小説版『再婚承認を要求します』のネタバレ感想です。今回は『外伝23 姉妹(3)』の概要をまとめました。
前回の最後でエベリーは、ダルタの両親=ラスタの偽親だと知ってしまいました。偽親もといイスクア子爵夫婦は、エベリーにあらゆる暴言を吐いた相手ですが、彼女はどんな反応をするのでしょうか?
感想を交えつつストーリーを簡単に紹介します。
目次
エベリー視点|ダルタに真実を告げるべきか悩む
エベリーの葛藤
ダルタの両親は、ラスタの偽親であるイスクア子爵夫婦だったーー
その事実にエベリーは驚きます。そして秘書室を出た後、重い足取りで廊下を歩きながら、ダルタに真実を告げるべきか悩みました。
イスクア子爵夫婦は貴族といえども、重罪により処刑された人間。そんな人たちが両親ならば、いっそ知らないままの方がいいかもしれない…と考えたのです。
・・・
そして1日中悩んだ結果、エベリーはダルタに真実を伝えようと決心します。
ダルタはショックを受けるかもしれませんが、ただでさえ妹探しが難航している今、このように重要な事実まで隠せなかったのです。
ダルタ視点|騎士との喧嘩がマスタスに見つかる
騎士と争いになった結果
騎士とのケンカを、よりによってマスタスに見られてしまったダルタ。我慢すべきだったと自責するものの、状況は最悪です。
するとマスタスは、冷たい表情でダルタを見ながら騎士に質問しました。
「君が説明して。何があった?」
「私がこの留学生の出身を侮辱してしまいました。申し訳ありません」
命令されるや否や、騎士はパッと立ち上がって報告します。
自分の罪を認めるかのようなセリフですが、これは”余計なことを言うな”というダルタへの脅迫でした。
・・・
結局のところ、マスタスは騎士に謹慎を命じただけでダルタはお咎めなし。
しかし「そんな行動をすると、出身がどうであれ嘲笑されるだろう」と注意されたため、ダルタはプライドが傷ついて少し泣きながらその場を去りました。
その後ろ姿を見ながら、ため息をつくマスタス。
するとその時、木の傍に”紙切れ”が落ちているのを発見します。それはダルタが本に挟み、騎士が持ち去ったメモでした。
そしてメモを拾って内容を見た瞬間、彼女は顔を凍りつかせます。
ナビエ視点|妙な様子のマスタスを心配するが…
様子のおかしなマスタス
「マスタス卿は、ダルタが気に入りましたか?」
ここ最近の彼女はダルタの後を付いて回っていたので、ナビエは気になって質問しますが…
しかしマスタス本人は、目を丸くして慌てて否定します。さらに何かを言いたそうにモジモジするも、結局のところ何も言いません。
そして彼女は、用事を思い出したと言って部屋を出て行きました。
ダルタは休暇を申請する
ナビエがマスタスのことを心配していると、そこにダルタがやって来て「しばらく旅行に行かせてください」と言います。
というのも、教師役の魔術師たちがアカデミーのイベントにより一時的に東大王国に帰還するため、ダルタは暇になったのです。
ダルタ視点|西王国を一旦離れることに
西王国を離れる理由
スーツケースをまとめて宮殿の外に出ると、ダルタは馬車に乗って国境へと向かいます。
西王国での暮らしは楽しいけれど、最近はマスタスがこちらを睨んで来るので、彼女が北王国へと戻るまで一旦離れようと考えたのです。
それに故郷に戻って、母親や友人にも会いたいですから。
・・・
外が薄暗くなって来たころ、ようやく国境と首都の間にある検問所に到着します。そして馬車を降りて、今後の予定を立てながら歩いているとーー
後ろから、こちらに向かって黒い馬が走ってきました。さらにその馬は、ダルタの近くまで来ると完全に動きを止めます。
突然のことに、キョトンとするダルタ。
しかし相手を確認した瞬間、目を見開きました。馬に乗っていたのはマスタスだったのです。
マスタスの忠告
マスタスは馬から降りると、ダルタの襟首をガッと掴んで怒鳴ります。
「第4騎士団長のスパイ。帰ってくるな。皇后陛下を利用するな。このまま去って一生顔を見せるな」
軽蔑したまなざしを投げかけ、再び馬に乗って去って行くマスタス。一方でダルタは、その場から動けずに立ったまま涙を流していました。
ナビエ視点|ハインリの隠し事
ハインリの奇行
ハインリのいる執務室の扉をノックすると、部屋の中からゴトゴトと大きな音がします。そしてようやく静かになると、ボタンを掛け違えたハインリが笑いながら出てきました。
何をしていたのか非常に気になるものの、ナビエはその衝動を抑えて「マスタスを見ませんでしたか?数日前から姿を見せませんが…」と質問します。
するとハインリは平然とした様子で、心配はいらないと答えますが…先程から彼は、なぜかドアを塞いで部屋の中を見せないようにしています。
それに気付いたナビエは部屋に入りたいと言いますが、彼は断固として拒否しました。
『再婚承認を要求します』外伝23のネタバレ感想
感想①エベリーが良い子すぎる件
エベリーは悩んだ結果、ダルタに真実を告げることにします。そして同時に、ダルタがイスクア子爵夫婦の娘だと知っても彼女を嫌うことはしませんでした。
あれだけイスクア子爵夫婦にひどい暴言を吐かれたとなれば、その娘に嫌悪感を持ってもおかしく無いんですよ。正論を言えばダルタは無関係ですが、人の気持ちはそう簡単に割り切れるものではありません。
けれどこの状況下で、エベリーはずっと「事実を知ってショックを受けないか。言わない方がいいだろうか」とダルタの心配だけしていました。
本当にこの子は優しい子ですね。
まあ実際はエベリーもイスクア子爵夫婦の娘ですが、彼女はそれを知りませんから。
感想②外伝23の好きなシーン
ダルタは西王国を離れる時、ナビエのいる執務室に向かって「ごきげんよう皇后陛下。また後ほどお会いしましょう」と挨拶をしていました。
最初はナビエを利用する気満々だったのに、今では敬意を払っているのがわかりますね。
何気ないシーンですが、個人的には外伝23の中で一番好きな箇所です。セリフ1つから、キャラクターの心情が伝わるのって何だかグッときます。
なのに、よりによってマスタスに誤解されちゃったんですよ…
ダルタは元々スパイだから正確には誤解じゃないけれど、露見するタイミングが悪すぎて正直ハラハラしました。