です。
前回ソビエシュは、リルテアン大公を処罰するかどうかで決断を迫られました。今まで散々罪を重ねてきた大公には、ちゃんと罰を与えて欲しいですが…
この先どうなるのでしょうか?管理人の感想を交えながら、続きをまとめました。
ヨンヨン視点|リルテアン大公の末路を知る
ヨンヨンは東大帝国に向かう
ヨンヨンは、ラリが自分を刺激するためにわざとリルテアン大公の息子の話をしたのだと知っていました。
けれどラリは野望のために、本当に政略結婚するかもしれません。だからヨンヨンは気になり、小さな龍の姿になって東大帝国まで飛んで行きます。そして大公の屋敷を訪ねて、本当にラリに求婚するのか確認するつもりでしたが…
いざ到着すると、大公の屋敷は騒ぎになっていました。
なぜならリルテアン大公が処刑されたからです。
リルテアン大公の末路
ヨンヨンは西大帝国に戻ってくると、大公が処刑されて大公妃と息子二人が国外追放されたことをマッケナに伝えます。
なおこの時、ヨンヨンは笑っていました。ラリが政略結婚しないとわかって安堵しているようです。
しかし一方、マッケナは深刻な顔をしました。
というのも大公を処刑したとなれば、ラリを後継者にするためにソビエシュが正当な血筋をわざと追い出したと人々は非難するでしょう。そうなれば、ラリかカイが即位するときに致命的だと思ったのです。
しかしヨンヨンは、首を傾げてそんなことはないと反論します。
なぜならソビエシュ本人が、大公を処刑した理由は自分の娘のためだと言ったから。
「大公がラスタの娘を見つけたと言ったせいで、皇帝は狂病がひどくなって大公を処刑しろと命令したようです」
またヨンヨンによれば、ソビエシュは王女の話が出ただけで「みんな殺してやる」と歯ぎしりをするそうですが…
話を聞いたマッケナは、顔をこわばらせて「狂ったんじゃなくて、狂ったふりをしてるんだ」と舌打ちをしました。
狂ったフリをする理由
なぜ狂ったフリをするのかと質問する息子に、マッケナは理由を説明しました。
「ソビエシュは王女が嫌いなのではなく、王女が静かに暮らせるように守ろうとしているのだろう。王女の話が出ただけで皇帝が発作になるという噂が流れれば、人々はその子を探して連れて来ようとしないだろうから」
その説明に、ヨンヨンは驚いて口を開けます。するとマッケナは、さらに続けました。
それにこうしておけば、ラリかカイが後継者になるときも血筋の優先順位に押されることはないだろう…と。
つまりソビエシュは、今まで大事にしてきた皇帝のイメージを捨てて自ら悪役となったのです。
シエル視点|大公妃と息子2人のその後
シエルたちは馬車で国外へと向かう
馬車の中、レイルと大公妃は涙を流します。するとシエルは、3人で平等に分けようと言って鍵を取り出しました。
「わが家の財産。東大帝国支部に任せていた財産ですが、他国からでも使えます」
それを聞いた母親は、あの状況下で財産を持ち出したの?と呆れて怒鳴りつけます。
しかしこの鍵は、実はソビエシュの使者から渡されたもの。
そのためシエルは、皇帝が狂って父親を処刑したのではなく王女を守るためにそうしたのだろうと考えていました。
シエルは馬車のドアを開けると、ここからは別々に行くと言って下車します。
するとレイルは「三等分せずに兄さんだけ多めに財産を取ったから、一人で行こうとしてるんじゃないの?」と言いがかりをつけ、大公妃も同じように責めますが…
シエルは口げんかが苦手なので何も言わず、静かに背を向けて一人で歩きだしました。
道中、予期せぬ人物と再会する
これからどうしようか…と歩いているうちに夜になり、シエルは旅行者用の小屋に入ります。すると小屋には、先客のシシがいました。
シシから話を聞くと、彼女もどこに行けばいいのかわからず歩いて来たそう。ヴェルディ子爵夫人が一緒に暮らそうと言ってくれたけれど、実母ではないので断ったのだとか。
「ねえ、シシ。どこへ行くか一緒に探してみる?」
シエルが誘うと、シシは内心で善良だけど愚かな人だ…と嘆きます。しかしため息をついた後で、もちろんですと承諾しました。
モテ視点|狂った皇帝の噂は、モテの耳にも届く
皇帝の噂を聞いたモテは…
東大帝国の皇帝が娘のせいで狂ったという話は、西大帝国にいたモテの耳にも入ります。
しかしモテは自分を切実な瞳で見ていた皇帝を思い浮かべ、人々の話が真実ではないと思いました。
「私の話を聞きたくないから、そんな事をしたんじゃない。私の話が出ないようにした事だと思う」
そのことに気付いたモテは酷くショックを受けますが、その話に目をつぶって知らないフリをします。
しかし結局のところ、父親が自分のせいで狂ったという話が毎日聞こえるものだから、モテもつられて狂いそうでした。
私の初恋
露店カフェで飲み物を飲んでいる最中、モテは別の噂を聞いてさらに気が重くなります。というのも元大公妃が、夫の汚名をはらすために王女を探し回っているそうなのです。
しかしその時「モテ」と聞きなれた声が聞こえます。顔をあげるとシシが立っていたので、モテは嬉しさと驚きで立ち上がりますが…
シシは皇帝に追い出されのだろうかと考えてハッとします。するとシシが駆け寄ってきて、モテを抱きしめました。
「私の初恋」
その言葉にモテは何かを言いかけますが、シシはそれを遮って続けます。
「女だって知ってるよ。それで諦めた。けどこれから他の人を愛しても、あなたほど愛する人はいないよ」
そしてシシは笑うと、モテに言いたいことがあると言って席に座らせました。
『再婚承認を要求します』外伝54のネタバレと感想
外伝54のおさらい
ソビエシュは全てを丸く収めるために、大公を処刑して自分が狂ったフリをするという選択をしました。
娘が穏やかに暮らすには、そして双子が安心して王座に就くにはどうすればいいのか。彼なりに悩んだ結果がコレだったのでしょう。
悲しい選択ですが、これがソビエシュの贖罪(ケジメ?)なのかなと思います。それに彼がいつか幸せになるには、どこかで罪を償う必要がありますから。
前々からソビエシュについて思っていたこと
『再婚承認を要求します』に関するコメントを今までたくさん頂きましたが、中でも特に多いのが「〇〇が嫌い」というご意見でした。
そして言うまでもなく、ソビエシュも嫌われているキャラの一人です(なお不動の1位はラスタ)
本編であれだけのことをしたので仕方がありませんが、酷い男だとか冷たい人だとか罵るコメントが多いです。とにかく多い。
でも管理人は少し意見が違っていて、ソビエシュはあくまで“間違った人”というイメージです。
誰しも間違いは犯すけれど、彼の間違いは致命的でした。ナビエを裏切り、正当な皇后から地位を剥奪するという、絶対にやってはいけない間違いを犯しています。
だから精神的に病んで妻も子も失うという、非常に重い罰を受けたのでしょう。
けれどソビエシュは根っからの悪人ではないし、情も持っている人だと思っています。人を表面だけで判断したり相手の実情を考えずに行動する部分が目立ちますが、悪い人ではありません。多分。
だから記事の感想でも「モテが優しい子なのは中身がソビエシュに似たからだろう」的なことを書いてきました。
これが管理人のソビエシュに対するイメージです。
そして今回の外伝54では、ソビエシュが身を削って罪を償ったので個人的に安心しています。安心というか、しっくりきました。
あの選択が正しいかどうかは別として、ソビエシュがただの悪役で終わらないためには必要な展開だったのかなと思います。
更新ありがとうございます。
そしてリルテアン大公が処刑済みから始まる展開にかなり驚きましたが、ソビエシュは思い切りましたね。
狂った皇帝と言われる彼が、娘と再会して正気を取り戻したにも関わらず、狂ったフリで自分の娘とナビエの子供達を護る。
ソビエシュはプライドの塊のような人だったのに、かなぐり捨てて今度こそ失わないぞという覚悟を感じて、ちょっと見直しました。
マッケナが、ソビエシュの真意を瞬時に汲み取ったのもすごいと思いました。
子を持つ父親になった二人、相通ずるものがあるのでしょう。人は変われるんですね。
ソビエシュもそろそろ幸せになってもいいんじゃないか、と私も思いました。
男盛りの13年間、狂った独身生活。
禊は十分ですよね。
(その節は長いとか面倒くさいとか言ってごめんねソビエシュ。)
無い物ねだりを止めて、諦めの13年間を経て、ソビエシュに幸せが許されるならどんな幸せを見つけるのか、見届けたいです。
>とんすけさん
おっしゃる通りで、ソビエシュは腹をくくりましたよね。
あとマッケナが真実に気づいた点、私も感動しました。ハインリを追いかけ回していたこの人も父親になったのだと思うと、いろいろ込み上げてきます。