『再婚承認を要求します』のネタバレ感想です。今回は小説版に掲載されていた「外伝10 エルギ公爵の過去(4)」の概要をまとめました。
今回はアレイシア視点の続きです。彼女は「夫のクローディア大公が海賊捕虜に惚れてしまった」と嘘をつきましたが、その後どうなったのでしょうか?
感想を添えて、内容を簡単にまとめました。
目次
『再婚承認を要求します』外伝10前編|アレイシアの罠
アレイシアの嘘
話を聞いたズメンシア公爵夫人は、大公妃(のフリをしたアレイシア)に深く同情します。また周囲にいた他の貴族たちも、話を聞いてしまい同情しました。
さらに一人、二人と彼女の噂をする人が増え…
数分後。
大公がアレイシアを迎えに来た時には、たくさんの貴族たちがヒソヒソと噂話をしていました。
クローディア大公への脅し
馬車での帰り道。
冷たい静寂に包まれる中、大公は「代役はもういらない。荷物を持って出て行け」と言い放ちます。
このままだとアレイシアは、報酬を貰うどころか秘密を隠すために処分されるかもしれません。だから彼女は、身を守るために大公を脅します。
「もしこのまま追い出すなら、あなたが捕虜に惚れて妻を追い出したと言いふらしますよ」
すると大公は、怒りに満ちた表情で彼女を睨みつけました。
・・・
アレイシアの策略によって、窮地に追い込まれたクローディア大公。
一連の出来事を聞いたエルギは「全て父上のせいです!」と泣いて抗議し、今すぐに皆に事情を打ち明けるよう説得しますが…
大公は周囲からの嘲笑を恐れ、返事を渋りました。
エルギの説得を試みるが…
その日の晩、アレイシアはエルギの元を訪ねます。そして自分の過去をすべて打ち明け、泣きながら「ただ生きたいのです」と訴えますが…
エルギは彼女を許さず、その場を走り去りました。
アレイシアは彼を部屋まで追いかけて「あなたが酷く反対しなければ…」と言い訳をします。
しかしエルギは態度を変えずに「父が何と言おうと、明日のパーティーで真実を話します」と断言しました。
・・・
客室に戻ったアレイシアは、今までの2年間を思い出します。そして窓枠をガツンと殴って言いました。素直にはやられない…と。
『再婚承認を要求します』外伝10後編|燃えた屋敷
クローディア家が火事になる
夜中、クローディア家で”小火”が出ます。
そしてエルギが馬車で避難している時、外から「奥様がアレイシアさんの部屋に行ったの?」とヒソヒソ声が聞こえました。
それを聞いた彼は酷く焦ります。というのも小火が出たのは来客用の部屋付近なので「もしお母様が取り残されていたらどうしよう」と心配したのです。
火事の最中にこのような噂が出るのは不自然ですが、幼いエルギはそれに気づきません。
そして屋敷に引き返し、遠目からアレイシアの部屋の窓枠を見上げるとーーそこには”エルギが母親にあげた人形”がぶら下がっていました。
その結果、エルギは周囲の静止も聞かずに、燃える屋敷の中へと飛び込んでいきました。
エルギは母親を助けようとする
エルギが到着した時、アレイシアの部屋には誰もいませんでした。
母親がいないことに安堵した彼は、自分も逃げなければと思いますが…その瞬間、エルギの方に”火のついた扉”が倒れます。
しかし誰かが「ダメ!」と叫んで、エルギを庇いました。
燃える屋敷から出てきたのは…
パーティーからの帰り道。ズメンシア公爵夫婦は「クローディア大公家が火事になった」と噂を聞き、心配して大公家に駆け付けます。
そして現場に到着すると、屋敷の奥からヨタヨタと誰かが歩いてきました。
その人物は、公爵夫人がパーティーで出会った”大公妃”。彼女は気絶した少年を抱きながら「私が息子を助け出しました」と言いますが…
その姿は、狂気に満ちていました。
【補足①】アレイシアの望み
アレイシアの行動は非常識ですが、彼女の望みはささやかなものでした。
普段は貧しい暮らしでも構わないから、必要な時だけ大公妃の代理をさせてほしい。
ただ、それだけです。無茶な要望ではありませんし、大公家にとってはメリットの方が大きいです。だから最初は、大公もアレイシアの提案に乗り気でした。
けれどエルギに反対されて、彼女は苛立ちます。その結果、止めておけばいいのにパーティーで「夫が捕虜に惚れた」と言いふらし、さらには大公を脅すという蛮行に出ました。
【補足②】ストーリーのおさらい
火事の原因について
原文では明言されていませんが、ボヤ騒ぎを起こしたのはアレイシアでしょう。
つまり彼女は、外伝10の後半にて以下の悪事を働いています。
- 火事を起こす
- 小細工をしてエルギを部屋に誘い出す
- エルギを助けるも、それをダシにして大公妃のフリをする
加えて前半では、デマを流してクローディア大公を陥れるという悪女っぷりを発揮しています。
ネタバレ感想|アレイシアとエルギの心境
感想①アレイシアの矛盾
アレイシアは「ただ生きたいだけ」と言いながら、実のところ自分の首をしめています。
大人しく役目をこなせば、契約終了時にクローディア大公から金銭と身分をもらえたでしょう。けれど彼女は自分勝手なマネをして、自らその権利を捨てています。
この状況は、大公にケンカを売っているようなものです。
結局、彼女は「社交界に戻りたい」という望みを捨てきれなかったのでしょう。その結果、どんどん自分を危険な状況へと追い詰めました。
現状に満足すれば良かったのに、欲を出して深みにはまる。このような性格は、ラスタを彷彿とさせますね。
感想②エルギの心境について
アレイシアは「エルギが酷く反対するから悪い」と言い訳していましたが、エルギの主張は至極真っ当だと思います。
事情があるとはいえ、他の人が自分の母親になりすますなんて嫌に決まっています。母親が大好きなエルギにとっては尚更ですし、幼いなら当然の感情でしょう。
アレイシア、こいつもラスタ同様悪事を働き本来なら手に入れられないモノを手に入れようとするんだな。
しかも上手くいかないのは全て他人の所為なんだ?エギルが反対(反抗)するからって当たり前やん。どこの世界に実の母を陥れようとする奴に懐くんだよ!
しかも邪魔者は消せって思考でやっかいになっている家に火を付けて幼子を傷つけようとするなんて天罰が下る事を切に願う。