漫画『余命わずかの脇役令嬢』の7話~8話のネタバレと感想です。
主人公・カリナは芸術病にかかり、医師によれば余命1年しか生きられないそう。しかし心の拠り所がないカリナは、命を削るとわかっていながら絵に没頭し続けました。
この先、彼女はどうなるのでしょうか?続きを見てみましょう。
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7話|カリナは手紙を残し、住み慣れた屋敷を去る
家族と過ごす最後の時間
翌日。カリナが久しぶりに部屋から出ると、アベリアが泣きながら抱き着いてきました。そしてフェルダンと一緒に、申し訳なさそうに謝罪します。
「姉さま!その…昨日はごめんなさい…」
「次から屋台のものはほしいって言わないから…あと食事もちゃんと食べに来てくれる…?」
カリナは弟と妹を責めることなく、わかったと返事をします。しかし内心では、どうせ今日が最後なんだから…と考えていました。
食事中のワンシーン
食事中、父親は言いました。
「ゴホン!カリナ…2日後はお前の誕生日だな。その時ちょうどインフリックが戻るから、みんなでピクニックに行こうと思うんだ。お前の誕生日パーティーは延期してもいいか?」
すっかり忘れていた誕生日。いつも通りカリナのことは後回しです。
カリナは「お好きにどうぞ」と返事をするものの、ろくに食事もせずにダイニングを後にしました。
何を言われてももう傷つかないと思っていたけれど、最後の思い出すら最悪なものになるのが辛かったのです。
手紙を残し、カリナは屋敷を去る
その日の夜。カリナは1通の手紙だけを残し、住み慣れた屋敷を去ります。
家族だから言葉で伝えるべきか悩んだものの、彼女が残したのはたった1行の手紙だけでした。
屋敷を出て2カ月後、カリナは婚約者であるミリアンの屋敷に到着します。
そして客間に案内された後、お風呂に入りながら彼女はこれからの事を考えました。
医者からもらった薬はあと3粒。これは残しておくべき薬なので、もう薬に頼ることはできません。そして医者の言葉どおりなら、今夜から高熱が出て確実に体調が悪化するでしょう。
けれどカリナに後悔はなく、顔には笑顔をすら浮かんでいました。
(大変な旅路だったけれど、とても楽しかった。思いのままに生きられるのはたった1年だけど…それで十分だわ。好きな事をしよう)
そして自由に生きるため、カリナはミリアンの執務室へと向かいました。
ミリアンへのお願い
ミリアンの執務室はきっちり整頓されていて、紙とインクの匂いしかしません。この執務室を見れば、彼が神経質なのも分かります。
さらに部屋の主であるミリアンを見れば、明らかにイライラしています。
(お忙しいところ迷惑をかけてホントすみません…!)
カリナが申し訳なく思っていると、ミリアンはひとまず客席に座るようカリナに勧めます。そして刺々しい態度で、彼女がここに来た目的について尋ねました。
「家族と喧嘩でもしたのか?」
その質問にカリナは、近いですが違います…と答えます。というのもミリアンの言葉は、正解でもあり間違ってもいるのです。
カリナは最後を迎えるため平穏な場所を望み、そのためには家族と遠く離れた場所が必要だったのです。
――そして正直なところカリナは、自分が亡くなった後に家族が後悔すればいいとも思っていました。
ミリアンはカリナを歓迎していないものの、彼女の意思が固いのは理解していました。なにせ二カ月もかけて公爵領に来るほどですから。
けれど、今は時期が悪いのです。
ミリアンによれば、ジェンタ―ル領は冬が最も忙しいのでカリナに気を使う余裕がないそうですがーー
その言葉にカリナは、好都合だと顔を輝かせます。そして以前会った時とは別人のような顔で、嬉しそうにペラペラと喋り出しました。
「ちょうど良かったです!というワケで、もし離れが空いているなら貸していただけませんか?閣下と顔を合わせてもお互い気まずいでしょうし」
カリナからすれば、自由に生きるためには干渉されない方が好都合。しかしそれを知らないミリアンは怪訝な顔をます。
そして結局。
カリナの要求は通り、ミリアンは離れの部屋を用意すると約束してくれます。ただしこの時、一つだけ厳しく注意されました。
「勝手に外出はしないように。北部の冬は南部とは違う。いつどこで魔獣が出るか分からんからな」
そして話し終えると、カリナはお礼を言って執務室を出て行きますがーー廊下に出てすぐ、眩暈がしてその場に座り込んでしまいました。
8話|カリナは高熱を出すが、それを誰にも伝えない
夜中、カリナは高熱を出す
その日の夜、案の定カリナは高熱を出します。
あまりに辛いので、動けるうちに厨房に行ってタオルと水を持って来ようしますがーー真っ暗な廊下を歩いている途中、ミリアンと鉢合わせました。
「こんな夜中に一体何をしている?」
呆れたように言うミリアン。実を言うと、彼はカリナが心配で様子を見に来たのです。
しかしカリナは目を逸らし、何でもありません…と平気なフリをします。具合が悪いことを悟られないよう誤魔化すのです。
とはいえカリナの呼吸は乱れて頬は赤くなっているので、ミリアンはすぐに熱があるのだろうと気づきます。
しかしその事を指摘しても、カリナは相変わらず「休んでいれば治りますから」と平気なフリをし続けるので、ミリアンは呆れた顔で注意しました。
「具合が悪いながらそう言えばいいのになぜ我慢する?黙って我慢するなんて、そなたは鈍感な熊か!」
そしてミリアンはカリナを横抱き(お姫様抱っこ)にすると、そのまま離れの部屋へと運んであげました。
『余命わずかの脇役令嬢』のネタバレと感想
ネタバレ感想①相変わらず酷い父親
余命を満喫するため、屋敷を出ようと決意したカリナ。
しかし家族と過ごす最後の誕生日ですら、カリナは後回しにされました。祝ってもらえるけれど、優先されるのは兄。
兄とのピクニック>カリナの誕生日。
きっとカリナは毎年、誕生日ですらこうして後回しにされてきたのでしょう。かわいそう。
ネタバレ感想②オカン属性のミリアン
ミリアンは意外にもオカン属性でした。
突然やって来たカリナに文句を言いながらも、心配して様子を見に来て「具合が悪いならちゃんと言いなさい!」とド正論を言い、さらにカリナの体調の悪さを察してお姫様抱っこまでしてくれます。
ものすごく世話焼きですね!
個人的には、この調子でこれからもカリナを労わってほしい。