『ウーユリーフの処方箋』ネタバレ解説①ヒロインとンアウフの正体および役割について

解説

『ウーユリーフの処方箋』の中で、イケメンたちを食い漁るヒロイン。しかし彼女が結局何者なのかゲーム内では明記されていません。

なぜヒロインは化け物の姿をしていて、あの世界においてどんな役割を果たしていたのか。この辺についてはプレイヤーが自分で考察しなければなりません。

そこでこの記事では、ヒロインの正体やンアウフとの関係について解説します。

ネタバレ満載なので、本編(とできれば特別ストーリー)をクリアした後に読むことを強くオススメします。

本記事のタイトルには『解説』と偉そうな言葉が入っていますが、あくまで個人による考察です。なお管理人は本編・特スト・限定コンテンツ閲覧済みです。

ヒロインの正体は?ノゾミの台詞から考察した結果

ヒロインの正体について解説

解説

結論から言えば、ヒロインとは『ファンの悪い面』が肥大化した姿。

アイドルを見てキャーキャー言ってるファン。ファンは相手に自分の理想を押し付て、勝手に期待したりガッカリしたりする自分勝手な存在です。

それこそ『ウーユリーフの処方箋』の中で、イケメンを食い漁るヒロインと同じですね。

白うさ
つまりヒロイン=ファン。

正体が『ファン』である根拠

なおヒロインの正体については、本編6章におけるノゾミとヒロインの台詞から考察しました。

まず6章でマツリがヒロインに食われた時、ノゾミはヒロインという存在について以下のように考察しています。

ノゾミ「ありますよ。ヒロインとは、ひとつのコミュニティですから。中には、なんだってあります。」
マツリ「は?」
ノゾミ「ああ、まだ気が付いていないんですね。俺たちもまた、ヒロインなんですよ」
マツリ「意味がわからない」
ノゾミ「その内わかりますよ」

引用元:STAGE06/END20「みんな」いっしょ

マツリ「ミーハーは?小さいロボットだ」
ノゾミ「いますよ」
マツリ「どこに」
ノゾミ「どこって、ココですよ」

引用元:STAGE06/END20「みんな」いっしょ

次にマツリがヒロインを救済した時、化け物だった彼女は消えて『目のないヒロイン』が現れました。その時の台詞がこちら。

マツリ「お前は誰だ?ヒロインは、どこに行った?」
ヒロイン「私達がヒロインです。」
マツリ「違う、さっきまで暴れていた…ウーユリーフに連れて来られた設定の女だ」
ヒロイン「ええ。彼女は、私達の一側面です。」

引用元:ウーユリーフの処方箋/STAGE06

以上の台詞を踏まえたうえで、もう一度ヒロインという存在について考えてみましょう。

ヒロインはひとつのコミュニティであり、また誰もがヒロインである。そして『ウーユリーフの処方箋』の中で暴走していた化け物は、ヒロインの側面にしか過ぎない。

そしてマツリ推しであるミーハーも、ヒロインの中にいる。

これらの条件を踏まえると、ヒロイン=ファンと考えるのが妥当でしょう。

ファンとは一つのコミュニティであり、誰もが誰かのファンであり、そして状況次第では暴走する可能性がありますから。

白うさ
あの化け物は、現実世界で円果を苦しめたファンの姿だね。

関連:『ウーユリーフの処方箋』特別ストーリーの考察はこちら

ヒロインの本来の姿

暴走していたヒロイン(ファン)は、マツリの説得により本来の姿ーーつまり好きな人を応援する少女の姿ーーを取り戻します。

ファンは自分勝手ですが、その根底にあるのは相手を応援したいという純粋な気持ち。6章でヒロインを救済した後、目のないヒロインが現れたのはそういう事なのでしょう。

ンアウフとヒロインの関係は?ゲロという設定の意味

ンアウフはなぜ嘔吐物なのか?

考察

次に、ヒロインとンアウフの関係について考察します。

プレイした皆様はご存じのとおり、ンアウフの正体はヒロインの『ゲロ』ですがーーーここで問題になるのは、なぜ嘔吐物なのかという点。

この点については、マツリも本編中に指摘していましたね。

ヒロインの子供ならば、股から出てくるだろう。何故、嘔吐物なのだ。

引用元:ウーユリーフの処方箋/STAGE06

ンアウフとヒロインは同じ存在。しかし彼女の子供ではなくゲロ。吐き出したもの。

そして『ゲロる』という言葉には2つの意味があります。1つ目は嘔吐物を吐くこと。2つ目は事実を白状すること。

はい。ではここで2つ目の意味に注目してください。本音を言うことも「ゲロった」という言い方をするんですよ。

つまりンアウフは、ヒロインの本音であると考えられます。

言い換えれば、ンアウフの言葉はファンの本心。ヒロインがファンの悪い面を具現化したキャラクターだと仮定するなら、ンアウフは良い面を具現化したキャラクターだと言えます。

ンアウフの言葉は、ファンの本音

ンアウフの正体は、ファンの本音。

これを踏まえたうえで、6章におけるンアウフの台詞を見てみましょう。以下、マツリが元の世界に帰りたいと言った時の2人の会話です。

「寂しいケド…それがマツリくんの夢なら応援するヨ」
ミーハーが俺の膝にしがみつく。しかし、すぐ離れた。
「僕ね、好きな人の足を引っ張りたくないンダ」
「ミーハー…」
「僕、マツリくん推しダカラ」
わからない。どうしてか。ミーハーの言葉に鼻の奥が痛くなる。泣きそうだ。

引用元:STAGE06・9/ミーハー

そして次に、例のシーンのンアウフの台詞がこちら。

「ドウシテ、好きな子をイジメるのサ!好きな子には幸せになってモライタイんじゃナイノ!?」

「僕はマツリくんが大好きだ!ダカラ、絶対に傷つけたりしないンダ!君だって、そうしたいんじゃナイノ!?今の君は間違ってるヨ!」

引用元:STAGE06・12/粉砕

結局のところ、これがファンの本音なんですよ。

推しに幸せになってほしい。推しを応援したい。全力で守ってあげたい。なぜなら推しが好きだから。ンアウフの言葉は、ファンの純粋な気持ちそのものです。

ファンは推しを支えたいのです。だから『ウーユリーフの処方箋』のタイトル画面でも、ンアウフはマツリに寄り添っているのでしょう。

白うさ
あと、推しには積極的に課金したいし養いたい。

そしてファンの気持ちは、円果にもちゃんと届いています。だからこそマツリは、ンアウフの言葉を聞いて泣きそうになったのでしょう。

ただ6章の時点で、マツリ自身はその理由に気付いていませんけどね。

でも円果としての記憶がなくても、ファンからの応援は彼の心に届いているし活力になったのです。

『ウーユリーフの処方箋』の世界でバケモノだった理由

ヒロインには2つの役割がある

最後に、ゲーム内におけるヒロインの役割について考察していきます。

『ウーユリーフの処方箋』は円果を現実世界に戻すために作られたゲームなので、ヒロインが化け物の姿をしているのも、マツリたちを襲ってくるのも全て理由があるはずです。

そしてこの点については、少なくとも2つ理由が考えられます。

【解説】ヒロインの役割
  1. ファンには良い面と悪い面があるのだと、円果に教えるための存在
  2. ヒロインを救ってゲームをクリアすることで、円果の救済にもつながる

1つ目の役割

友喜と一緒にビルの屋上から落下した後。円果を追い詰めたのはファンによる誹謗中傷でした。7章の白い部屋に置いてあった、あの手紙の山ですね。

けれど、これはファンの側面にしかすぎません。

円果を追い詰めたのはファンですが、円果を支えてくれたのもまたファンでした。

ファンには悪い面と良い面の2つがあり、それをヒロインとンアウフで表していると考えられます。

「ヒールユー・プロジェクト」の制作陣はそれを伝えるがために、ヒロインを化け物の姿にしたのでしょう。

そもそもアイドルという存在は、ファンなしでは成り立ちません。7章でウーユリーフも言っていましたが、互いに互いを利用してみんな共犯関係にあるのです。

言い換えるなら、円果もまたファンを利用しているんですよ。

それに円果だって、友喜のファンでありながら彼を突き放していますから。円果もまた自分勝手なファンの1人です。

結局のところ、円果がファンに消費されているように円果も友喜を消費していて、みんな消費したり消費されたりと共犯関係にあるのです。

ヒールユー・プロジェクトの制作陣は、それも伝えたかったのでしょう。

関連:『ウーユリーフの処方箋』ネタバレ解説②エンディングの解釈について

2つ目の役割

そしてヒロインの2つ目の役割は、円果の救済です。

ヒロインと円果には類似点が多く、彼女が救済されることで円果自身の救済にもなります。つまりヒールユー・プロジェクトの制作陣は、ヒロインを通して円果に自分自身を見つめ直してほしかったのでしょう。

白うさ
この点については説明が難しいので、次からザックリ解説するよ。

ヒロインは作られたキャラクターとして、自分の意思に反する行動を取らされていました。好きでもない男と恋愛をさせられ、本音と違う言葉を言わされてーーそのせいで苦しみ、心を踏みにじられたと考えていたのです。

それこそヒロインの部屋で流れていた『鉄屑の国のアリス』は、彼女の心情そのものでしょう。ここから抜け出したいの。ここは私の居場所じゃない。私自分で歩きたい。彼女はそう感じていたはずです。

そしてこれは、現実世界で生きる円果も同じこと。彼もアイドルとして、作られた設定とシナリオの中で生きなければなりません。それこそ出来レースの件みたいに。

だから円果がヒロインに言った言葉は、全て彼自身にもブーメランとして返ってきます。

例えば以下のセリフなんて特大ブーメランでしょう。

「お前が誰かに消費されているように、お前も男たちを消費している。その事実を受け入れろ」

「キャラクターは、時には命を蝕まれる事もある。けど誰だって…お前が食った男達だって、誰にも侵害されないモノを持っている。それは心だ」

「忘れられたって、見捨てられたって、俺達には心が残っている。だから、どうか心だけは大切に守って育んでくれ」

引用元:ウーユリーフの処方箋/STAGE06より

ヒロインと円果の立場は似ているからこそ、彼女を救済することは円果の救済にもつながります。

簡単に言えば、円果にアイドルとしての自分を受け入れさせることがヒロインの2つ目の役割ですね。

解説まとめ|すべて円果のために作られた存在

この記事のおさらい

まとめ1

以下、管理人がこの記事で伝えたかったことのおさらいです。

解説|ヒロインとンアウフについて
  1. ヒロイン=ファンの悪い面
  2. ンアウフ=ファンの良い面
  3. ンアウフの言葉はヒロインの本音。つまりはファンの本心。
  4. 暴走するヒロインの姿は、あくまでファンの一側面にすぎない
  5. ↑を円果に伝えるのがヒールユー・プロジェクトの目的のひとつ
  6. ヒロインを通して円果を救済することも目的のひとつ

円果にファンの必要性を教えるために、ヒロインは化け物として登場する必要があった。早い話がそういう事ですね。

それでは長い記事にお付き合いくださりありがとうございました。

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2件のコメント

>ななしさん
コメントありがとうございます!大好きな作品なので、そう言って頂けると嬉しいです!

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