小説版『再婚承認を要求します』のネタバレ感想です。今回は『外伝30 二分する(3)』の概要をまとめています。
前回ダルタは財産管理人に会い、ついにエベリーが妹だと知りました。大きなショックを受けたようですが、このまま復讐を続けるのでしょうか?
管理人の感想を添えつつ、その後のストーリーを簡単に紹介します。
目次
ダルタ視点|ダルタの決断とエベリーの危機
ダルタは真実を知って落ち込む
「事実を話すかどうかはダルタさんにお任せします」
財産管理人と話し終えて外に出ると、ダルタは近くの花壇に座り込んで頭を抱えます。
エベリーが自分の妹で、しかも本人はその事実を知らない。そしてエベリーのせいで養母は命を落としたーー
その事実に涙がにじむも、ダルタは悩んだ結果「エベリーには真実を伝えずこのまま姿を消そう」と考えます。
が、しかし。ダルタはこの時、目を見開いて城門を見ました。
エンジェルがエベリーを消すと言っていたことを思い出したのです。
エベリーに危険を知らせようとする
ダルタは走って宮殿へと向かいます。そして宮殿前に到着すると、エベリーに会わせて欲しいと役人に頼みますが…
役人から差し出されたのは、面会予約者がぎっしりと書かれた名簿。
エベリーは貴重な治療魔術師なので奇跡を望んで訪れる人が多く、今すぐには会えないのです。
そのためダルタは、結局名前を書きませんでした。面会予約をしても数カ月間は待たされるので、罠にハマるかどうかというこの状況下では名前を残す意味がありません。
「本当にすごい人だな。私の妹は…」
複雑な気持でこぶしを握り、冷や汗を流すダルタ。すると不愛想な役人は、エベリーは旅行中なのでどっちみち今は会えないと教えてくれます。
それを聞いたダルタは一層驚き、地団太を踏んでから「ペンと紙を貸して!」と言って役人に金を差し出しました。
ケルドレック視点|ナビエの提案を受けるべきか?
手紙に書かれていた内容
村の訓練場で、木彫りの人形を殴りつけた後。常時泉のボス・ケルドレックは剣を投げ出し、イライラした顔で「改めて考えても頭にくる。俺たちを一体何だと思ってるんだ!」と叫びました。
そして近くにいたプチョンに、ナビエの手紙に書かれていた内容について話します。
- この機を逃せば、社会復帰できる機会は二度とない
- 今回の提案は、常時泉が社会に戻るための唯一の架け橋になるだろう
- ダルタのことを考えて提案していることが露骨に書かれていた
話を聞いたプチョンは、深刻な顔で娘のモテを見下ろしながら「その提案には少し惹かれますね」と答えます。
子供がいれば、その子の未来のことを考えます。もしビンセルが生きていれば、きっとダルタのためにナビエの提案を受け入れたでしょう。
プチョンはそう告げると、すぐ断らず会議を開くようケルドレックにアドバイスしました。
ナビエ視点|常時泉への手紙に込めた意図
ナビエの思惑
執務室での仕事中。
副官が「常時泉は提案を受け入れるでしょうか?」と心配そうに尋ねるので、ナビエは自らの心中を語りました。
常時泉の中には、盗賊を辞めたくても辞められない人や、ダルタのように常時泉に拾われた子供もいるでしょう。その子たちが大きくなって他人に危害を加えれば、それこそ悪循環です。
けれどダルタが魔術師として覚醒したことで、彼らは「またダルタのような子が現れるかもしれない」という可能性に気付いて不安になったはず。
そう考えて、ナビエは常時泉にあの手紙を送ったのです。
ダルタからの緊急連絡
ナビエが物思いに沈みながら今日届いた手紙を確認している時、そこにダルタからの手紙を見つけます。そしてすぐに手紙を読むと、ナビエは驚愕しました。
なぜなら手紙には『エンジェルがエベリーに危害を加えるため罠を仕掛けたが、エベリーはすでに宮殿を出た』と書かれていたのです。
ナビエは至急クロウを呼び、彼にも手紙を見せます。そして状況を確かめるべく、ブルーボヘアンに行って様子を見るよう命令しました。
・・・
その後、ナビエはダルタの手紙を読み直します。
「真実かしら?」
エベリーとダルタが親しいのは知っているけれど、養母が亡くなったのに助けようとするのは妙な話。けれどエベリーに復讐したいなら、このような手紙を送る理由もありません。
そのためナビエは、ひとまずハインリにも知らせようと考えます。備えて悪いことは無いのですから。
アレイシア視点|大公妃が屋敷を出ると知って焦る
アレイシアの不安
その頃エベリーは、すでにエルギ公爵の屋敷に到着していました。大公妃の部屋からも、引っ越しするための荷物が運び出されます。
そして一方で、この状況を見たアレイシアは不安を感じます。
エルギ公爵は今まで、罪悪感や母親の容態など様々な理由により屋敷から抜け出せずにいましたが…ここから出たら、彼がどう振る舞うのかわかりません。もし彼が黙っていても、回復した大公妃はどう出るでしょうか?
クロ―ディア大公に相談する
不安になったアレイシアは、急いでクロ―ディア大公を尋ねます。すると大公はすでに執事から事情を聞いた後で、彼もまた現状に悩んでいました。
執事が「坊ちゃんと話をしてみてはどうですか?」と大公に提案するも、エルギ公爵はあの日以来、一度も父親の言うことを聞かないそう。
そうやって3人が悩んでいると、それまで無言だった大公がゆっくりと口を開きました。
「息子は…また産めばいいだろう」
『再婚承認を要求します』外伝30のネタバレ感想
ダルタの姉力がカンストしてる件
外伝30を読んで思ったのですが、ダルタは本当に優しいお姉ちゃんですね。あれだけエベリーを憎んでいたのに、結局は妹だと知って助けようとします。
後出しになりますが、管理人も薄々そんな気はしていました。いくら養母の仇とは言え、あんなに優しい子が妹を憎めるかとういと…性格的に無理だと思うんですよ。
結局のところ、姉力>復讐心になるんだろうなと思っていました。
あとエベリーに真実を告げず立ち去ろうと考えたところも、ダルタの優しさがわかる描写の1つでしょう。
ただし緊急事態なので、ダルタはナビエに手紙を送って危機を知らせます。
エンジェルは恐ろしい罠を仕掛けてエベリーを待ち伏せしていそうですが、きっとナビエが何とかしてくれるはず。あとクロウも飛んで行ったので、多分大丈夫でしょう。
そして個人的には、ダルタが最終的にナビエを頼ったことに安堵しました。
ダルタはあの性格なので、全部1人で抱え込んで無茶をするんじゃないかと心配だったんですよ。そもそも1人でエンジェルに立ち向かうのは危険すぎるので、ナビエを頼ったのは大正解だったと思います。
外伝30の最後のセリフについて
エベリーは無事にエルギの家に到着しましたが、アレイシアが相変わらず不穏な動きをしていますね。それどころか、父親のクロ―ディア大公まで怖いセリフを言っていました。
最後のあのセリフって、多分そういう意味だと思うんですよ。となると、エベリーだけでなくエルギ公爵も危険にさらされるのでしょうか?
アレイシアとエルギ父の策略も怖いですが、エンジェルの罠も怖いですね。
エベリーを罠にかけると見せかけて、ナビエとカフメンの無人島漂流やナビエがあまり疑問を持たずに早朝カフメンを訪ねた事などを不倫疑惑に仕立て上げてハインリを揺さぶってきたりしないでしょうか。
やましいことは何もないのに。
「二分する」って二つに分ける、仲を引き裂くって意味が込められていそうで恐いです。
ナビエは何があってもハインリ一筋だったけれど、ローラも勘違いしてるしただの勘違いエピで済ませない気がしてます。
ハインリは自分よりナビエの事が大事な人なので大丈夫だと思いますが、、、。
ひとつ気になるのが原作挿絵のアレイシアがナビエそっくりなのは何か意味があるのかな?ということです。眼の色はヘーゼル?とブルーで違いますが。
エルギ父も不穏だし、どこまで混沌となるんでしょう?
>いつもありがとうございますさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。
おっしゃる通りで、タイトルが不穏ですよね。誰が何を二分するのか、いろいろ含みがありそうです。
そして挿絵のナビエとアレイシアですが、言われてみれば確かに似てますね。