漫画『余命わずかの脇役令嬢』の20話~21話のネタバレと感想です。
前回はフェリオール・カルロス公爵が登場し、カーシスに散々嫌味を言っていましたね。おまけにカリナの芸術病のことも暴露したので、カーシスは精神的に大ダメージを負いました。
この先どうなるのでしょうか?以下にストーリーの続きをまとめました。
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20話|カーシスは長兄に、カリナの居場所を明かす
父・カーシス視点
カーシスが執務室で頭を抱えていると、そこに長男のインフリックと主治医のノクターンが訪れます。
ノクターンによれば、現在アベリアは少し落ち込んでいるものの体調は良好。また妻のダリアは、疲労がたまっているせいか軽い風邪気味だそう。
彼はそれだけ伝えると、執務室を後にしました。
・・・
長男のインフリックと2人きりになった後、カーシスはカリナがフェステリオ公爵家に滞在していることを伝えます。
インフリックは心配して「すぐに連れ戻しましょう」と言いますが、北部の検問所はすでに閉まっているので訪問はできません。
またこの時カーシスは、カリナの婚約式のことを質問しました。
「インフリック、お前が私の代わりにカリナの婚約式に行った時だが、フェステリオ公爵はどんな人に見えた?」
「欠点のない完璧な方という印象で…婚約式の最中もカリナのことを気遣っていたようです。カリナも彼のことを気に入っているように見えましたし…」
しかし、それを聞いたカーシスは怪訝な顔をします。一度会って気に入ったくらいで、家出をして公爵邸に行くという娘の行動が理解できなかったのです。
カーシスはため息をついて椅子にもたれかかると、手紙もよこさないなんて親不孝者め…と愚痴をこぼします。そしてひとまず、カリナに直接会って話を聞いてみようと思うのでした。
カリナ視点
医師・ウィンストンと再会した後、カリナたちは馬車に乗って屋敷へと向かいます。その途中、カリナはどうやって自分を探し出したのかウィンストンに質問しました。
するとウィンストンはにこりと笑いながら、自身が『奇跡の力』を使えることを明かします。
- ウィンストンは刺繍が得意で、カリナと同じように奇跡を起こせる。
- 探したいものを想像しながら刺繍を燃やすと、その対象がどこにあるのか分かる。
- しかしカリナと同じように、ウィンストンも芸術病を患っている。
- 能力を使うと、徐々に視力を失っていく。
- そのため視力を失う前に、刺繍を諦めた。
ウィンストンはカリナと同じ芸術病にかかっていますが、刺繍を諦めることで視力を失わずに済んだそう。芸術病には治療法がないため、現状ではこれしか方法がないのです。
また彼は、芸術病がどんな病気なのかも説明しました。
「そもそも芸術病は限られた人間だけがかかる病。奇跡をおこす芸術家の中でも1%にしか満たない確率なのです。私のように体の一部分の感覚を失っていく症状はよくあることですが、ごくまれに奇跡の代償として生命を奪われる場合があります」
それを聞いたカリナは冷や汗をたらして俯きます。そしてこの時、ミリアンは彼女の様子がおかしいことに気付きました。
3人は屋敷に到着する
馬車が屋敷に到着すると、カリナはミリアンにお礼を言います。
「今日はとても楽しかったです。よかったら…次回も誘ってください」
カリナは悲しそうに微笑むと、馬車から降りて一足先に屋敷へと向かいます。
ミリアンは何も言えず、彼女の背中を黙って見ているだけでした。
21話|カリナと医師は2人きりで昔話をする
ジェンタール領にとどまる理由
カリナは暗い表情をしながら、屋敷の廊下を歩きます。すると黙って後ろを歩いていたウィンストンが質問しました。
「…閣下はまだご存じないのかね?」
カリナはその言葉にピタリと動きを止めると、困ったように微笑みます。
「気分が悪いでしょう。老い先短い人間と生活するなんて…だからこっそり逃げるつもりでした」
けれど結局のところ、彼女は今もなおジェンタール領に留まっています。ミリアンのくれる優しさがとても暖かくて、離れがたかったのです。
カリナの昔話
その後、カリナとウィンストンは客室でお茶をします。その最中、彼は以前から気になっていたことを質問しました。
「レオポルド伯爵家には主治医がいるのに、なぜ私の診療所を訪ねたのですか?」
その問いにカリナは、主治医が信用できないからだと答えます。
そして促されるまま、自身の悩みを打ち明けました。
「…先生、知っていますか?私の世界の中心には私がいなくて、いつも他人たちがいたのです」
カリナは今まで後継者である兄を静かに応援して支える妹であり、また姉として妹たちのために犠牲を強いられてきました。そのためワガママを言えない人生だったのです。
それでも幼い頃、カリナは一度だけ母親に一緒に寝てほしいとお願いしたことがあります。
というのもその日は、弟・フェルダンに大切な財布を取られて泣きそうだったのです。
しかし母親は、今日は疲れたからと言ってカリナを追い返します。それどころか、カリナが財布を譲らないせいで弟が泣いて大変だった…と愚痴をこぼします。
その結果、カリナはとうとう我慢できずに叫びます。
「弟も妹も、いなければ良かったのに!」
するとその瞬間、カリナは母親にビンタされました。
医師の過去
カリナの話を聞いたウィンストンは、痛ましい顔をしながら彼女を慰めます。
「自分を傷つけた人々の傍にいるのはとても難しいことだ。長い時間よく耐えたね。お疲れ様」
その言葉に、ポロリと涙をこぼすカリナ。
すると彼は、お嬢さんに比べれば大した事ではないけれど…と自分の過去を語りはじめました。
ウィンストンは若い頃から刺繍をするのが大好きでしたが、周囲の人々は「男が刺繍なんて…」と批判するので、それが嫌でさらに刺繍にのめり込んだそう。
そしてある日、ウィンストンは自分の能力に気付きます。
それ以来、彼はまるでヒーローにでもなったように犯罪者を探したり家出した子を探したりしました。いつも無視されていた自分が、主人公になったようで嬉しかったのです。
しかし20年ほど経った時、視力が衰えて満足に刺繍を作ることができなくなります。
「芸術病だと診断されてこのままでは失明すると知った時は、絶望したし死のうとした。そこで全てを整理するために旅立ったら、旅行先で新しい夢を見つけたんだ」
ウィンストンは病気の人たちを治療したいと思い、また芸術病を不治の病のままにしておきたくないとも思いました。だからこそ、カリナのことも放っておけなかったのです。
レオポルド家の主治医
ウィンストンは自らの過去を語った後、カリナに言いました。
「お嬢さんが実家を離れたのは正解だったよ。傷に向き合うことが治療の近道だと言う人もいるが、私は傷から離れることも治療法だと思う」
そして彼は次に、レオポルド家の主治医について質問します。するとカリナは、主治医との出会いについて語りはじめました。
・・・
当時17歳だったカリナが庭で散歩をしていた時のこと。
目の前に見知らぬ青年が現れて「伯爵家の主治医になったノクターンと申します」と自己紹介をしました。
これが、カリナの初恋の始まりだったのです。
『余命わずかの脇役令嬢』のネタバレと感想
ネタバレ感想①20話の補足
カーシスは結局、カリナが芸術病であるという情報をインフリックに伝えていません。伝えたのはあくまで、彼女がフェステリオ公爵家にいるという情報だけ。
また主治医のノクターンはカリナが芸術病かもしれないと気付いていましたが、アベリアに知られることを恐れてその情報を隠しました。
もしアベリアの耳に入れば、ショックで体調を崩すかもしれないと思ったのです。言い換えれば、アベリアを守るためにカリナを犠牲にしたのです。
これって、レオポルド家の主治医としてどうなのでしょうね。
ネタバレ感想②医師がイケメンな件について
今回、ウィンストンの過去が明らかになりました。
ウィンストンは手芸が大好きで、カリナと同じように奇跡を起こす能力を持っています。若い頃はその能力を使って人助けに励んでいたそう。
能力を悪用せずにひたすら人助けをして喜ぶあたり、根っからの善人だとわかりますね。
でも神様は残酷で、彼は芸医術を患います。そのまま刺繍を続けると失明する可能性が高かったので、当時は絶望したそうですがーー
幸運なことに、ウィンストンは新しい夢を見つけます。そして医者になった彼は、自分と同じように芸術病を患ったカリナと出会い放っておけずに現在に至る…というワケですね。
彼が自分の過去を明かしたのは、カリナに希望を持って欲しいと思ったからでしょう。
今は芸術病にかかって絶望していても、生きていれば新しい夢や生きがいが見つかる。だから前向きに生きて欲しい。それを伝えたかったのかなと思います。