小説『再婚承認を要求します』の外伝58『もしラスタがナビエに送られたら(3)』のネタバレと感想です。
ラスタは皇后宮で働くことになりましたが、相変わらずナビエが大好きで若干暴走気味です。そして前回のラストではハインリが登場しましたが、ラスタのせいで即撤退しました。
本編とは違った展開ですが、今後はどうなるのでしょうか?感想を交えつつ、ストーリーをまとめました。
ラスタの脳内設定を聞かされた結果
ナビエは悩んでいた
ソビエシュはなぜ急に、遠い狩り場に行ってきたのかしら…
考えるほどに不思議で、ナビエは仕事中もそのことを考えます。そのうえ数日間まともに眠らず仕事をしていたせいか、急にお腹が痛くなりトイレに入りました。
・・・
トイレから出てくると、掃除に来たラスタが絶望した表情でナビエを見ているではありませんか。
ナビエはどうしたの?と聞こうとしますが、数日前に彼女が言っていた「皇后様はトイレに行かない」という主張を思い出し、声を掛けずに通り過ぎます。
しかし寝室に行こうとしたその時。ラスタに呼び留められて無表情で振り返ると、ラスタは出生の秘密を目前に控えた人のように聞きました。
「手を洗ってきたんですね? 手だけ洗ってきたんですよね?」
結局ナビエは、誰もいないのを確認してから冷静にうなずきました。
ラスタの脳内設定
ナビエはこのままではいけないと思い、数日経ってからラスタにこっそり質問します。
「あなたは私がトイレに行かないと言うけど、どうしてそう思うの?」
するとラスタははたきを持ってフフフと笑いながら、誇らしげに説明しました。
ラスタは今まで、ナビエのことをたくさん想像してきたと言います。つらい時は脳内でナビエと会話をしてその度に助けられーー
さらにはラスタが崖から突き落とされた時も、天からナビエが舞い降りて助けてくれたのだそう。そしてナビエは天国で一緒に暮らそうと言って、ラスタに白い翼をプレゼントしてくれたのだとか。
ナビエはどう反応すべきかわからず、顔に熱がぽっぽと集まり恥ずかしくなります。しかしラスタにそんな想像をするなとは言えず黙り込んでいると、後ろから音がして振り返ります。
するとローラは腹を抱えて立ち尽くし、ジュベール伯爵夫人は壁に頭をぶつけていました。
メイドたちは、ラスタが元奴隷だと勘付く
ラスタが姿を消す
新年祭の準備のために、ナビエは何時間も仕事をしてから西宮に戻ります。
するとローラが切羽詰まった表情で、ラスタの姿が見えないと報告しました。
ローラによると、最近メイドたちがラスタを少し遠ざけているそう。というのもラスタが無知なだけでなく文字を書けないことも判明したため、奴隷出身ではないかと噂され仲間外れにされているのだとか。
その話を聞いたナビエは、軽く食事を済ませてからラスタを探しに行きます。
アルティナ卿はナビエの後を追いかけながら、なぜメイド1人を探そうとするのか不思議そうな様子。しかしナビエは理由を言えないので「陛下から預かった子だから」と言い訳をしました。
ラスタが奴隷だと知ったナビエは…
そして歩き回った後、ナビエは1人になりたい時に行く“秘密の場所”に向かいます。するとその近くの茂みの中で、すすり泣くラスタを発見しました。
ラスタの名前を呼ぶと、彼女は膝を抱えて頭を上げます。目元は赤く、顔は涙でいっぱいです。その哀れな姿を気の毒に思いナビエが再び名前を呼んでやると、ラスタは涙をポロポロと流しました。
その様子を見たナビエは、もしかしたら噂が真実なのかもしれない…と考えながら、ラスタに近づいてその肩を軽くたたきました。
「奴隷出身でも構いません。それは笑う事ではないし、悪い事でもありません。さあ、行きましょう、メイドがあなたを心配していますよ」
そう言って慰めると、ラスタはいつもの元気を取り戻します。そして彼女は立ち上がると、ラスタは全く怯んでいないし強いんですよ!と鼻高々に言いました。
一人称が「ラスタ」である理由
西宮へと戻る途中、隣ではラスタが「ラスタはですね」とおしゃべりをします。それを聞きながら歩いている時、ナビエはふと気になり質問しました。
「ラスタ、あなたはなぜいつも自分のことを名前で呼ぶの?」
自分を名前で呼ぶのは、子供たちがよく使う話し方。するとラスタは何でもない事のように答えました。
「他の人たちは、ラスタを名前で呼ばないからです」
誰かに名前を呼ばれたとしても、それは怒られる時だけ。だからラスタは、自分だけでも自分を優しく呼んであげようと思ったそうです。
新年祭のためハインリが東大帝国を訪れる
ハインリの噂
新年祭が近くなると、侍女たちは外国の貴賓について噂をしはじめます。特に話題になったのは、美しいと評判のハインリ王子でした。
「ハインリ王子様はものすごくハンサムらしいです。でもソビエシュ陛下ほどではないと思います」
ベッドを整えるため寝室に来たラスタは、ナビエにそう伝えます。自分を罠から救ってくれたせいか、彼女はソビエシュを英雄のように思っているようです。
それを聞いたナビエは、ラスタにとってはソビエシュに会う前の人生こそ罠だったのだろう…と考えます。またラスタが逃亡奴隷であり、拾われた場所的に昔の主人がロテシュ子爵であることもナビエは気づいていました。
そのため新年祭が終わったら、ロテシュ子爵のもとに人を送って奴隷契約書を買い取ろうと考えます。
ハインリとの出会い
2日後。
噂のハインリ王子一行が到着したので、ナビエは皇后として彼を出迎えに行きます。
美しい男だと聞くけれど、どれほどだろうか…と考えながら白バラの部屋に入ると、使節団の中にハインリを見つけてその美しさに感心しました(ただし表情には出しませんが)
そして接待するため彼のほうに向かうと…
ナビエが近づくや否や、ハインリは跪いて忠誠を誓う騎士のようなポーズを取ります。そしてナビエの手の甲に軽くキスをすると、彼女をじっと見つめて言いました。
「お会いできて光栄です。皇后陛下」
『再婚承認を要求します』外伝58のネタバレと感想
感想①温度差で風邪ひきそう
外伝58は前半がギャグ、中盤がシリアス、そして後半がロマンス小説らしいストーリーでしたね。ラストでは人型のハインリが格好良く登場しました。
前半と後半の温度差でカゼをひきそうです。
そして前回に引き続き、ラスタは世間知らずな部分が目立つもののピュアで可愛い女の子という印象。なお脳内設定も健在で、ナビエは黄金の翼を生やしながら天から舞い降り、さらに手から空気砲を撃てるという新設定が判明しました。
pixivでよく見る『ぼくのかんがえたさいきょうの〇〇』を彷彿とさせますね。
感想②例のシーンについて、ナビエの心境を考えてみた
ラスタが自分のことを”私”ではなく”ラスタ”と呼ぶ背景には、悲しい生い立ちが関係していました。
この話を聞いた直後、ナビエは無言だったので何を思ったのかは不明です。とはいえ彼女の性格上、思う所があったのでしょう。奴隷だろうと国民なので、ラスタを守ってあげないと…くらいは思ったかもしれません。
その後の新年祭の準備をするシーンでも、ナビエは『ロテシュ子爵から奴隷契約書を買い取ろう』的な独白をしていましたから。
この一言から、ラスタにただ居場所を与えるだけでなく本当の意味で”保護”しようと考えていることがわかります。
ナビエは相手にとって何が最善か考えられる人なので、ラスタが妙な気さえ起こさなければナビエの保護下で幸せになれるのかなと思います。今のところは。